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芳拙句集
 
   (24/01)
   三が日災禍顕に能登の地震(ない)
   暦開かすかな反りも物清し    
   初明りいのちのごとく身に受くる  
   注連飾る車もありし昭和の世   
   老いの歯にごまめは堅くなりにけり 
 
   (23/12)
   裸木の一切放下の潔さ   
   凍菊のなほも黄色を濃く宿し 
   生垣に沿ふて椿の列列と   
   海鼠哀し生簀のやうな湾に住み
   夕落暉冬の木立のありありと 
 
   (23/11)
   山茶花の白く散り敷く坂をゆく 
   水澄むや釣瓶の音の近くあり 
   芒原風に銀波にうねりけり   
   能筆を町内に知る文化の日  
   初時雨姿確かに枯山水    
 
   (23/10)
   山澄むや終鈴遠き街までも  
   曼珠沙華劫火の囲む開拓碑  
   泣くほどに子泣き相撲の母笑ふ
   藤袴アサギマダラに中華の字 
   秋祭それも理由に同窓会   
 
   (23/09)
   秋めくや果実の重み手に受けて
   廃線の鉄路の中に緋のカンナ
   里山の谷の狭きに小鳥来る 
   瓜坊の継ぎ継ぎ渡る村の道 
   その中に一言居士も敬老日 
 
   (23/08)
   樺火焚く信濃の習ひ令和にも      
   回想の戦時報道敗戦忌        
   千灯籠揺らす娘の山鹿の夜(山鹿灯籠踊)
   涸沢のテントの灯り夏の星       
   笹飾り無垢の平和のおさな文字     
 
   (23/07)
   夕凪や鏡の海に帆掛舟     
   山開きウェストン碑の碧濃し    
   夏椿愛でる間もなく散りにけり   
   しどけなく凌霄垂(しだ)る網代垣  
   編隊となりて飛魚(あご)飛ぶ平戸沖
 
   (23/06)
   野菜どれも無人販売蛙鳴く  
   十薬の昏き場所より繁りけり  
   木漏れ日や山気吸ひ上げ額の花
   剣先の風に解るる花菖蒲   
   初鰹堅き魚と書く不思議   
 
   (23/05)
   川の面の光を弾く柿若葉  
   夏立ちぬ登山規制の錠を解く
   母の日の記憶真白な割烹着
   沢蟹の忙しく走る雨催ひ  
   五月闇介護認定更新す  
 
   (23/04)
   畑仕事身体いつまで薯を植う
   此処よりは深き闇へと蝮草 
   二輪草皆一斉に首を振り  
   苧環の風に転がるからころと
   群れひとつ疫禍の空を鶴帰る
 
   (23/03)
   卒業式戦地の子にもあらんこと
   水温む遡上の魚影絶え間なく 
   晴々と鶯声の整へり    
   空の青ミモザ眩しく香を放つ 
   春の雨水琴窟に届きけり   
 
   (23/02)
   春浅しダム湖の翠まだ深し  
   木々は吼へ波はしぶけり春一番
   薄氷の溶けて小さき空映す  
   南無阿弥陀素魚喉で踊りけり 
   金縷梅や洗濯物に日の微か 
 
   (23/01)
   年賀状同窓会も絶え絶えに
   正月や朝刊無駄に重たくて
   黙々とマスクの家族初詣 
   初凪や湾の小島に一番機
   野水仙軍艦島を沖におき 
 
   (22/12)
   破壊さる戦車の上に冬の月  
   農鳥の小屋を持ち上ぐ霜柱  
   立冬の街のさざめきプラタナス 
   山茶花の散り敷くままを掃きもせず
   小春日や兵士の帰宅伝へらる 
 
   (22/11)
   争ふて哀しき大地冬銀河   
   薄墨の滲むがごとく月の蝕   
   思ひつつ為さぬ旅あり秋惜しむ 
   ほつほつと曲輪に沿ふて石蕗の花
   古希すでに下山を急ぐ秋没日 
 
   (22/10)
   末の秋戦火の止まぬ無常かな
   紅顔の夕べに倒る白木槿  
   ゆふぐれて光の残る尾花かな
   甌穴を穿つ玉石秋の声   
   遣唐の碑を高々と鷹渡る  
 
