杉森弘之の政策
6、市議会の活性化

@議会の議決事件を拡大(土地購入、総合計画等)
A一般質問に一問一答方式を導入
B常任委員会として政策研究・調査を活発化
C議長への議会招集権付与の推進


     地方自治制度
 地方自治制度は、国の制度と異なり、住民の直接民主主義を土台にした二元代表制です。
     直接民主主義
 市民は、市議会議員と市長を直接選挙する権利があり、条例の制定や改廃、事務の監査を直接請求する権利があり、議会の解散や議員・市長などの解職を直接請求し、投票で決める権利があります。
     二元代表制
 二元代表制とは、議会と市長の二つの代表制の意味です。議会は決定機能と監視機能を持つ多人数による合議制の機関、市長は執行機能を持つ独任制の機関としてあります。
 そのため、議会は以下の通り、決定機能と監視機能を発揮・強化すべきです。

@議会の議決事件を拡大(土地購入、総合計画等)

 地方分権の進展と共に、国の権限・立法範囲の縮小に伴い、その多くが条例に委ねられ、議会によるその「審議能力の向上」はもちろん、議会、議員自らの「政策形成能力の充実強化」も当然として求められます。
     財政面の議決事件の拡大
 牛久市では、財政面で議会議決が必要なのは、財産は価格2千万円以上、土地取得などは価格2千万円以上かつ面積5千u以上、工事費・製造費等の契約は1億5千万円以上、の場合だけです。全国市議会議長会は、この枠を拡大することを主張しており、牛久市においてもそのことが問われています。
     総合計画などでも
 また、総合計画で議会議決が必要なのは、基本構想のみで、より具体的な基本計画、実施計画などは除外されています。
     審議会への参画は慎重に
 市長が設置する審議会などに議員が参加するなどの傾向も多々見られますが、全国市議会議長会の都市行政問題研究会は、1998年に『地方分権と市議会の活性化』に関する調査研究報告書を発表し、その中で審議会への参画問題に関し以下のように指摘しています。
 議員が市長の設置する審議会等に参画することは、立法機関と執行機関との機関対立型をとる民主的な地方制度の趣旨に反する。このことは、執行機関による議員の事実上の「とりこみ」が行われていることを意味するものであり、適当とは言えない。
 @ 特に、法令に定めのあるものを除き、議会は、議員が審議会等の委員に就任することを慎むよう要綱の制定又は申し合わせを行う。
 A やむを得ず議員が審議会等の委員に就任する場合においては、その役員には就かないようにするとともに、その審議内容については、所管の常任委員会等へ報告する。

A一般質問に一問一答方式を導入

     牛久市議会の一般質問は2回のみ
 牛久市議会では現在、一般質問は2回までとなっており、質問と回答がかみ合っていない、言いっ放しになっているなど指摘されています。
      64%以上が一問一答制
 一般質問の一問一答制の導入、議会での質疑を簡潔明瞭にし、市民に分かりやすくするもので、全国ですでに牛久市と同規模の市の64%以上が導入しています。また、議場の配置もフラットで対面方式を導入するなどしている市議会も増えています。
     鶴ヶ島市の先進例
 2009年11月に、杉森議員は議会運営委員会の視察研修で埼玉県鶴ヶ島市を訪問しましたが、鶴ヶ島市議会は議会改革に熱心で、09年6月には議会基本条例を制定しました。
 同条例は冒頭、「鶴ヶ島市議会は、二元代表制の下、市民から選挙で選ばれた議員で構成される議事機関として、同じく市民から選挙で選ばれた執行機関である鶴ヶ島市長とともに、市民の負託にこたえる責務を負っている。
 議会は、合議制の機関の特性を最大限に生かすために、開かれた議会づくりを推進し、多くの市民と意見の交換をし、議員同士の議論を活発に行い、論点や課題を明らかにして、多様な市民の意見を集約していく。
 市長とは、相互に緊張ある関係を保ち、政策の立案と提言をしながら、鶴ヶ島市としての最良の政策を導き、その執行を監視し評価していく。
 制度の上では、議会の意思が市民の意思であり、議会の決定が市民の決定である。
 不断の努力を重ね、資質を高め、真に、市民の負託にこたえ得る議会であるための最も根幹をなす支柱として、この条例を制定する」と高らかに謳っています。
 鶴ヶ島市議会では、一般質問は一問一答方式を昨年の6月から導入。総括質問との選択制でスタートしましたが、現在では全員が一問一答になっているそうです。

