学校の裏山にぽつんと建つ摂知庵(せちあん)という奇妙な家。少年三人組はそこで神秘的な中年男と出会った。銀色のドームに籠もり、遠い星に思いを馳せる日々。「宇宙」に魅せられた少年たちはそれぞれ大きな夢を追いはじめた。しかし大人になって見上げる空は、ときに昏く……。切なくほろ苦い青春の果てを描く。
仮面ライダーや手塚治虫さんのマンガなど、自分と同世代の設定が懐かしい。宇宙へのあこがれと博学な指導者・せちやんの存在が郷愁を誘う。中学生の彼らとせちやんがSETI(地球外知性探査)に夢を馳せる物語かと思ったら、どんどん物語は進んでいってしまった。薄い割に色々な事が詰め込まれていて予想外だった。
宇宙にコンピュータに投資など、著者の今までの作品の総ざらい的な内容なので、やや雑な印象。余りにも嘘っぽい人生なので、どう感情移入して良いのか分からない。奇想天外な話を面白く読んだけど、ちょっとだけ違うかなという感じもした。SETIなんてそんな夢物語だという意味ではないと思うけど、ちょっとそんな気にもなってくる。
人生って、どんなに成功しても空しい物なのか。夢を追っても、結局何も得られない物なのかな。彼のもとに何が残ったのだろうか?
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