   (22/09)
   天の川仏ケ浦の空渡る  
   眠られぬ家の軋みや野分中
   野分過ぐ空の青さよ明るさよ
   秋茜水面に影を留めけり 
   秋の虹女王陛下は旅立ちぬ
 
   (22/08)
   盆休み永代供養の碑を尋ぬ 
   解禁の伊勢海老漁の網を引く
   秋めくや収穫できぬ穀倉地 
   身罷りぬ母の梅酒の琥珀濃し
   食卓に土用の鰻疫盛る   
 
   (22/07)
   盆休み永代供養の碑を尋ぬ 
   解禁の伊勢海老漁の網を引く
   秋めくや収穫できぬ穀倉地 
   あと一瓶母の梅酒の琥珀濃し
   食卓に土用の鰻疫盛る   
 
   (22/07)
   コロナ禍や訪ふ人もなく三尺寝 
   晩酌は冷がよきかな月見草  
   花合歓の時に揺れけり雨意の風
   草丈をしのぎ鬼百合咲きにけり 
   浜木綿の群落近き殉教碑   
 
   (22/06)
   夏至の雨一番電車魚河岸へ  
   縺れてはすぐに解れて夏の蝶 
   里山の句会蚊遣火焚きつめて 
   烈日にたじろがぬもの立葵   
   菖蒲田を別つ小流れ伊勢に江戸
 
   (22/05)
   日の透かす若葉の影の濃く淡く 
   葉桜や妖しさ失せし散歩道  
   遠郭公ひときは澄める声のまた 
   つくづくと生命を思へえごの花 
   マリアの月兵士の母の切なるや
 
   (22/04)
   万愚節に非ずミサイル降りしきる  
   残照になほも躑躅の火の残る   
   山路来て空に枝垂るる藤の浪   
   春窮の児渕の地蔵洗ひけり    
   木漏れ日に石楠花明かし里遠し  
 
   (22/03)
   春日和丘にさざめく笑ひ声  
   節分草谷に日差しの燦々と  
   菜の花や日に日に大地温かく 
   祖国とは大きな問ひを建国日 
   鳥帰る祖国の空に砲火あり  
 
   (22/02)
   一筆箋結ぶ言葉に春立つ日    
   衰へし日々に一燈梅ましろ     
   まんさくや枝に残れる雪のなほ   
   赤赤と椿散る坂天主堂       
   バレンタインデー流行病のよふなもの 
 
   (22/01)
   門先の雪の掛りし注連貰ふ  
   子は巣立ち夫婦に戻る賀状かな
   七日粥常の暮らしを穏やかに 
   冬茜梢の影の張り詰める   
   火の猛る頃を待たなむ吉書揚 
 
   (21/12)
   古稀すでに年酒はとみに少なかり 
   冬晴や四囲に銀嶺耀けり     
   綿虫の消えて現る日のゆらぎ   
   時雨るるや野面の垣を重くして  
   退院の朝に明るき霜の花     
 
   (21/11)
   初霜や野辺の草々縁白く  
   彩りは色なき庭の実紫   
   椿の実羨むばかり黒き艶  
   烏瓜雑木に縋り日を弾く   
   天日干す稲架の数基は家遣ひ
 
   (21/10)
   ひと気なきコロナ病棟秋晴るる 
   マンションに帰宅ぽつぽつ秋ともし
   曼珠沙華暮れて田毎の影となる
   カンカンと踏切傍の花カンナ  
   学童の自然体験赤まんま   
 
   (21/09)
   颱風来空に大樹の影しなる
   敬老日全戸に配る祝ひ状 
   敬老の日話の隅に身の始末
   青蜜柑灘の日差しを蓄へる
   落栗の気配たまさか森閑か
 
   (21/08)
   蝉時雨救急サイレン絶え間なく  
   コロナ禍や茅の輪しみじみ潜りけり
   形代(かたしろ)に記す名前の墨の濃く
   分水塔碑文に残る水喧嘩    
   頂きへ雪渓の上空の青     
 
   (21/07)
   夏の夕鋤を洗ふて日を仕舞ふ 
   青葦の風に傾るる御船蔵   
   麦焦がし噎せて懐かし祖母の笑み
   花合歓や扇面散らす石畳   
   地に沁みてにいにい蝉の低き声 
 
