杉森弘之の政策
2、安心できる教育と文化の振興

@保育園の待機児童の解消
A児童クラブ指導員の資格・研修制度の整備
B障害児教育への専門教員の配置と研修の強化
C牛久歴史資料と地元文化の教育への活用


@保育園の待機児童の解消

   保育園の増大

 
牛久市は保育園の増加に努めていますが、9月現在でも59名の待機児童が存在し、さらに増大する勢いです。このため、保育園のさらなる拡大・増加が求められます。
   民営保育園の労働環境の改善を
 ところで、国も市も、公営ではなく民営保育園を増やす方向ですが、それが単に経費節減の面から追求されるとすると、問題を発生させることにつながりかねません。
 民営保育園の保育士の労働環境については、すでに問題が指摘されているところも少なくありません。結婚や出産を機に退職を迫られる、残業代が払われない、3年も経つと居づらい雰囲気にさせられる、年休も取りにくい、などの声も聞こえます。
 安心できる保育を保障するためには、無認可保育園の環境整備を含め、保育士の労働環境の改善は不可欠です。そして、そのためには、民営保育園がそのために努力するだけでなく、国や地方自治体の補助基準にも反映されなければなりません。

A児童クラブ指導員の資格・研修制度の整備
   牛久市は小学校全学年を対象に
 少子化・核家族化・共稼ぎ家族の増大といった社会の変化の中で、児童の健全な育成を図る上で、児童クラブや児童館などが必要不可欠となっています。
 2008年度より、牛久市は小学校高学年を含む全学年を対象として、児童クラブに受け入れることになりました。つくば市の吾妻西児童館を視察
 全学年を対象とすることによって、新たな問題も生まれます。高学年の体力は格段に大きく、ケガの危険性も増します。さらに、障害を持った児童の受け入れを始め、内容の充実化がこれから問われるところです。
   指導員の指導力の向上が不可欠
 そのため、指導員の指導力も高いものが求められます。現在、指導員の全国的な資格は特にありませんが、資格・研修の整備と処遇改善は緊急の課題です。
 杉森議員は2009年の9月議会で、以下の通り質問し、また、市執行部より回答を得ています。
   充実した内容が課題
 【杉森議員】牛久市の児童クラブは、待機児童もなく、小学校6年生までを対象とし、開級時間も午後7時まで、夏休みなどは朝7時から夕方7時まで12時間開級、土曜日も開級するなど、他の市町村と比較しても遜色のない優れた制度となっており、市民の要望にこたえたものといえます。制度面でも保護者が就労していない家庭の児童をどうするかなど、まだまだ課題は残りますが、これからは内容をどのように充実化・豊富化し、児童と保護者の要望に応えたものとしていくかが、問われているものと考えます。そこでいくつかお聞きいたします。
 まず、夏休みを終えて、夏休み時の児童の実際の通級者数はどの程度だったのか、申込者数との差も含めてお示し下さい。
 また、本年度より土曜日も開級されることとなりましたが、予定よりも入級者が少なかったとも聞いておりますが、その現況と今後の方向、例えば現在の体制のままでいくのかなどについてお聞きします。
 次に、児童クラブの内容の充実化のために最も重要と思われる指導員の問題についてお聞きします。指導員は、初任者研修、幼児教育研修会、茨城県学童保育のつどい、学童保育指導員学校などの研修を受けていると聞きますが、それらの研修の日数、内容、修了者数とその割合などをお聞かせ下さい。
