少し乱暴なノックの音に、アン子は作業の手を止めて答えた。
「どうぞ、開いてるわよ」
「邪魔するぜ」
 からりと戸を開けて入ってきた相手を見て、アン子の顔に浮かんでいた笑みが消えた。
「なんだ、アンタか」
「お前な。人を呼びつけておいてその言い草はあんまりじゃねぇのか?」
 呆れたように言う京一に、アン子は目の前の空いている椅子を示した。
「写真見に来た子かと思ったのよ。アンタに愛想笑い振りまいても仕方ないでしょ?」
「お前なぁ、一方的な呼び出しに応じたんだから、形だけでも礼とか言えねぇのかよ」
「じゃあ、来てくれてありがと。ああ、鍵をかけといてね。万が一ってこともあるし。そこ、座って」
 お世辞にも広いとは言い難い新聞部の部室には、一応戸口に簡単な鍵がついている。鍵を閉め、京一が戸に背を向けて座れば、取りあえずこれからの話を外部から切り離すことぐらいは可能だった。
 まるっきりうわべだけの礼に眉間に皺を刻みつつも、京一は言われたとおりに鍵を掛けて椅子に腰を下ろす。
 京一が座るのを確認して、アン子は奥の引き出しから仕舞い込んでいたノートを取り出した。
「で、用件ってのはなんだよ?」
 そう尋ねる京一に、
「他でもない、用っていうのはこのことよ」
 と、ノートに挟んでいた一枚の写真を差し出した。
「これ、説明して欲しいんだけど」
 アン子は密かに写真を見た瞬間の京一の表情を窺ったが、京一は不思議そうに首を傾げただけだった。
「ああ?これ、ひーちゃんじゃねェのか?」
 後ろ姿の写真を一発で看破するとは、流石相棒を自認するだけのことはある。しかし、アン子の聞きたいことはそんなことではなかった。
「そうよ。そんでもってこれはアンタよね?」
「お前な。勝手に撮るのはやめろって言っといただろが。懲りない奴だな。盗撮は犯罪だぞ?お前がなりたいのはジャーナリストであって犯罪者じゃないだろが」
 呆れたように言う京一に、アン子は呆れたいのはこっちだと溜息を吐いた。
「誰が犯罪者よ!アンタね、この写真見てそれしか言う事ないの?」
 写真は夕暮れ時の教室を窓越しに撮したものだ。
 影の長い室内に、二人の人間が写っている。
 どちらもカメラの方を向いてはおらず、撮られている事には気づいてないようだ。
 背を向けている学ランの少年の顔に、もう一人の少年の手がかかり、顔が近づいている。
 二人の表情は見えないものの、それはまるでキスを交わす直前か直後のような情景だった。
「それに、これを撮ったのは私じゃないわ。私だったらその場でソッコー真相を質しに行くに決まってるじゃない」
 真神でも人気の高いコンビの、正に衝撃的としか言いようのない決定的場面である。
 つくづく、その場にいたかったというのがアン子の本音だ。
 この写真を撮ったのはアン子の裏稼業の顧客でもある、二年の女子だった。
 京一に憧れているというその少女は、アン子から買った写真では飽きたらず、カメラを持って3ーCの教室を狙っていたらしい。しかし、偶然見かけたそのシーンに驚いてシャッターを切ったものの、どう扱って良いかわからずにアン子の所に問題の写真を持ち込んできたのだ。
 自分で突撃する勇気はないが、真偽の程は知りたい、ということらしい。
 一目見るなりこれはスクープだと確信したアン子だったが、ものがものだけにこれをいきなり真神新聞には使えない。
 まずは、事の真相を確かめるのが先だった。
 口裏を合わせられるのを避ける意味で、取りあえずは扱いやすい方を、と京一を呼び出したのだが、京一の反応は想像していたよりもずっと冷静だった。
「真相?写真に真相もなんもねェだろ」
