<その21> 母さん犬

紹介します。数匹いるこの界隈の犬の一匹・・メス、ひそかに「母さん犬」と呼んでます。

いつも、「すみませんねぇ・・」という顔をしているのに、喉が渇くと、全く挨拶なしに堂々とうちの水鉢(熱帯魚が入ってる)の水を飲んで去っていく。目が合うと、すみませんねぇ・・・(顔つきだけだけど。)

ご飯の余りは裏の草叢に捨てておくと、いつのまにか来てきれいにたいらげている。

ある日私は、いつものように、豚の3枚肉(ばら肉)の塊を揚げていた。日本で買っているばら肉と違うのは、皮もついていて、塊で揚げておくとその皮がカリカリになるのだ。塊で揚げたものを端から薄切りにして菜っ葉と炒め合わせるのが大好きである。 口の中でカリカリ部分と脂身がうまく合わさって実においしい。
ただ、塊で揚げるのは、素揚げだから、油のはねることはねること・・まるで花火のようだ。うちの台所はコンクリ打ちっぱなしで半ば土間みたいな感じで、はねたって大したことないから、壮大に油がはねるにまかせているが。
ま、そんな感じで今日も7−8分かけて揚げたムーグローブ(と呼ぶ)、こんがりと美味しそうだ。

まだ昼までには時間があるな。台の上の新聞紙に載せて置き、ちょっとTVを見ていた。

・・約5分経過・・

さぁ、炒めようっかなぁ〜と台所へ。す、すると・・・
そう、あなたの予想通り、肉が消えていたのであった。

台所=土間。
外への扉はいつも開け放してある。その向こうに、母さん犬が「すみませんねぇ」という顔で満足げに笑ってた。

5/22/'04

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