   (21/06)
   ワクチンの肩の疼きや五月尽
   山遊びふらここ藤の蔓を編み
   主なき枇杷は野生に還りけり
   枝枝に紅の光芒合歓の花  
   濃く淡く風の染めける藍を干す
 
   (21/05)
   老鶯や父祖代々の家ひとつ 
   花蜜柑すでにかほりを放ちけり
   街にふと女声合唱花水木  
   筍の無人販売ぼたん寺   
   部落への道に累々栗の花  
 
   (21/04)
   青嵐梢いずれも灘を指す       
   行く春や杖を頼りの三千歩   
   閉園の鐘にふらここ未だ揺るる 
   石楠花に惜しむ光や山暮るる
   密なるは生きる術かと花馬酔木 
 
   (21/03)
   長閑しや空に崩れぬ雲の居て
   里山に畝立ひと日遠蛙   
   春昼や灘穏やかに対馬馬  
   榾裏に春の椎茸二つ三つ  
   いぬふぐり里山駆ける子等の声
 
   (21/02)
   早春や川面長閑にかぎろへる
   冬木の芽日々に艶めく城下町 
   三椏の花密やかに咲き初むる 
   牧童の顔てらてらと野火を御す
   末黒野や草の息吹の其処此処に
 
   (21/01)
   初便家に籠れる日を綴り
   初日記持ち越すことの多かりき
   若水や人湧水に列をなし  
   常ならぬ年を迎へり初鴉  
   温かく群るる光や福寿草  
 
 
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   (20/12)
   流氷の日に日に近く北の街
   冬薔薇明日を限りに家を解く
   自分史の誇りも傷も柿落葉
   農閑の小屋に籠もりて藁仕事
   銀嶺の果ては越後へ冬の空
 
   (20/11)
   冬麗(うらら)免許更新無事に終へ
   コロナ禍や海鼠のごとく引き籠もる
   戸惑ひのリモ−ト句会神無月  
   七五三晴着に小さきマスクして 
   悪疫の蔓延る冬や湯気立たす 
 
   (20/10)
   山裾へ傾るる薄由布颪
   秋澄むや山嶺空と対峙せる
   曼珠沙華棚田の畦を彩りぬ
   笑栗や離村の家のまたひとつ
   水澄むや殊に甌穴研ぐ音も
 
   (20/09)
   穂芒にずしりと残る日の名残 
   敬老日国勢調査独りなり  
   撫子や風に靡ける髪のごと 
   底紅の日毎眩しく咲き継げる 
   涸沢の白きカールにななかまど
 
   (20/08)
   リモートの孫の成長夏休み
   馬追のよくぞ此処までビルの窓
   原爆忌マリアに黒き雨の痕 
   七十五年被爆者検診続きけり
   黙祷の影屹立す原爆忌   
 
   (20/07)
   一言居士世相両断夏大根
   梅雨晴や妙手に騒ぐ棋聖戦  
   さみだるるけだるく流るジャズピアノ
   球磨川に流木咆ゆる梅雨滂沱 
   捩花紅ひたすらに登りつむ  
 
   (20/06)
   白々と明けて釣り初む鱚白し
   十薬の群れて庭隅明るうす
   山門の願掛草鞋梅雨じめり
   堂裏は湿りて昏し手毬花
   山中に鬨の声挙ぐ山法師
 
   (20/05)
   更衣単身赴任の夫を訪ふ
   豆飯やまた一年をつつがなく
   母の日やいつも厨に割烹着
   夏暁の影は寝釈迦に阿蘇五岳
   峡深く滝音空に貫けり   
 
   (20/04)
   春眠の深きに誰か肌布団
   悪疫に術なき日々や春かなし
   悪疫や孫にも会へず春休 
   深用心よもやコロナと春の風邪
   コロナ禍や入学式のできぬ児と
 
   (20/03)
   小流れに藻のあをあをと水温む
   総身に日のやはらかく翁草
   待ちかねて空の青さよ鳥帰る
   乙女らのさざめく野辺に花蘇芳
   元寇の島の石塁黄沙降る 
 