「ちょっと、これ見ても惚けるつもり?どうみたってキス寸前か直後でしょうが」
そう言うと、京一は何度か瞬きした後、深い溜息を一つ吐いてじろりとアン子を睨んだ。
「お前、スクープ狙いすぎてなんでもかんでも怪しく見えてんじゃねェの?どこをどう見たらそんな風に見えるんだよ?」
 真面目に言い返されて、アン子は怯んだ。
「だって、そう見えるじゃない。これ撮った子だって、それでショックを受けてあたしんとこに持ち込んできたんだから!」
 しかし、京一はあくまで冷静に言葉を返す。
「見えるって、見えるだけだろ?偶然そう見えただけで、なんでキスなんてことになるんだよ?」
「だって、そりゃ…」
 突っ込まれるとはっきりとは言いにくく、アン子は口ごもった。
 アン子とて、この写真がキスシーンだと百%信じている訳ではない。
 しかし、そうかもしれないと、そう思わせる要素があったからこそ、わざわざ京一を呼び出したのだ。

 京一と龍麻は非常に仲が良い。
 龍麻が転校してくるまで、どちらかと言えば一匹狼の印象が強かった京一だが、龍麻が転校してきてからは一緒にいないことの方が珍しいくらいだ。
 以前も醍醐などとはよく一緒につるんではいたものの、それでも今の龍麻ほどではないだろう。
 なにより、龍麻とつるんでいる京一は酷く楽しそうだった。以前の、何かを持て余しているような所が全く影を潜めていることからも、それはよくわかる。
 ここまで条件が揃えば、昔を知る人間が妙な勘ぐりを抱くことだって充分有り得るし、こんな写真があればなおさらだ。
 そうアン子は思うのだが、京一にはその辺りが納得いかないらしい。
「そもそも、こりゃ教室で撮ったんだろ?んなとこでそんなシーンを想像するのもおかしいって」
 そう言いながら写真を手に取った京一の動きが不意に止まった。
 目を見開き、何かを見つけたかように写真をじっと凝視している。
「ちょっと、京一?」
「この写真…いつのだ?」
 低い声で尋ねられて、ついアン子は聞き返した。
「え?」
「この写真、いつ撮ったんだよ?」
「え、えーっと、確か文化祭前って言ってたと思うけど…」
 撮ったのは少し前のことらしいのだが、その頃は文化祭のごたごたでアン子も忙しくしており、声を掛けづらかったらしい。
 それを聞くと、京一の眼差しは更に鋭くなった。
「…この写真、ひーちゃんには見せるな」
「龍麻君に?なんでよ?」
「いいから、ひーちゃんには絶対見せんな。それで隠し撮りしてた事はチャラにしてやっから」
「だから、撮ったのは私じゃないって…って、待ちなさいよ、説明しなさいってば!」
 写真を伏せて置くと、京一は席を立って戸に手を掛けた。慌ててアン子も立ち上がる。
 しかし、京一はアン子の制止には応じずに、
「お前らが想像してるような事なモンじゃねェよ。その、撮ったって子には誤解だって話してこれは処分すること。くれぐれも、ひーちゃんには見せるな。いいか、見せるとお前だって面倒なことになるんだからな?」
 と念を押して、そのまま行ってしまった。
「なんなのよ、もう…!」
 置いていかれた形のアン子は、苛立たしげに頭を振った。
 最初はあっさり否定した癖に、最後にあんな態度を取られるとどうにも気になってしまう。
 あれでは、何かありますよーと言っているようなものだ。
「要は、龍麻君に見せなければいいのよね…」
 半端な形で好奇心を刺激されたアン子の目がきらりと光った。



「悪いわね、醍醐君。部活行くとこだったのに」
「いや、それは別に構わない」
 突然呼び出したにも関わらず、快く応じて屋上までやってきた醍醐は、こほんと一つ咳払いをして切り出した。