 また、指導員はどのような資格を持っているのか、持っている割合はどのくらいなのか、勤続年数はどのような状況なのかについてもお聞きします。
 高学年の児童も入級するようになり、体も力も大きくなって、けがや、ヒヤリ・ハット事故も含めた事故の心配も大きくなってきますが、けがや事故の発生状況と対応、けがをした場合の応急措置、病院への搬送、家庭への連絡、そして保険などの補償制度についてもお聞かせ下さい。
    夏休みは854名
 【教育次長】今年の夏休みの児童数は、通常時の児童数600名に、夏休み期間のみの利用児童254名を加えた854名の利用がありました。時期的な状況としてはスタートする7月が多く、8月のお盆の期間の前後から徐々に利用が減っております。
    土曜日は3箇所で
 土曜日の利用状況は、児童数が全体で平均18名となっており、年度当初から大きな変化もなく、今後も同様に推移していくものと予測しております。受け入れ体制につきましても、当面、3箇所の児童クラブを拠点とした現行の方法で継続していく考えでおります。
 開設日と補助金の関係ですが、市児童クラブに対する国県からの補助金は、平成20年度1503万6千円交付されましたが、交付対象要件である開設日数は、平成22年度から年間250日以上へ引き上げられます。牛久市では、土曜日開級によって、年280日以上の開設となり、引き続き補助金の交付対象となりますが、今後、他自治体の児童クラブや学童保育においても、開級日の拡大が広がっていくものと思われます。
    研修は全体で10回
 次に、指導員の研修状況ですが、昨年度は全体として10回ほど実施いたしました。主なものとして市で実施する新規指導員を対象とした初任者研修会、年5回実施される幼児教育研修会に多くの指導員が参加しております。また、外部の研修会である県学童保育の集いに12名が、「学童保育の生活への影響と課題」の講演と「学校生活の今と学童保育」など6つのテーマの分科会に参加し、7月には、全国学童保育連絡協議会の主催する講義と実践講座を中心とする「指導員学校」に24名が参加しました。
     勤続は平均3年4ヶ月
 指導員の有資格状況は、教員免許取得者が17名、幼稚園教諭や保育士免許取得者が11名となっており、任用している指導員の3割を占めています。勤続年数は、3年未満が49人、3年以上5年未満が21人、5年以上は15人、10年以上が3人、全体平均で約3年4ヶ月の勤続年数となっております。
        ケガ発生にも迅速に対応
 最後に、児童クラブ内のケガや事故の状況でありますが、平成20年度には全体で33件発生し、打撲がほぼ半数の15件となっております。また、3年生までの低学年が94%を占め、時期的には年度当初の4月、夏休みは冬休みに入る7月や12月など、一時的に児童数が増える時期に多い状況です。事故の発生はありませんが、ケガ等が発生した場合に、応急措置、治療のための病院への搬送、保護者への連絡、学校との連携など速やかな対応に努めております。
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B障害児教育への専門教員の配置と研修強化

