E-16

 

僻み根性的日本経済復興策
 


久賀伸行
 


 

 ゴールデンウィークも終わってしまった。まあ、どうでもいい。私はほとんど仕事なのだ。
 ところで、今年も海外に行く人が腐るほどいた。いや、こういう人たちは、すでに腐っているのだろう。休みに仕事をしている貧乏人の僻みではない。(ちょっとは僻んでいるか)
 今、日本は未曾有の不景気である。政治家は、景気対策には無力というより、もはや無気力であり、官僚は裏金作りと天下り先を探すことにだけ夢中で、銀行は公的資金をボーナスや退職金に使い果たしてしまった、…ようにも感じられる今日この頃なのである。(断定はしていない表現であることに注目してほしい) こうした経済状態で、国民は、国内でお金を使ってこそ、自らの身を守れるはずなのであった。なのに、外国で金を使っては、日本の経済は回復しないではないか。こういう輩に、不況を云々することはできないはずだ。

 かつて、バブル経済絶頂期に、「買出し難民」と揶揄された日本人。その当時とは状況は明らかに変わった。バブルははじけた。経済は右肩上がりではなくなり、失業者は増えた。政府は景気浮上の機会を見誤り、失政を重ねた。今や自分のことは自分で守るしかない時代になった。医療費負担はまた上がり、無能な政治屋は、増税の機会を虎視眈々と狙っている。

 大型連休に浮かれ、遊び呆けている場合ではないはずなのだ。みんなが浮かれている間に、国は『個人情報保護法』や『人権保護法』といった、かつての『治安維持法』を髣髴とさせる法律が国会に上程され、『有事法制』を正当化し、戦前の日本に逆戻りしそうな勢いだ。ワールドカップに乗じてフーリガンがやってくる。中東情勢は不穏だ。天候は不順だ。阪神は勝っている。なにやら大変な世の中になっている。
 遊ぶなといっているのではない。こういう社会なのだから、国内に金を落とすべきなのだ。日本国内にもまだまだ素晴らしい所はたくさんあるはずだ。それに、ゴールデンウィークにたかだか数日、外国へ行ったからといって、国際人になれるわけではない。逆に、外国人に日本の文化や歴史を、胸を張って言葉に表せることこそ「日本の国際化」ではないのか。(だから、過去の過ちを無視するような歴史観を是とする政府自民党や文部科学省の考え方は、国際化時代に逆行しているのだ)

 帰国ラッシュの成田空港の様子をニュースで見ていて、無性に腹が立った。それにしても…
 休みたかった。