   (20/02)
   山茶花の散り敷く径を奥宮へ
   ウィルスの広ごる不安春愁ひ
   少額の還付金あり蜆汁   
   ものの芽の日毎ふくらむ梢かな
   打掛に祖母の裂地の押絵雛
 
   (20/01)
   日溜りに至り凍蝶果てにけり  
   屠蘇の座の孫の背丈のまた伸びて
   召歌の調べの余韻厳かに   
   村役の声の賑はふ年始酒   
   天辺の達磨に届けどんどの火 
 
 
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   (19/12)
   風邪もらふ老いの薄着の痩我慢
   夜昼となく山茶花の散り敷けり   
   石蕗(つわぶき)の花ほつほつと長屋門
   縄文の遺跡に鯨銛の出づ     
   鯨喰む名残り遺跡に弥生人    
 
   (19/11)
   いじらしや八重に咲きたる帰り花
   城垣の野面の果てに雁の列
   海鳴りに揺るる梢や鵯騒ぐ
   曇り空曲輪の茶屋の蒸饅頭
   初時雨大樹に籠る鳥の声
 
   (19/10)
   鐘の音や枯山水より秋の声
   うり坊の数歩遅れて母を追ふ
   夕暮れて猪の影濃くたじろがぬ
   露の世や筆談尽きて友逝きぬ
   里の灯や薄の影の濃やかに
 
   (19/09)
   公園にふと故郷を赤とんぼ
   稲の穂の紅く波打つ古代米   
   馬追の紛れて厨にぎやかに   
   良夜ゆゑクールジャズなどかけてみる
   秋思なほアルビノーニのアダージオ
 
   (19/08)
   有明の海に切子の燈の果てり(切子=切子燈籠)
   そのうちにゆくと合掌生身魂
   亡き人の好物などを盆支度
   三世代揃ふて灯す墓灯籠
   精霊舟幼き御影しめやかに
 
   (19/07)
   捨てられぬ昭和の遺物渋団扇
   沢音の久しく高く梅雨滂沱
   身の丈を歩道に余す青大将
   獣かと梢の騒ぐ木下闇 
   夏空に低く畑守る鳶の凧
 
   (19/06)
   助手席の声に見上ぐる街の虹
   梅雨雲のとれて島への航路灯
   乱鶯や樹々のうねりにたじろがず
   夏日射す魚影くつきり水底に
   参道に沿ふて紫陽花濃く淡く
 
   (19/05)
   新茶市馴染みの品の香り利く
   二の腕の白さまぶしく夏めける
   魚沼の米と合わせる豆の飯
   海霧に果つ日本縦断鳩レース
   そよそよと「夏姿」てふ花菖蒲
 
   (19/04)
   鶯や薄茶のかほる花点前
   園児らの声の一団百千鳥 
   蛙鳴く茶事粛々と武家屋敷
   鷹化して鳩となりけり介護の日
   桜散る選挙開票終へ静か 
 
   (19/03)
   そこそこの釣果を上げて舟うらら
   融雪剤残る峠や戻り寒  
   裾分の八朔置かる村住まひ
   朝な夕熊手に転ぶ落椿 
   椿挿す葉に虫食ひの程のよき
 
   (19/02)
   殉教の史蹟を巡る梅二月
   絵踏帳「郡崩れ」の斬首塚
   ひたひたと春の潮寄す御船蔵
   足を停め源平咲きの梅見上ぐ
   流氷や相撃つ響果てもなく
 
   (19/01)
   旧居経て無沙汰の賀状遅れ来る
   旧友の賀状戻るや胸騒ぎ 
   春近し庭に早くも二三輪 
   冬枯れや枯色中洲を明るうす
   梢研ぐ風は海へと冬木立 
 
 
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   (18/12)
   海鳥の千々に吹かれて冬の海
   電飾の聖樹清かに点りけり  
   すつぽんの鍋で宥むる人事かな
   ふぐさしや荒磯紋の大皿に  
   河豚ざくと食むや平成押し詰まる
 
   (18/11)
   柿落葉艶やかなるを持ち帰る
   秋祭り告ぐる浦安鈴の舞 
   奉納の蛇踊荒ぶ里くんち 
   凍鶴や抑留語る人老いて 
   老健の電子辞書ひく小春かな
 
