〜5月は紅茶の国〜
「みんなやってくるのよ」
シシーは、ベッドに腹んばいになったままいった。
「どこからさ?」
ドアのところで、ティモシーが大声を出した。
「ヨーロッパからくるのもいるし、
アジアからのもいるわ。
なかには、イギリスからのも。」
【集会】
田園風景の中に、かわいらしい喫茶店がたたずんでいる。
素朴だが、美しい木柱の色が主人の品の良さを表している。
玄関の花壇もまた、心配りのこまやかさを伝えている。千葉県君津市「カントリーガーデン」、5月6日にここでイーティーシーRookwood's紅茶の試飲会は開かれた。
参加者は、Iさん、Oさん、Mさん、園丁ら数名である。●ケーキとサンドウィッチ
テーブルの上には、お茶受けに、たくさんのミニサンドウィッチとチェリータルトが並べられた。
ミニサンドウィッチの中身は、口の中でさわやかさを感じさせるトマトとキュウリと、飽きのこないツナの2種類である。
チェリータルトは、タルトにありがちな重みのある味ではない。
ホロッとした食感と、チェリーの甘酸っぱさを併せ持ち、バターがほのかに香る、くどさのない自家製タルトである。
●ラインナップ
「今日試飲していただける葉は……」
白城さんが、テーブルに十数種類の紅茶を並べる。
数多くの紅茶が並ぶさまは壮観である。
●カップとソーサーの意外な関係
試飲会には、何種類ものカップが用いられた。
「みなさん、なんのためにソーサーがついているかわかりますか?」
と、白城さんが口を開いた。
「イギリスでは、昔、カップのお茶をソーサーに注いで、冷ましながら飲んだんですよ。イギリス人は猫舌が多いですからね。紅茶とは、本来、冷めても美味しいものなんですよ」一同感心していると、参加者のMさんが笑いながら言った。
「だから、カップのお湯をソーサーに注ぐと、ちょうどぴったり入りきるって聞いたことがあります。カップとソーサーの容量は同じなのよって。ただし、安物じゃなくて、高くていい物じゃないとダメなんですって。まさかと思って、ロイヤルコペンハーゲンで試してみたら、これがぴったり! 本当にカップの中身が入りきったんですよ」「それは試したことがなかったなあ!」
と、白城さん。驚きと新発見である。
白城さんが数種類の紅茶を淹れてくれた。
透明なポットの中で、葉が踊る。
「グラグラ沸騰したお湯じゃないと、こうならないんですよ」
ポットを示しながら、白城さんは言う。
「電気ポットのお湯では、95度ぐらいですから、こうはなりません。
ほんの2、3度の差でも、大きいんですよ」
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