「逆転裁判2」
GBA用ソフト/CAPCOM

はじめに
法廷を舞台にした推理ものという新ジャンルを開拓した名作の続編、「逆転裁判2」。すでに固定ファンをも獲得し、強い支持を得ているゲームだ。
今回は、終章とエンディングでの「暗示的な部分」に言及してみたい。

エンディングから推測されること
まずは、華宮霧緒に、狩魔冥が「出所したら相談に乗らせてほしい」と連絡をした部分を考えてみる。
これは冥が、霧緒に自分と同じ面を見出し、力になってやろうと思ったのがその理由だろう。霧緒が人に依存して生きていたことは捜査段階で明らかになる。そしてエンディングでは、御剣の指摘により、冥が父に縛られ、また依存していたことが語られる。この共通点が二人の接点となっているのである。
なお「相談しろと言っておいて海外逃亡とは、どういうつもりか?」という文句をネット上で見たことがあるが、恐らく冥はあの時点で海外へ行くことを決めていたはずだ。あちらの国での連絡先も一緒に教えてあると考えるのが自然だろう。
冥は自分の内面をなかなか表に出さない人物だ。
これが崩れるのもまたエンディングである。御剣に涙を見せたシーンが、冥の「素顔」だ。霧緒と冥、ずっと仮面を被っていた二人が、それぞれ「新しい自分を見つけて歩き出す」ところで幕を下ろすという構図になっている。

余談だが、冥は御剣を「弟のような存在だった」と言っていた。ここに「矛盾」があるように思えてならない。
御剣は常に冥の先を行く存在だった――ラストで明らかになる事実だ。彼を乗り越えるため、ナルホドを倒すことこそが彼女の「復讐」。確かに狩魔豪に教えを受けはじめた御剣は、生まれたときから教育を受けていた冥の弟分だったと考えられる。だが彼は早々に冥を追い抜いてしまう。年上でもあるその彼を、冥が「弟のような存在」と表現する……事実そうであったのは、彼の能力が冥よりも劣っていた一時期だけだろう。だから、この言葉に違和感を覚えるのだ。
あくまで推測でしかないが、冥の発言は御剣よりも下に見られたくないという、彼女なりの強がりだったのではないかと思う。先に行ってしまった彼を見下すようなニュアンスで言葉を発することで、何とか自分のプライドを守ろうとしていたのではないか。状況が不利になると鞭を使って相手を一喝することが多かったのは、自分を守るためでもあったのだろう。
弱さを隠し続け、虚勢を張っていた彼女であればこそ、こうした仮説もあながち間違いではないように思われる。

最終話での主題
最終話では、「信頼」が大きなファクターとなっているのが見受けられる。最後の裁判では、遺留品の到着――イトノコと冥――を信じ、御剣の力を信じ、力を合わせてそれを待ち続けた。
ナルホドと御剣の関係、「弁護士と検事は、真実に辿り着くために互いを信頼し合う」という結論はその最たるものだ。
敵役であるコロシヤも、美学として依頼人との信頼関係を何度も強調していた。最後の事件がその関係を突き崩すことで決着するのは、ナルホドたちとオートロたちの人間関係を対比し、その違いを強調して主題を浮き彫りにするためだろう。
前作から、たびたび千尋が「弁護士は依頼人を信じること」とナルホドに教えていることも思い出される。
裁判という要素に、この主題はとてもよく合っている。今後も逆転裁判という作品の中で重要な位置を占め続けるのではないだろうか。

続編の可能性
今作のシナリオは続編を作るということを前提に組まれている印象がある。出る確率は極めて高い、と予想する。論拠は以下の通り。

1.綾里舞子があと4年で里から除名される(第2話より)――DL6号事件で詐欺師呼ばわりされて姿を消した人。行方不明、かつあと4年というリミット。次回作で舞子が登場する可能性がある。
2.アメリカへ行ってしまった狩魔冥(エンディングより)――検事として再起した彼女と会うことになるはず。ただ、ナルホドがアメリカに行って裁判をするというのは考えにくいため、日本に戻ってくるという形ではないだろうか。これに関連して以下の要素が。
3.逃亡したコロシヤ(エンディングより)――「日本にはいづらくなってきた。海外へ逃げる」と発言。あちらで狩魔と遭遇していそう。その事件絡みで2人が再登場し、ナルホドの出番、と。
番外:マックスが「海外公演をやる」と言っていたが……ここまで要素が固まると舞台はアメリカか? いや、まさか。……弁護士免許どうするんだ、ナルホド。
番外2:警察を辞めてしまった須々木マコ。新しい職場で再び事件に巻き込まれそうな予感。
ネタ:冥から預かった鞭。なぜか「懐かしさを感じる」などというメッセージが出る。なぜ鞭に懐かしさが? ……はて。まさかナルホドには隠された過去が??
要望:矢張を出して下さい。大好きなんです。意外と切実だったりします、えぇ。

最後に
万一、ゲームの内容と明らかに矛盾している記述があれば、容赦なく「異議あり!」とお願いします。証拠品の提出は義務ではありません。意見、反論、揺さぶり、その他歓迎します。

(2002/11/04)


追記
2003/08/01……待望の「3」が制作中であるという事実を確認! 待ってました!

追記2
2004/03/04……上の予想は当たったり外れたり、でしたね。3について、そのうち何か考察するかも。

関連考察
先日、逆転裁判シリーズ共通の「法廷パート」についての考察も書きました。こちらです。


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