<その35> リセット

1階のホンナム(トイレ・水浴び所)のトイレ部分には、2階からの水漏れ防止のトタンが張ってあり、木の梁との隙間からトッケーが出入りしているのは、以前から知っていた。

ゆうべのこと。ドアを開けて電気のスイッチを入れた。壁にいたトッケーがびっくりして、あわてて上に這い登る。

あんまりあわてて、ゴーーーーン!

トタンにおもいっきり頭をぶつけ、3−4回頭を左右に振るトッケー、気を取り直してそろそろと木の梁との隙間に逃げ込んだ。

そんなにあわてて逃げることもないのに・・・・頭ぶつけちゃって・・・・まぬけだなぁ・・・

ところで、大家さんちでは鶏を飼っていると以前にも書いたが、当初数羽だったのが最近では20羽近くに増えてそれはそれは騒々しかった。もちろん頭領は例の「ごくろうさん!」。この父さん鶏以下、羽の色や模様も美しくなったオスやふっくらしたメス、ひよこ連れの母さん鶏などがぞろぞろ、時々コケーッコッコッコッコッコ・・・と騒ぎながら地面やバナナの葉をつつきまわし、我が物顔に辺りを闊歩していた。ところが、おとといの晩、鶏小屋の前で売買の様子。計りと籠をもった人間が大家さんと交渉を成立させたらしく、何羽か買われて行った。

翌朝。買われて行ったのは数羽だろうと思っていたら、なんと残ったのは、ごくろうさん父さんと子連れ母さんと少女期の鶏1羽のみ。あの、威勢のよかった青年隊とその取り巻きの影も形もない。一夜明けたらすっかり寂しくなってしまった。一族郎党を仕切っていた父さん鶏もこころなしかがっくり来ているか・・・?いやいやそんなことはない。ごくろうさん!と前より声を高らかに、家族再生開始のもよう。

8/23/'04

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