<その26> 市場礼賛

(写真がない。買い物に、財布を握り締めて行っても、カメラは持っては行かないため。今回もその前も写真を撮ろうとカメラを持っていざ乗り込んでも、シャッターはおろか、構えることさえはばかられるのはどうしたことか・・・たぶん、観光客ではなくて住人になってしまってるからか。というわけで、写真がない。)

ロイエットの市内には、主な市場が3箇所ある。業者用には、卸売市場がはずれの方にある。市場はタイ語でタラート。

家の近くのタラート・ノンケンはこじんまりとまとまった市場で、食材市場を中心に衣料品店や電気店、金物屋、生活用品を扱う様々な店などがぐるっと囲んでいるような一画である。食材市場では、野菜・肉・魚・乾物・加工食品などの基本的食材や、東北独特のおかずを 売っている。カノムチンというそうめんによく似た米麺とそれにかけるカレー汁(ゲーン)各種は、手軽な朝食や昼食になるし、ガイヤーン(鶏のあぶり焼き)は蒸したもち米と一緒に食べれば腹持ちがいい。市場の中は、午後もやっているが、朝の活気はない。むしろ、夕方に市場の外側をまわってみれば、朝と違った店がずらっと並び、夕食用に買出しに来た人で賑わう。市内の西にはタラート・ハイソークがある。こちらの方が大規模に感じるが、それは、市場の一角に沿ってある通りに 、ずらっと生鮮食材の露店が出るせいだろうか。 露店といっても、おばさんたちがござの上に野菜やきのこを広げていたり、ちょっとした台に物を乗せて売っていたりするのだが。。。どちらの市場も魚売り場辺りは足元がびしょびしょである。魚といっても、海が遠いここ東北地方、大小のナマズがたらいの中で暴れている。飛び出して逃亡を試みるのもいる。 鯛に似た大きなルビー魚もぴんぴん跳ねている。雷魚や小魚、名前のわからない淡水魚がいろいろだ。海の魚は大ぶりのアジや鯖が冷凍で運ばれてくるぐらい。海のもので人気はイカ。こちらではイカを使った惣菜が結構ある。エビもあるがやはり海の近くの県に比べて高いのは仕方がない。が、川エビがある。ただし、大きな淡水のエビは専門の養殖場直営の店に行く方がいいようだ。

3つ目のタラートは惣菜市場と私は呼んでいる。初めてロイエットにやってきた頃(2002年4月)はまだ出来てなく、ある通りに夕方になるとずらーっと屋台が出揃って賑わっていたのだが、まもなくこの屋根つきの広い惣菜市場が誕生し、皆移ってきた。小さなスペースを市から借りて営業する仕組みのようだ。ときどき顔ぶれが変わったり、増えたり減ったりしている。午後4時ごろから出始める各店はさまざまな惣菜・果物・菓子などで色とりどりだ。その場で作って簡易にしつらえたテーブルと椅子で食べさせるのもある。粥、麺。蒸したもち米にガイヤーン、ソムタム、ナマズといったイサーンの定番。イサーン独特のプララー(魚を発酵させた汁のようなもの)を入れて作った各種スープやつけ味噌。鶏や豚肉や魚の素揚げ、川エビのてんぷら。焼き物、蒸し物、煮込み、炒め物、各種タイカレーなど何十種類ものおかずとご飯。虫のから揚げもある。ほんとうに迷うほど色々あり、さらにパンや菓子、デザートセット、果物・・と尽きない。おかずは、一人分大体15Bから30B分ぐらい買えばじゅうぶん。汁物でも何でも、ビニール袋に入れて口をしっかりと閉じ、輪ゴムでククッと結ぶ早業はタイどこでも見られるテクニック。最近私はおかずを自分で作ることが多いが、実は、買った惣菜の方が、入っている野菜など少量にして種類が多いし、金額的にもそれほど開きがない。ここは、夜9時ごろまで大変賑わっている。安くて手軽、働くかあさんの強い味方。

惣菜市場は午後4時ごろから始まると書いたが、ここに朝行ってみる。6時にはもう開いている。8時過ぎまで盛況で、10時になると閉めるところが出始め、昼前には片付いている。そう、ここは朝と夕方とで、出店者が違うのだ。朝は、新鮮な野菜や果物、肉、川魚、海のもの、米などのほか、通勤の人たちが朝ごはんや昼ごはんにしようと買っていくおかずとカオニオなど売っている。ほかほかの豆乳と揚げパン(パートンコー)も朝の定番。食べ物の他、こまごました小物やアクセサリーや生活用品も少し出ている。

ロイエットでなくても、タイ中の町どこにでも同じようなタラートがあり、生活の基になっている。最近は各県に外資系の大型スーパーが出来、それはそれでとても便利なのだが、生鮮食料品やタイの菓子はなんといってもタラートに限る!普通の商店街は、大型スーパー進出の影響で痛手を被っているところが多いと聞くが、タラートはまだまだ健在と信じている。

6/17/'04

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