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発信日:2000/01/30

当会から司法制度改革審議会へ、
「国費による被疑者弁護制度」実現の要請書を提出


当会では、下記の要請書を審議会宛に、1999年12月に送付しました。 [月刊司法改革・2月号](現代人文社)にも取り上げられました。 司法制度改革審議会の論点のひとつに[国費による被疑者弁護制度]も入りましたが、 実現するかどうかは今後の論議の動向にかかっており、今年一年が審議会の結論を左 右します。
ぜひみなさんの大きなご支援・ご協力をお願いします。

1999年 12月  

司法制度改革審議会 御中

「国費による被疑者弁護制度」実現の要請書

 1990年に大分、福岡で「当番弁護士制度」が発足して9年。この制度が全国で実施されて7年が経過しました。
 刑事事件で「被疑者」とされた人が、たった一人で適正な法的手続きを確保して「防御権」を行使するというのはほとんど不可能に近いのではないでしょうか。まして法律に無知であれば、自分で自分の権利を守ることは絶望的であると言わざるをえません。有罪無罪のいずれにしても適正な法的手続きを受けるために「弁護人」が必要とされるゆえんはここにあります。被疑者とされた人に、弁護士がすぐに駆けつけ、必要なアドバイスをし、依頼すれば弁護を引き受けてもらうことができる「当番弁護士制度」は、私たち市民にとって欠くことのできない制度として発展、定着しています。しかしながら、この制度には国費の補助がまったくなく、日弁連の会員弁護士による財政支出とボランティアによって支えられているのが現状です。

 当番弁護士制度を私たちの権利を守る重要な制度として支援していくために、1993年、支援する市民の会・全国が誕生して以来、福岡、東京、大阪、札幌、大分、広島、埼玉、京都、岡山、北陸、奈良と11の市民の会があいついで誕生しました。私たちは「被疑者に国費で弁護」が受けることができるよう様々な活動を展開してきましたが、この制度が「国費による被疑者弁護制度」として一日も早く確立されることを願っています。

 昨年(1998年)10月、ジュネーブの国連規約人権委員会は、国際人権(自由権)規約に基づく第4回日本政府定期報告書に対する審査の結果を「最終見解」として日本政府に勧告しました。29項目もの懸念・勧告表明のなかでも、とりわけわが国の刑事施策に対する懸念として、従来から指摘されてきた「代用監獄」における被拘禁者の人権侵害の問題、「起訴前勾留中の被疑者」に助言、援助する国選弁護人が付けることができず、弁護人へのアクセスが厳しく制限され、取り調べは被疑者の選任した弁護人立会いのもとで行われていないことことなどについて、直ちに改革するよう強く勧告しています。

 私たちは日本の人権状況が、国際的水準を満たしていないことに対して深く憂慮するとともに、このような状況がすみやかに改善されることを願ってやみません。

 貴審議会において、以上の諸点について十分に御討議いただき、是非とも、「国費による被疑者弁護制度」実現に向けて積極的な答申を出されるよう要請いたします。

当番弁護士制度を支援する会・大阪



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