アルファ補正 -解答編


アルファ補正 問題編の解答
 山口さんから頂いておりました問題の解答をいただきましたので、掲載します。初めての方は一度考えてから解答をご覧下さい。

山口励 さんは書きました:
> 「α補正をどの様に各ナビゲーターが処理しているのか」という国内ナビゲーターの永 >遠の課>題について、全日本戦をベースに思いつくまま問題形式で書いてみます。 >但し、私の経験してきた時代と現在のラリー運営方法(CP間の距離規制、コマ図への距 >離記入及び競技車両(私が使用したのはファミリア4駆までです。一部ランサーも含まれ >ますが)の違いにより、現在ではかなりずれたものになると思います。 > 「小田切順之君の弁によれば、ラリー区間の減点はよりシビアになっており」、各ナビ >ゲーターの奮闘が勝負のベース(ラリー区間の減点が人より大では勝つことが困難)とな >ってきているようです。ナビゲーターの技術がより重要視されてきていると思います。 > > 「円盤または手回し式計算機」でどこまで正確にできるかですが、TE27、37、ミ >ラージュで優勝した場合で、各CPでの平均誤差はほぼ3秒以内です。現在では、1秒以 >内にとの要求がドライバーから出ているそうですが。 > 昔の「DCCSウインター(スパイクタイヤを使用)」では、1CPで必ず5秒以上の >誤差を生じていました。 >2CPからはあまり補正の問題はありませんでした。数年この問題に悩 >まされましたが、ある時期から解決しました。3人のナビが協力して正規の補正値にαを >いくらにすれ >ばよいか発見したからです。原因と解決方法については考えてみてください。・・・問1

> 車のセッティングによっても大幅な違いがあります。「アンダーステア」と「オーバー >ステア」では、一度痛い目に遭いました。ハイアベの途中でいつもと車の動きが変わって >いるので伸弥君に尋ねたところ違うとのことでした。もうあとのまつりでした。・・・問2

> PMCSクリサンテーモでは、つなぎ区間ではアメリカ式CP、ハイアベ区間ではヨー >ロッパ式CP、という混在したラリーがあり非常に楽しいものでした。ドライバーとナビ >はない知恵を絞りながら、また各チームは狐と狸と化かし合いながら戦いました。 >特に綾部選手とはその当時のNo.1かけ闘いました。 >どの様な作戦が良いか。ただ作戦を間違えれば、最初のハイアベ区間で脱落します。 >・・・問3




山口励様よりいただきました解答です。
<問1の解答>
1.DCCSの補正について
MCPにおける正規補正に0.2〜0.3%ぐらい上乗せしました。DCCSウインターでは、数年間いつも1CPで遅れていました(数秒から10秒ぐらいまで)。し かし、ある程度CPを経過したならば、つなぎの区間でも誤差が小さくなったり、大 きくなったりしていました。
 原因として考えたのは、主催者側の測定開始時間だと思っています。主催者側は東京 からスタート地点について、即測定を開始しているはずです(タイヤは暖まったまま です)。我々参加者側は、長い時間経過した後にスタートします。タイヤは冷え切っ た状態です。このタイヤの状態差が誤差を生むと考えて、前年の地図に基づき調査した結果です。特に、スパイクタイヤを使用していたので差が大きくなったと思ってい ます。


<問2の解答>
2.オーバーステアとアンダーステアについて
4WDは2RWDに比べて、主催者側との距離差は全体に少ないはずです。ただし、 オーバーステアのセッティングになっている場合には、コーナーでの空輪が多くなります。特に浮き砂利の道では激しいです。昔のTE27では、約20%ぐらいの差がでたと思います。
 アンダーステアの方が、距離誤差が少なくナビとしては安全なはずです。 ナビとして一番困るのは、指示速度に乗るか乗らないかの区間だけです。この区間のドライバーに対する指示が一番大切になってきますし、またドライバーの運転方法も余裕が少なくなっており、距離差も大きくなるはずです。この区間の指示がドライバ ーからの信頼度にも影響してきますので。 ドライバーも前回のセッティングから変更があればナビに必ず知らせるべきです。タイヤの空気圧についても同じです。


<問3の解答>
3.PMCSについて
 現在、国内では各CP間が独立して採点されるアメリカン方式でラリーがおこなわれています。過去に数回、区間ヨーロッパ方式を用いたラリーがPMCSで行われました。ヨーロッパ方式は、スタート地点を基点にして各CPでの誤差が減点になります。すなわち2CPで50秒遅れていたならば、3CPまでに50秒取り返さなければそのまま減点が累積されます。
 PMCSでは、各林道の入り口にあるCPが基点(再スタート指定時間)となり、出口CPまでの複数CPが一体になっていました。すべての区間で指示速度に乗れれば問題がないのですが、乗れない指示速度だと減点は飛躍的に増加していきます。
 指示速度に乗れない場合の最小減点は、入り口(早着)と出口CP(遅着)の減点が同じで中間CPが0減点です。林道とCPの数を読み間違えたりすると、ひとつの林道で数十秒差(数分)はすぐつきます。乗れないと判断した場合、入り口CPに何秒早着するのかが重要になり、他チームの動き(先行度合い)を監視する目つきが変わってくるわけです。一番短いCP区間距離は約1分だったと記憶しています。
<山口 励>

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