「それで?話というのはなんだ?」
 その顔には、『今度はどんな問題を持ち込んできたんだ?』という疑問が思いっきり貼り付いていて、アン子は流石に苦笑した。こればかりは日頃の行いがあるので文句は言えない。
「今回はそんなややこしい話じゃないのよ。ま、百聞は一見にしかず。ちょっと見て貰いたいんだけど」
 そう言って例の写真を差し出すと、醍醐はそれを受け取って眺めた。
 最初は訝しげだったものの、次第にまるで音のたつような勢いで顔面が真っ赤に染まる。
「こ、こ、これは…」
「それ、どう見える?」
「どうと言われても…」
 言い淀んだ醍醐は写真を直視できずにちらちらと見ていたが、はっとしたように写真に視線を戻した。
「これは…京一じゃないのか?」
「でしょ?それでこっちが…」
「龍麻か」
 そう言うと、醍醐は納得したように頷いた。
「それでお前がこんな写真を持ってるわけか」
 それまでとは打って変わって写真をしげしげと眺めると、醍醐は苦笑に近い表情でアン子に向き直った。
「遠野…お前が色々とやってるのは知ってるがな。ほどほどにしておけよ?」
「ほどほどって、なにを?」
「文化祭の時も、しきりに写真を撮っていたじゃないか」
「ちょっと…!あれは正当な部活動よ!ちゃんと許可だってもらってるし」
 新聞部の活動費はお世辞にも潤沢とは言えない。学校行事の記事や記録などでそれなりの金額を振り分けてもらってはいるのだが、そんなものは設備の必要経費だけであっさり飛んでいき、取材にかかる経費などは自腹コースがほとんどなのだ。
 真神新聞の売上は掲載記事に左右されがちだし、その記事にしても取材なしには書くことも出来ない。取材費の捻出は、新聞部部長にとって切実な至上命題なのだ。
 それを手っ取り早く簡単に解決するために、取材中に撮った写真を生徒たちに売るという手段が執られているのはほとんど伝統のようなものであり、問題写真をばらまいたりしない限り、教師たちにも黙認されている。
 正当な部活だと言い切るアン子に対し、醍醐はちょっと肩を竦めて言い返した。
「そうか?撮っていた回数に対して、見本に張り出してある写真の数が少ないような気がするんだがな」
「そんなことは…ない、わよ」
「どうだかな」
 苦笑混じりの突っ込みに、アン子の反論も尻窄みになる。
 人気の高そうな写真、マニア受けしそうな写真を他の写真よりも高値で取り引きしていることは、さすがにばれたら問題になる。
 それを避ける為に裏でこっそり販売網を展開しているのだが、醍醐にはどうもその辺りの事情がばれてしまっているらしい。
 隠しても無駄だと判断すると、アン子はあっさり隠蔽を諦めた。
「いいじゃない、ちょっとくらい。取材費はいくらあっても足りないくらいなんだから」
 開き直ったアン子に、しかし醍醐はどこまでも真剣だった。
「しかし、その写真は被写体である相手には了解を取ってないんだろう?あまりやりすぎるのは感心しないがな」
 実に醍醐らしい、生真面目なコメントである。
 無許可という点では多少の後ろめたさも感じているアン子は、頬を膨らませつつも頷いた。
「その辺は心得てるわよ。撮ったものを全部出してる訳じゃないし、一応売る相手も選んでるしね。ホントにやばそうなのは出してないし」
 醍醐は首を捻りつつ、これがか?と渡された写真を示した。
「これはなぁ。出すとまずいんじゃないのか?京一も龍麻もいい顔はしないだろう」
「これは私の撮ったものじゃないの。だからこそ、真相究明っていうか、はっきりさせることが必要なんじゃない。これを撮った子は見たまんまを信じられなくて、私の所に持ち込んできたんだから!」
