<コンサートレヴュー>
女声合唱団 男声合唱団
ヴォーチェ・ビアンカ ⇔ コール・グランツ
Joint Concert
2003.5.11 大宮ソニックシティ大ホール
指揮:鎌田弘子
☆
1st Stage
●混声合唱のための唱歌メドレー「ふるさとの四季」
編曲:源田俊一郎
ピアノ:魚水愛子/ヴァイオリン:魚水ゆり/女声合唱団ヴォーチェ・ビアンカ/男声合唱団コール・グランツ
☆
2nd Stage
●女声合唱組曲「遥かな歩み」より ・櫛/花野
作詞:村上博子・作曲:高田三郎
ピアノ:宮地麻里子/女声合唱団ヴォーチェ・ビアンカ
●混声合唱組曲「筑後川」より ・銀の魚/川の祭/河口
作詞:丸山豊・作曲:團伊玖麿
ピアノ:魚水愛子/女声合唱団ヴォーチェ・ビアンカ/男声合唱団コール・グランツ
☆
3rd Stage
●オペラ「カルメン・ハイライト」
前奏曲/たばこ女工の合唱/ハバネラ/二重唱/セギディーリャ/間奏曲
ジプシーの歌/闘牛士の歌/花の歌/間奏曲/ミカエラのアリア/行進曲と合唱
演出:秋庭千歳
ピアノ:宮地麻里子
カルメン:鳥居芳子/ミカエラ:土井ゆかり/ドン・ホセ:野口享治/エスカミリオ:笠井利昭
バレエ:鈴木郁子/ヴァイオリン:魚水ゆり/フルート:沼田絵恋/チェロ:菅千春
女声合唱団ヴォーチェ・ビアンカ/男声合唱団コール・グランツ/女声合唱団ピノキオ
コンサートによせて (プログラムの挨拶より)
鎌 田 弘 子
女声合唱団「ヴォーチェ・ビアンカ」が、栗橋町に誕生して三十周年。
今でこそ、どこの町にも合唱団がありますが、当時の栗橋では、主婦が昼間集まって歌等を歌うのは、
誠に不謹慎と思われていたようです。そんな周囲の目をものともせず、みんなで歌い続けて参りました。
ハーモニーとは、正に「心の和」です。
かけがえのない素晴らしい団員の方々との出会い、喜びも悲しみも、
共に味わい支えあってきた三十年を振り返りますと、唯々感無量です。
私のような者に、ひたすらついてきて下さった団員の皆様に
なんとお礼を申し上げたらよいか分かりません。
今回は、2500席もある大宮ソニックシティ大ホールを使ってのコンサートであった。
当日は開場1時間半以上も前から行列が出来てしまったため、急きょ開場を繰り上げた。
満席で立ち見も一部出たというからけっこうな入りである。
1st Stage混声合唱曲『ふるさとの四季』で幕を開けた。
2nd Stageは創立30周年を迎えたヴォーチェ・ビアンカが女声合唱曲「遥かな歩み」より
『櫛』と『花野』を披露し、そのまま暗転せずに男声合唱団がステージに乗り、
混声合唱曲「筑後川」より『銀の魚』、『川の祭』、『河口』を歌うという構成であった。
『ふるさとの四季』は女声男声ともに、ていねいな歌いこみができたのではないかと思う。
「遥かな歩み」はさすがに30年の年輪を感じさせる説得力のある合唱となっていた。
團伊玖麿の名曲「筑後川」は、いろどりがあり、スケールの大きな曲だが、
その優美さや雄大さをどこまで表現できたであろうか。
最前列の客席に置いたMDレコーダーで録音したものを聴いた限りでは、
それなりの出来ではないかと思うが、出来不出来は聴衆の皆さんが決めることであり、それを待つ以外ない。
さて、今回のメインプログラムは何といってもオペラ「カルメン」であろう。
土壇場まで演出の細かいことが決まらなかったが、脚本と演出を担当した秋庭千歳は、
「諸先輩方からは『脚本の書き直し7、8回は当たり前。
突然かかる変更の電話にも耐えられる、強い身体と精神力を持ってがんばって』と励まされ、
合唱団の仲間と共にこの一年間努力して参りました」と漏らしているが、周りからは
至って気楽に楽しんでいたのではないかと思われてしまうくらいの頑張りを見せた。
ただ、正直なところ男性陣には演出に不満を持つものがいないわけではなかった。
平均的日本男児として、オペラの舞台でうまく振舞えるものはそう多くはないからだ。
しかし、何とかこの苦難を切り抜け、無事終了することができた。
というのは、ほとんど動かないですんだからである。
写真提供: 関根盛純氏 (男声あんさんぶる「ポパイ」)
2003.5.14 文責:加藤良一