B常任委員会として政策研究・調査を活発化

     議会の政策形成能力の向上
 全国市議会議長会の調査によれば、議員提出による条例案は少なく、2006年1月1日〜12月31日に802市議会で1493件、そのうち原案可決は1183件。牛久市と同規模の5〜10万未満の人口の277市では450件で、1市平均わずか1.6件です。
 牛久市議会でも、2007年の12月議会で杉森議員が労使関係の安定を願って、市長提案の議案に対する修正案を提出、本年3月議会では改正条例案を提出するなどしていますが、残念ながら成立にまで至っていません。
     全国市議会議長会が提案
 全国市議会議長会の都市行政問題研究会は1998年、議会の政策形成機能の充実強化のために、@常任委員会の所管事務調査の活発化、A議員数の少ない議会における全員協議会の適切な活用、B議員研修内容の充実、C議会図書室の整備充実、などを提案しました。
 特に、常任委員会の所管事務調査の活発化のために以下の点が提案されています。
 @ 付託案件がない場合においても、委員会の所管事務の中から具体的な特定の事務をとらえて調査を行う旨の議決を積極的に行い、閉会中における調査活動をより活発に展開する。
 A その所管事務調査を有効性のあるものとするため、問題点や提案を報告書等にまとめる。
 B その報告書等に基づき、市長部局に対し所要の措置を講じるよう求めるほか、必要に応じて議員提案を検討することなどに努める。

C議長への議会招集権付与の推進

 現在、地方自治体では首長が議会を招集する権限を独占していますが、全国都道府県議会議長会、全国市議会議長会及び全国町村議会議長会は2010年8月4日、「議長の議会招集権に関する緊急声明」を以下の通り発表しました。
 「全国都道府県議会議長会、全国市議会議長会及び全国町村議会議長会は、かねてから長が議会を招集する現行の仕組みを改め、議長に議会招集権を付与するよう求めてきたところである。
 このような中、一部の自治体において、長が法令の規定に違反し、議会を招集せず、専決処分を濫用し、議会の権能を封じ込めるという異常な事態が発生している。
 これは、二元代表制の否定につながり、地方自治の根幹を揺るがす重大な問題であり、極めて遺憾である。
 国は、このような現状を重く受け止め、事態を打開すべく、速やかに所要の法改正を行うよう、強く要請する。
 この声明は二元代表制の基礎を守り強化する上で極めて重要であり、議長への議会招集権付与は一刻も早く実現されなければなりません。



議場コンサートの実施

市民と議会との結びつきを強め、市民が議会へ足を運ぶ機会を増やすために、そして、市民に発表のための公の場を提供する目的も含めて、全国の自治体で「議場コンサート」が実施されています。(写真は伊丹市)
   北海道から九州まで
 インターネットで調べただけでも、都道府県議会では北は北海道から南は鹿児島県まで、市町村議会でも沖縄市、小牧市、栃木市、流山市、八王子市、茅ヶ崎市、石巻市など全国各地で開催されています。
 開催方法も多岐にわたり、開催時期、開催頻度、演奏者、費用なども各地で工夫がされています。
 開催時期は、定例会の開会前が圧倒的に多いようです。
 開催頻度は、毎回の定例会でという川越市や、年1回だけ、あるいは横須賀市のように議事堂移転20周年という節目に開催したところもありますが、不定期が多いようです。
   伝統芸能やハワイアンも
 演奏者は、中学、高校、大学、専門校のサークルや、伝統芸能、ハワイアンなど市内の文化サークル、中にはフィルハーモニー交響楽団など大規模なものまで多彩です。
 費用は、演奏者にもよるでしょうが、基本的に市町村レベルでは多額にならない範囲で実施しているようです。
   市議会に足を運ぶ機会
 北海道議会では、この「議場コンサート」は当然一般道民も鑑賞することができ、形式上「傍聴」なので料金を徴収することもない。普段ほとんど議会を傍聴することがない人でも議場に足を運ぶいい機会となっている、と評価されているようです。
 牛久市でも、議会に市民の足を運んでもらい、市民と議会との結びつきを強め、市民に発表の場を提供することは大切と思われます。



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