 力説すると、ようやく醍醐の態度に『聞く姿勢』が見えてきた。
「遠野が何を言いたいのかはわかったが、具体的には何をしたいんだ?本人に誤解だと説明する以上のことは出来ないと思うが…」
 ここが勝負のしどころ、と、アン子はぐっと拳を握りしめて身を乗り出した。
「誤解じゃないとしたら?」
「………?」
「この写真、実はもう京一にも見せたのよ。そしたらあいつ、なーんか変でさ。妙に慌てちゃって、絶対に龍麻君には見せるなって、しつこいくらいに念押ししてきてさ」
 喋っているうちに自分でも気持ちの高ぶってきたアン子は、醍醐から写真を奪い取ると、それを示しながら、
「最初は平気な顔してた癖に、いきなり態度豹変よ?どうも匂うのよね。絶対、何かある。真実を追求するこの私の勘が、この写真には何かがあると告げてるのっ!」
「遠野…お、落ち着け」
 迫力に押され気味の醍醐が一歩下がるのに合わせて、アン子は一歩前に出た。
「真実は明らかにされなければならないわ!こんな面白そ…いいえ、世間が注目している事件に、裏がないはずがないもの。何かがある、そしてそれを知り得る可能性があるのは、親友たる醍醐君、あなたしかいないんだから!」
 アン子の中では、既にこの写真は事件にまで変化してしまっている。
 唾を飛ばさんばかりのアン子に、醍醐は完全に飲まれたように更に後ずさりしながらつぶやいた。
「しかし、そんなことを言われてもなぁ…」
 丁度その時、まるで醍醐の戸惑いを吹き飛ばすような強い風が屋上を襲った。
「あ…!」
 アン子の手からひらりと舞い上がった写真は、風に乗って高く舞った後、滑るように滑らかに屋上から飛び出した。
 アン子が慌てて屋上のフェンスから身を乗り出す。
「危ない…!」
 慌てて醍醐がそれを背後から支えた。
 写真は、何人かの生徒が居る校門前に導かれるように落ちていく。
「遠野!落ちたらどうするんだ!」
 しかし、アン子には醍醐の叱責よりも写真の行方の方が問題だった。
 校門前に落ちた写真に気づいた生徒がそれを手にとり、周囲にいた別の生徒に見せている。
「あれ、ネガは預かってないのに…持っていかれると困るわ!」
 思わず漏れたその本音を聞いて、醍醐はため息を吐いた。
「そこじゃないだろう、気にするところは。まぁ、確かにあんな誤解を受けそうな写真を何も知らない奴に見せるのはよくない。とにかく、降りて返してもらおう」



 悪い時には悪いことが重なるものである。
 階段を駆け下りていると、その先にはアン子が今最も会いたくない人間が居た。
「お前ら、なにやってんだ?」
 丁度帰るところだったのか、鞄と木刀を抱えた京一は、不思議そうに尋ねてくる。
 ほっと気を緩めた醍醐とは正反対に、アン子の顔は動揺に引きつった。
「京一か、いいところに来た。お前も付き合え」
「ちょっと、醍醐君!」
「丁度いい、京一の口から説明があれば妙な誤解も広まらないだろうしな」
「なんだよ、妙な誤解って」
 止める間もなく、醍醐は屋上での顛末を京一に話してしまった。
「アン子…俺は処分しろって言ったよな?」
 京一にじろりと睨まれて、アン子は明後日の方を見ながら言い返した。
「今はそんなこと言ってる時じゃないでしょ。あの写真、回収しないと!」
「…ちっ、まったく、面倒ばっかり持ち込んできやがって」
 文句を言い足りない顔はしていたものの、京一も写真の行方は気になるらしい。それ以上は何も言わずに共に走り出した。


 校門前にはちょっとした人だかりが出来ていた。息を切らせて駆けこむその足音に気付いたのか、何人かが顔を上げたが、京一の顔を見ると揃って何とも言えない表情になる。その顔を見れば、人だかりの中にあるものも想像できた。
