<その24> 5963
夜明け前に目が覚めることがある。
午前4時、近所の寺から「起きよ、起きよ・・」という鐘の音が聞こえるが、その前に目が覚めることもある。
3時、いや2時頃から早過ぎる時を告げる鶏によって。
鶏はこちらは軍鶏である。シャモとはシャム産の鶏だからそういう名前なのか。大柄でキッとした顔つきをして、オスは彩りのよい立派な鶏たちである。
鶏の鳴き方は万国共通「コケコッコー」かと思っていた。あ、この言い方には語弊があるかな、コッカドゥールドゥー(英語)とかエッエエッエー(タイ語)とか違いはあるのだが、メロディーは大体同じものだと思っていたのだ。そうしたら、だいぶ違うことがわかった。
午前2時3時に最初のときを告げるのは、「ひっとごっろしーー」と叫ぶ。これはこの一画の奥の家のほうから聞こえるのだが、そう聞こえると思ったらもう2度と別の声に聞こえないのだ。物騒な鶏である。
それに続くのは隣の大家さんちの親分鶏で「ごっくろうさん!」(「さん」を上げ気味にして)鳴く。
その他に、「コックローチー!」と鳴くのもいるし、「コッカドゥールドゥー」に近いファラン(西洋人)の鶏もいる。
さて、大家さんちの隣りである我が家の周囲には、「ごっくろうさん!」親分一族が年中うろうろしている。
この親分を5963と書く。5963一族をお目にかけよう。
まず、うちを覗いている5963のキッとした容姿をどうぞ:
←彼はこのようにバタバタさせてから、「ごっくろうさん!」と鳴く。
(左)奥さんナンバー1とその雛たち。最初は6羽いたひよこも、このぐらい大きくなる頃には淘汰されて半分になっている。「あ、危ないわ、狙われてる。早くあっちに行きましょ」とひよこをせきたてているお母さん。 | |
(右)奥さんナンバー2とその雛たち。こちらのひよこ方が後から生まれたのでまだ少し幼い。こちらもひよこの数が減って2羽になってしまっている。5963は私がカメラを向けたので、首を伸ばしてキッとこちらを睨んでいる。 |
5963の恋仇 背が高くて首の辺りが金色、かっこいい。 (が、あるとき忽然と姿が消えた) |
バナナ畑の前に積んである土管の上で休む少年隊。
他にもここ何ヶ月かの間に、最初は可愛いひよこだったくせに成長して悪ガキ隊となり、今では立派な若者となって父親の5963を凌ぐ男前になった鶏たちもいる。そのガールフレンドたちもいる。ご紹介しきれないのが残念だ。
6/16/'04