   (18/10)
   天高し削蹄の馬荒ぶれる
   銅山の鉄路に沿ふて濃竜胆
   小雨過ぐ風見の幡に湧くとんぼ
   更科や色なき風の句碑洗ふ
   新米来からだ気遣ふ文添へて
 
   (18/09)
   老いを祝ぐ車椅子より乾杯す
   茘枝熟る血痰ほどの種子落とし
   秋出水傾(なだ)れし家に佇む子
   倒木を白骨に研ぎ秋の川  
   ぬたぬたと蛇の溝這ふ穴惑ひ
 
    (18/08)
    しみじみと果たせぬ夢やビール酌む
    底紅や補習授業の女子高生 
    集落に幼の声や盆休み   
    ほつほつと供花に明るむ墓参
    開墾碑総出で洗ふ夏の果  
 
    (18/07)
    姥百合の眩しく高く炎天に
    老鴬の声朗々と君臨す  
    被爆者の無念を抱へ蚊遣焚く
    吊橋の下に広ごる合歓の花
    峡谷は柱状節理合歓の花 
 
    (18/06)
    風の径設へ揺らす夏暖簾
    山開き修験の道を御神体  
    やがて雨泰山木の花潔し  
    かたつむり横断歩道の遥けきを
    箱眼鏡ついと水烏賊海底へ 
 
    (18/05)
    蟇鳴くや発雷予報きれぎれに
    窯めぐり白磁眩しき薄暑かな
    茅葺きに瀬音の届く夏料理 
    蚊遣火の一夜乱れぬ渦となる
    噴き水の飛沫のきらの風に乗り
 
    (18/04)
    呼び出し音向かふナースに春の月
    花海棠真白き衿のナース来て
    花冷えや血圧計を朝に夕  
    花追へば常より延びる散歩かな
    花並木名残の花を蘖に   
 
    (18/03)
    かげろふや船も鴎も海に融く
    客人(まろうど)の声と囀りドアホンに
    降雪の予報途絶へて信濃春  
    老梅の虚(うろ)の深さよ通院日 
    春の日は落暉水面と宙にあり  
 
    (18/02)
    梅見茶屋暖を求めてまた二人
    櫓では舞楽の調べ建国日   
    城垣の縁を象る春の雪    
    斑雪にも揺るるオリーブたおやかに
    メダルには届かぬ人の冬五輪 
 
    (18/01)
    七重八重拝殿に寄す初参
    初詣仰ぎて拝す奥の院  
    境内に神籤初願の花の咲く
    初弾きや黒紋付きの裾を曳く
    少年の肩に達磨の注連貰 
 
 
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    (17/12)
    凩や交す言葉を奪ひたる
    やり残すことも始末と掃納    
    オリオンやカズオイシグロ読み了へる
    落葉の枝を顕はに寒茜     
    寒禽の風によろめく山に棲む   
                  
    (17/11)          
    畑作業上がりを早む冬に入る  
    追われてはまた一団に稻雀
    猪道に交はる辺り急く散歩
    山深く人住まふらし藁こづみ
    時惜しみ高嶺蜻蛉の番ふ夕
 
    (17/10)
    小夜更けて山中玲瓏虫の声
    かなかなや中也の妻は家を出て
    二人居て階上階下秋更くる 
    漆喰の蔵の戸開く豊の秋  
    安曇野の山懐も豊の秋  
 
    (17/09)
    命日や月見酒などして偲び
    暮れなずむギヤマン色に赤蜻蛉
    釣舟草幽けき風に艫揃へ  
    ナナフシの骨身に沁みる秋の風
    過疎の地を朝夕二便のバス下る
 
    (17/08)
    肩車父のことなど大花火
    大花火終へて家路の静かさよ 
    新盆や故人好みの煙草入れ  
    戒名も燈の一点に流燈会   
    かなかなや寝覚の床に日の暮るる
 
    (17/07)
    寝つかれぬ思ひは千々に夜の蝉
    海上に島の顕はる夜の雷  
    流木も骸のごとく梅雨出水  
    子燕や親の軌跡を習い飛ぶ 
    短夜や季語のいずれに迷ひけり
 