「結構集まっちゃったわねぇ」
 さて、どう収めるかと悩むアン子を余所に、京一は躊躇うことなく、つかつかとその人の輪の中に入っていった。
「あ…京一先輩!」
「なんだ、江藤か」
 輪の中心で写真を手にしていた生徒は、どうやら京一の知り合いらしかった。
「その写真、ここでさっき拾った奴だろ?返して貰えるか?」
「あ、はい…」
 手を出した京一に反射的に写真を差し出そうとしたその少年は、不意にぴたりと動きを止めると興味を隠しきれない視線を向けてきた。
「あの、聞いてもいいすか?」
「なんだよ?」
「この写真、これ京一先輩ですよね?これってどういう…」
 言葉尻は消えても、言わんとすることは明白である。京一は肩を竦めて答えた。
「教室で撮った写真だよ。角度が悪くて変な風に撮れちまってるってんで回収しようとしてたとこ。どっかの馬鹿の無断撮影には慣れてっけど、限度ってモンがあるからな」
 そう言って、京一はちらりとアン子の方へ視線を投げてきた。
 周囲にいた生徒達が一斉にアン子の方を見、そして妙に納得したような顔になる。
「新聞部の…」
「ああ、それで回収なんだ」
 周囲でひそひそと交わされる会話に、アン子は焦って前に飛び出した。
「ちょっと…!なんの話をしてんのよ!」
 素早く少年から写真を奪い取ると、京一をきっと睨み付ける。
「これは私が撮ったんじゃないって言ってるでしょ?勝手に話を進めないでよ!」
「どっちにしても、本人の許可を得ずに撮ってることには変わりないだろーが。肖像権の侵害だろ」
 京一の主張は一応筋は通っている。
 おまけに妙に冷静に説得力のあることを言うものだから、その場にいた人間にはすっかり納得したような顔つきである。
 京一の主張に説得力があるのは、それこそ槍玉に挙げられたアン子自身の日頃の行いが問題なのだが、そこは敢えて見ないふりで、アン子は食い下がった。
 ここで引き下がっては折角の美味しそうなスクープの種を逃してしまう。
「こっちだって写真を預かった以上、半端なことはできないのよ。返して欲しいんなら、どういうことなのか説明しなさいよ」
「だから、只の偶然だって言ってるだろうが」
 まるで相手にしない京一に、業を煮やしたアン子はずばりと切り込んだ。
「じゃあ、アンタのあの時の態度はなんなのよ。急に焦っちゃって。アンタが言わないんなら、もう一人の被写体に聞くわよ?」
「ばっ、バカ、ひーちゃんには見せるな、つったろーが!」
 冷静だった京一の表情に、焦りにも似たものが生まれる。その様に、アン子は確信を深めた。
「ほら、その焦りっぷり!なんかあるんでしょ?白状しなさいよ」
「なんもねー、つってるだろ?いいからそれを寄越せ」
「やよ、きちんと聞くまでは渡せないわ。あんた、なんかやましいことがあるんじゃないの?」
 京一は痛いところを突かれたように、うっと言葉に詰まる。
「そ、そんなことねーよ」
 校門前には、元々の人だかりに加えて、騒ぎを聞きつけてきた野次馬などですっかり人垣が出来てしまっている。それらギャラリーの興味津々といわんばかりの視線を味方に、アン子は更に鋭く詰め寄った。
「詰まったじゃない、今!それがやましくない態度だっていうの?」
「あのな、大体それをひーちゃんに見せたらお前だって困ったことになるんだぞ!」
「私?なんで私が?言っとくけど、本当にこの写真は私が撮ったんじゃないんだからね。だからやましいことなんて欠片もないわよ」
 きっぱりと断言したその時、
「んじゃ、ちょっと見せて貰おうかな」
 背後から伸びた手が、アン子の手にあった写真を攫った。