無性に子どもを欲しがるカレンに戸惑う、結婚間近のニールに、またも仕事が! ラスヴェガスから帰ろうとしない八十六歳の爺さんを連れ戻せという。しかし、このご老体、なかなか手強く、まんまとニールの手をすり抜けてしまう。そして事態は奇妙な展開を見せた。爺さんが乗って逃げた車が空になって発見されたのだ。砂漠でニールを待ち受けていたものは何か? シリーズ最終巻。
1993年の『ストリート・キッズ』から続くニール・ケアリー・シリーズの最終巻。非情な探偵業を通じて傷つきながら成長していくニールの姿を描いたシリーズだが、初期の3冊から一転して前作から短めのコメディタッチの作品に変化した。
ラスヴェガスから帰ろうとしない元コメディアンの爺さんを、ニールが依頼を受けて自宅に連れ戻す話だけれど、様々な人物の思惑が絡んで、命懸けのドタバタが繰り広げられる。前作の凄い訛りで強烈な個性を発揮していたポリー同様に、元コメディアンの爺さんネイサン・シルヴァースタインの我儘とおとぼけが話を引っ張っていく。
重厚で深い感動を残してくれた初期3作と比べると、物足りない点もあるけれど、コントの台本のような軽妙な会話が絶妙のテンポで楽しめる。4、5作の中編2作でシリーズを締めくくってくれたと思えば納得できる。
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