その10

美味しさ

タイ人の先生たち数人が中国雲南省昆明へ遊びに行って帰ってきた。

面白かった、寒かった、と写真を見せてくれる。石林や花博の跡地の公園の美しさに感動していた。

でも、ドアや仕切りのないニイハオ・トイレには閉口して、滞在中なるべく水を飲まないようにしていたらしい。トイレは同時に水浴びの場であり、子どもでも水浴び中の母親の裸の姿を見ることのないタイの習慣からしても、仕切りがない上に清潔とは言い難いトイレは耐えられなかったようだ。

●中華料理は美味しかったでしょう?

○とんでもない!味が薄くてまずくて・・・

●日本料理も味が薄いですよ。

○日本料理はまた味が違います。中華料理は味が薄くて美味しくない!

(日本人の私からすれば、海外でその土地の料理の味が合わなかったときの一番の避難場所は、世界中どこにでもある中華料理店なのに・・・。雲南省の料理が格別薄味だというわけでもないでしょうに。)

●でも、うちの娘がいた東北中国の餃子はとっても美味しかったですよ。

○餃子?あぁ、ぎょーさー(「さ」を高めに発音)ね。えっ!ぎょーさーは日本料理でしょ?

●いいえ、中国から来たものですよ。

○日本料理かと思っていたわ。

と、ここで初めて自分の判断がぐらつきかけた顔・・・でも、「味が薄い」という印象が強烈過ぎて、きっと「中華料理はまずい」とこれからも言い続けてしまうんだろうな。

タイで最近とても流行っている日本料理。考えてみれば、わさびをたっぷり(タイ人はたっぷり)入れた醤油につけて食べる寿司といい、丼物の甘辛い味といい、やきとりのタレ、天つゆの味といい、薄味というほどではない。ピザ・イープン(和風ピザ)といって人気のお好み焼きもそう。煮魚にいたっては、濃い目に煮付けた煮魚ならば、そっくりの味の料理がタイにもある。

タイ人の舌に言わせると、「薄味」=「まずい」なのだ。

しかし、日本料理。
この地ではあまりお目にかからない、あの上品な煮物とかお澄ましだったら、彼女達タイ人先生にどう受け取られるだろうか。

 

8/12/'04

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