タイトル |
著者 |
レーベル名 |
定価(刷年月),個人的評価 |
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『我輩はカモじゃない』 |
スチュアート・カミンスキー |
文春文庫 |
本体:583円(94/6)、★★★☆☆ |
マルクス兄弟の一人チコが身に覚えのない借金の返済を迫られる。MGMから調査を依頼された私立探偵トビー・ピータースは、まずアル・カポネをたずねて行く。実在の人物が登場するハードボイルド。イラストレーターの和田 誠さんが翻訳をしていた "探偵トビー・ピータース" シリーズ第3段。和田さんは、この本から翻訳をやめて、絵と解説になった。前作を一作ぐらい読んでいると思ったが違ったみたい。マルクス兄弟は主人公と行動を共にするので、良く知っている人にはあっと思うような台詞とかあるんだろうな。
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『映画でボクが勉強したこと』 |
清水義範 |
幻冬舎文庫 |
本体:571円(H9/5)、★★★★☆ |
「サンデー毎日」の映画についての連載エッセイをまとめた本。単行本に幾つか収録されなかった南 伸坊さんのイラストが復活しているそうなのでうれしい。エッセイなのに巻末には映画タイトルからの索引がついている親切さ。あまり映画を見る方ではないが、映画についてのエッセイ、特に少し古めの映画について書かれた本は結構好きだ。映画論とかじゃなくて、親しみやすい内容で良かった。
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『致死性ソフトウェア 上・下』 |
グレアム・ワトキンス |
新潮文庫 |
本体:各629円(H9/6)、★★★★☆ |
文字どうり寝食も忘れてコンピュータに夢中になり、やつれはてて病院に運び込まれる患者たち。デューク病院の医師が、この症候群の原因をさぐると、ひとつのソフトウェアが浮かび上がってきた。
こんなプログラムを想定するなんて馬鹿な話と思っていたが、結局、納得させられた。解説によると、著者は自作のOSに、自作のエディタで小説を書いていた事もあったそうだから、うなずける。サイバー・ホラーなんてオビに付いているけどオカルト的なところは全然ない。話はネットワークを通じての戦いとなる。「DOOM」のシステムを利用してのバーチャル・リアリティでの実戦や、ネットワークを利用して一般からアイディアを募集したりと面白かった。
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『華麗なる醜聞』 |
佐野 洋 |
双葉社文庫 |
本体:583円(95)、★★★★☆ |
日本推理作家協会賞受賞作全集の一冊(19巻)。記者H氏の手記を発表するという趣向で描かれている。事件とも言えない外国の記事を調べるうち、過去の大きな事件の真相に近づくという話。本当にこういう手記があったのか思うほど地味だが、巧みな展開に引き込まれる。
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『ウィザード 上・下』 |
ジョン・ヴァーリイ |
創元SF文庫 |
本体:各563円(94/4)、★★★☆☆ |
「ティーターン」の続編。一応、単独でも読めるように書かれている。土星を回る異星の巨大宇宙船ティーターン。その世界を治める人工知能?ガイアは地球文化を研究し、神話に出てくるような生物を作り出していた。馬の四肢に人間の上半身のティーターニスたちや、翼のある鳥人間たちが生活するティーターン内部での冒険談が描かれる。完全なファンタジーからすると、普通ほのめかす程度のSF的な設定が、正面から描かれている。女だけで生活するコロニーがあり、そこで男は危険だと教えられて育ったロビンが、徐々に男に心を開いていくところや、複数の生殖器を持つティーターニスたちの生殖方法などが興味深く、楽しく読める。
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『夜の終る時』 |
結城昌治 |
双葉社文庫 |
本体:505円(95)、★★★★☆ |
日本推理作家協会賞受賞作全集の一冊(17巻)。やくざとの癒着が疑われていた刑事が行方不明になる。彼の安否を気遣う気持ちと、疑う気持ち半々で捜査する同僚たち。前半ややもたついたかんじだが、後半にぐっと締まってくる。
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『ネメシス 上・下』 |
アイザック・アシモフ |
ハヤカワ文庫SF |
本体:各602円(97/2)、★★★★☆ |
植民衛星ローターは、独自に開発したハイパー・アシスト駆動によって新しい恒星系へ旅立った。この恒星系ネメシスは太陽系に向かって直進しており、5000年後には地球に大打撃を与える事が判明する。ローターの指揮者は、この事を地球に伝えようとしない。5000年後の破滅を地球は避ける事が出来るのか。
5000年後の地球の危機では話にならないと思ったら、結構がんばっている。特殊な能力を持つ少女や、スパイなどが出てきて、いろいろ展開があるのだ。前半の設定は無理があって強引に話を作っている感じがしてしまうが、後半は幾つものSF的な設定を組み合わせて魅力ある作品になっている。
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