周りに「職業ドライバー」の方はいらっしゃいますか?
家族・親戚・友人・ダンナ・奥さんが運転手という人も多いかと思います。「元運転手」という方もいますよね?
運転手のイメージについては「まえがき」に書いた通りですが、では「職業としての運転手」についてはどのようなイメージを持っているのでしょうか?

「仕事がキツそう…」 「手っ取り早く高収入が得られそう…」 「日本全国色んな場所を走ってそう…」etc

景気の良い時は「高収入の代表格」と言っても過言ではなかったのですが、今は「コストダウンの急先鋒」となってしまった感があります
上記のようなイメージは、ほとんどの場合において「今は昔」の語り草になりつつあるのです…
つまり…メーカーが自社の人件費や原料のコストを抑えるだけ抑えるのと同時に、製品を運ぶ「物流コスト」を抑制する動きが発生するわけです。手っ取り早く言えば…

運送契約を更新する時に「運賃を○%カットするけど、これで納得しないのであれば運送契約は終了ね」

…と、いきなり最後通牒(!)を受けるわけです
この数字が絶妙で、中小の運送屋を「生かさず殺さず」の数字なんだな、これが(自爆)
物流の運送需要が減る中で荷主の立場が強くなるのは、見事なまでの「市場原理主義」です(ノ_・。)
そして、安い運賃で契約更新したあとは、運転手の人件費を抑制する方向に跳ね返ってくるわけです。まるで社会科の復習みたいなことになってますが、資本主義経済の枠組みの中では当然の流れとなってしまっているのです
安い製品が大量に出回っている現状は「大量仕入れ→購入コストダウン」という図式もありますが、その陰には「運賃値下げ」という要因も少なからずあると思うのです

しかし…「仕事がキツそう…」っていうイメージは今も昔も間違ってないっていうのもどうかと…(´Д`lll)

でも、景気が良い時の「キツい」と、悪い時の「キツい」では内容が全然違っていて、要約するとこんな感じ…


景気が良い時の「キツい」  →  運転手もクルマも足りない上に、配送量が多くて仕事が忙しい
景気が悪い時の「キツい」  →  運転手もクルマも減らしてしまったので、運転手一人当たりの負担が増えて忙しい


仕事量は景気の良い時と同じでも、収入が2割くらい低いのではねぇ…
賞与カットに始まり、有料道路使用規制も…。会社によっては有料道路自腹or半額負担ってのも珍しくないし…
ウチの会社の仕事は有料道路を使わないと回らないし、一般貨物と比べて特殊貨物は運賃も若干高めに設定されているので、有料道路使用規制を強く言われているわけではないのですが…やっぱり落ち込んだ給与を取り返すべく、配送に余裕があるときは早めの出庫などでなるべく高速や有料道路を使わないようにして、残業代を稼ぐようにしてます
ウチの会社はとりあえず「チャート」が動いていれば実働になる会社ですので…

このような不景気は「物流システム再構築・見直し」というキッカケにもなりました
最近注目されるシステムで代表的なものとして「モーダルシフト」と呼ばれるものがあります
「モーダルシフト」とは一言で言うと地球に優しく、大量輸送が可能な海運または鉄道に転換することをいいます
(モーダルシフトの詳細は 「ココ」 をクリックしてください)
日本は「京都議定書」に基づきCO2(二酸化炭素)削減を迫られていますが、CO2を削減出来るため環境にも優しく、消費エネルギー当たりで陸上(トラック)輸送よりも効率よく大量にモノを運べるため、徐々にモーダルシフト化の波が押し寄せています
とはいえ、長距離運転手が全員失業するわけではなく、港湾・貨物駅からの輸送は陸上輸送でしか運べないので、貨物運転手は物流がある限り存在するのですが、効率が良くなると言うことは…

「トラックの台数が減る→運転手も余剰気味になる」という懸念もあるわけです
当然「モーダルシフト」を出来ない物流・荷物もあるわけで、コンビニへ配送するような近距離配送や生鮮食料など「市場のセリに間に合わせなければいけない」商品、さらに「モーダルシフトをすることによって、かえってコスト増につながる商品(小口・少量輸送)」などでは、トラック運転手がいなければ「物流→消費」の図式も成り立たないと思っています
しかし、一部の荷主や大手運送会社は運転手に「環境に配慮した運転」を求めており高速80km・一般道法定速度走行を遵守することが運転手の服務規程としているう会社もあります(服務規程違反の運転手には「時限的な乗務停止」や最悪のケースとして「解雇」と明記している運送会社もあります)


この業界に身をおいてから深く考えるようになったのですが運転手も接客(サービス)業だと思っています
この考え方にどれだけの「現役運転手・元運転手」の方から賛同をもらえるかわかりませんが、商品(製品)を受け取るお客様(需要家)に一番近い存在である運転手の接し方ひとつで、運んだ製品のイメージまで決まってしまうのでは?と考えるようになりました
よーく考えて見ると、その製品(例えば「燃料・潤滑油」)がお客様(需要家)に届くまでには…

     メーカー営業 特約店営業 受注センター 製造現場 etc…

製品をココに届けるまでには様々な人たちが関わっているのです
それを運転手の態度・言動ひとつで全てがブチ壊しという可能性もはらんでいるわけです
そう考えたら、輸送・荷扱い・接客においていい加減な仕事は出来ない…自然と仕事に力が入ります

運転手という職業は決して「未来はバラ色」という職業ではありませんが、逆の考え方をすれば「運ぶモノが存在する限り・自分の足以外(バス・タクシーなど)で移動する人がいる限り、絶対に無くならない職業」でもあります
運転免許があれば誰でもなれる職業ですが、学歴などの「肩書き」を一切必要としないだけに「やる気・ビジョン」がないと長続きしない職業でもあります


「物流の枠組みの中の底辺」に身を置いている管理人ですが、無事に届けるのが当たり前…そう考えると常に無事故で運ぶ責任を痛感し、外野から「雲助」だの「DQN(!)」だの言われようが、気にせず胸を張って「運転手」という職業に就いていようと思います

1  運転手という仕事