折々に詠む 稲田の句集

平成二十年
一 月 鐘の音や凍てつく稲田を透き通り
平成十九年
七 月 久々の朝日にきらり稲の露
平成十八年
十一月 初霜や冬耕遅速の田にまだら
十 月 日は落ちてわが影苅田に伸びにけり
六 月 ひと独り農機を連れに田植えかな
二 月 冬涸れし里田に冴える山の鐘
平成十七年
十 月 苅田道黄色い帽子の児らの列
六 月 月満ちて老松映す代田かな
五 月 堰切りて今将に代田へ迸る
平成十六年
十一月 朝靄に籾焼く匂い溶け入りぬ
九 月 彼岸花稲穂に媚びず背を伸ばし
八 月 猛暑にもものかは稲穂伸びに伸び
七 月 空うつす水面隠して稲伸びぬ
六 月 代田暮れ灯ともす農家映しけり
五 月 苗代や青空映してみどり萌ゆ
四 月 鋤き終わり水待ち顔の春田かな
三 月 春泥に足踏み入れる稲田かな
一 月 冬田鋤く影絵が伸びて日は落ちぬ
平成十五年
十二月 鋤きし田の藁と土とに霜斑
十一月 描くごと籾の捲かれし冬田かな
十 月 露ひかる稲田に泊まりしコンバイン
九 月 稲穂垂れ彼岸の花もたおやかに
八 月 夏遅し稲穂伸びよと祈るのみ
七 月 里映す水面の消えし稲田かな
六 月 晴れ晴れと里山映して代田かな
五 月 ひたひたと代田に浸み入り水温し
三 月 あぜ道に泥を叩きて春田かな
二 月 暮れなずむ里田に舞うや牡丹雪
一 月 折々に詠める稲田に初日かな
平成十四年
十二月 鴉啼き人影見えぬ冬田かな
十一月 涸れた田に籾焼く煙たなびきて
十 月 水退きて藁の匂いの稲田かな
九 月 黄金の穂波に潜みぬ彼岸花
八 月 朝露に光る稲葉やウオーキング
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