    (17/06)
    濡れるほど紫陽花明し京の路地
    乱鶯の間男のごと狼狽へり 
    熟れ落つる山桃染むる停留所
    梅雨の月杜の梢の影重し 
    タバコ畑人は呑まれて麦わら帽
 
    (17/05)
    ウォーキング五月幟の休息場
    老いの屋に新たな家族夏燕
    分け入れば石楠花明し奥の院
    夏山にムサシアブミの蔭ありぬ
    窓と窓風を通せり五月晴  
 
    (17/04)
    かけがえの無き出逢ひ得て春の月
    げんげ田の傍に朝どり直売所 
    つづれ折曲り降れば花菜照る 
    花冷えや米を研ぐ手の急がるる
    嬰児をあつかうよふに蕨手に 
 
    (17/03)
    希望校ゆけぬ娘よ春愁ひ
    砂浜の潮寄す辺り櫻貝  
    啓蟄の畑の賑はひ耕運す 
    駅仕切る蘇鉄に混じり黄水仙
    次発まで文庫を読みて春の駅
 
    (17/02)
    水墨の五彩豊かや雪景色
    春きざす庭師花芽をまた見つく
    異国の名掠るる魚具や春の浜
    島の春流木人に似て届く  
    内海の汀あをさの光摘む  
                 
    (17/01)        
    古民家の寒き所に幸木   
    令室の名前で届く年賀状  
    神籤より何か艶めく懸想文 
    評判の巫女に集まる宵戎  
    お目当ての歌留多取りけり初笑
 
 
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    (16/12)
    行く年や家人のことを先にして
    浮き寝鳥皆吹き寄せらるる壕の角
    砦跡栄華を偲ぶ花八手   
    欄干に修行僧めく冬の鷺  
    甘鯛の情けなき顔トロ箱に  
 
    (16/11)
    紅葉散るとんばい塀の道に沿ひ
    陶板の赤絵を洗ふ秋時雨
    松茸飯献上写しの碗に盛る
    烏瓜実は赤々と枯れ尽くす
    銀杏散る番所近くに御用窯
               
    (16/10)       
    灘五郷蔵を巡りて今年酒 
    秋夕焼軍艦島の光背に    
    敬老日米寿手形の朱の深み  
    柿簾今年の出来を子に電話  
    父逝くや従兄弟再従兄弟の秋彼岸
 
    (16/09)
    台風の進路予想に子の電話
    消印を見れば旧友秋遍路
    秋澄むや白磁に藍の花鳥文
    山閑美男蔓に朱の兆し 
    白骨林総身研ぎたる秋の水
 
    (16/08)
    声明の遠く聞こゆる今朝の秋
    墓洗ふ褪せし供花を詫びながら
    穂芒に温みの残る里の夕  
    杣道の中にほつほつ野紺菊 
    原爆忌祈りのために生かされて
                 
    (16/07)         
    入賞にひとつ届かずビール酌む
    おはぐろのなほ閑なり沢の上
    アマリリス臆せず話す帰国子女
    夕凪やスピンネーカー緩く張る
    鷺草の水の中より飛び発てり
                
    (16/06)       
    空蝉のなほもしっかと草を抱く
    付け文とふと疑ふて落とし文 
    リール巻く青べら瑠璃の日を弾く
    釣り仕舞ひ帰帆のどかに沖鱠
    林立のマストの上に雲の峰 
 
    (16/05)
    少年の声の馨れる菖蒲の湯
    菖蒲湯や女児も混ざりて香に戯るる
    肥後六花地震の響きに噴井絶ゆ
    地震の空雛を探して親つばめ  
    雨上がり老鶯一声魁ぬ    
 
    (16/04)
    月朧名画館には岸惠子
    花篝女人抜襟深くして  
    山桜あの辺りより峠道  
    けふもまた散華のごとく藪椿
    鶯や濃茶茶碗を手にとどむ
 
    (16/04)
    少年の声の馨れる菖蒲の湯
    菖蒲湯や女児も混ざりて香に戯るる
    肥後六花地震の響きに噴井絶ゆ
    地震の空雛を探して親つばめ  
    雨上がり老鶯一声魁ぬ    
 
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