 障害児・者が健常児・者と一緒に、普通学校で学べるよう、牛久市で始まったスクール・アシスタント制をさらに充実する必要があり、スタッフを増員するとともに、障害児・者教育の研修制度を一層整備していく必要があります。

C牛久歴史資料と地元文化の教育への活用

 牛久市を魅力ある町にする上で、文化の占める位置は極め牛久市の能楽公開講座(講師:金春流能楽師・山中一馬先生)で、東京の国立能楽堂を見学て大きいものがあります。牛久の文化を発展させるために、市内の多くの伝統文化の継承・発展させ、市内に存在する貴重な文化財を保存するとともに、新しい文化の創造に向けて、市民の自主的な活動に対して、市の積極的な支援・施策が求められます。
     柳川市に学ぶ
 杉森議員は2010年の3月議会で、以下の通り質問し、また、市執行部より回答を得ています。
 【杉森議員】私の所属します市民クラブは先日、福岡県柳川市を視察しました。柳川市での視察テーマは「歴史・文化・文学と教育、観光の結合」。柳川市では、北原白秋と水郷が市民文化の共通項であり、「白秋と水郷」がまちづくりのキーワードになったとのことです。
     白秋と水郷のまち
 白秋に関する年間イベントは1月25日の白秋生誕祭に始まり、10月の白秋祭協賛市民文化祭、11月の白秋祭と続きます。白秋祭では水上パレード、献詩、短歌大会、少年少女俳句大会が3日間おこなわれます。
 驚いたことは、白秋だけでなく郷土の偉人を顕彰しようと、民間による偉人顕彰事業が活発なことです。昨年度は8人に対し計11回もの顕彰会、生誕祭、供養祭などを実施。
     やながわ人物伝
 そして、それらを基礎に、郷土の偉人20人が登場する「やながわ人物伝」という本が絵入り・写真入りで、小学生でも読めるような体裁で刊行され、小中学校の教育にも利用されています。この郷土の偉人には、柳川で生まれた人に限らず、柳川に一時期でも住んだ人を含めて対象にしているようで、郷土にこのような人がいたのかと子どもたちは関心を持つそうです。
ところで、柳川市の市史編纂に当たっては、牛久市史の編纂事業の視察に行き、お世話になったとお礼を言われました。しかし、牛久市では市史編纂事業が通史的な刊行で終了し、資料がお蔵入りしているのに対し、柳川市では通史だけでなく、史料編、別編、補完などの4つのジャンルに分け、2020年までの25年間の柳川市史刊行計画を立て、単に学術的な視点のみでなく、市民の関心を呼ぶテーマ設定などにも心がけ、刊行を継続。
     市史編纂への情熱
 さらに、市民への市史編纂の成果普及活動として、毎年、歴史文化講演会、企画展、市史講座を開催し、市史抄片といって調査で分かったことを900字程度、市報に毎月1回掲載しています。
 柳川市史編纂係には学芸員の正規職員1名と嘱託1名、臨時職員1名を配置し、柳川市史編纂委員会には委員長に副市長、編集委員長に教育長、また大学教授や大学院生などの専門研究員、調査研究員を配置する体制です。
 牛久市においても、今議会に対する市長の議案説明にもあるように、「牛久の歴史と文化に触れられる環境整備」のために様々な努力が払われ、現在、小川芋銭の研究センターが作られ、小川芋銭検定や近い将来に芋銭の出版物も発刊されるとのことです。
     ソフト面の強化
 同時に、牛久市の歴史と文化を全体的にとらえ、まちづくりに生かしていく視点をさらに強化することが、そしてそれはハードの面も必要ですが、ソフトの面でももっと必要で可能なのではないでしょうか。
 牛久市史編纂事業の際に集めた資料や歴史的文物は豊富であり、それらを眠らせておくのは大変もったいない話です。別に新たな施設を作らずとも、既存の施設を有効活用して、展示することは可能なはずです。私は特に、それらの教育への応用を強調するものです。小中学校で日本の歴史を学ぶ際にも、地元の歴史的文物の実物を見ながら説明すれば、生徒は目を輝かして聞くのではないでしょうか。
 そこで、牛久市における牛久市史資料、歴史文物の保存・展示の現況と今後の考え方について、また、牛久市史編纂事業と普及事業の今後についての考え方をお聞きします。
 また、牛久人物伝については、これを作るかどうかではなく、郷土の偉人を顕彰し、小中学校での教育にも登場させる考え方をどのように見るかについて、うかがいます。
      量的拡大から質的充実に
 【市長】牛久市は、昭和40年代初頭からめ民間デベロッパーによる宅地開発に続き、市をはじめとする公共機関による区画整理事業により、昭和40年に約17,200人であった人口が本年に入り80,000人を突破するなど、実にこの半世紀の間に人口が5倍近く増加するというめざましい発展を遂げてきました。一方でこの時期のまちづくりは、大量に流入する新しい市民を受け入れるため、量的供給に主眼を置き、経済性や効率性、機能性を重視した街づくりが進められてきたことも事実です。
 しかしながら、市民生活におけるインフラ整備が一定レベルに達した現在、まちづくりに対する考え方も量的拡大から質的充実に方向性を変える転換期を迎え、「歴史」や「文化」といったテーマがまちづくりのキーワードとして取り上げられはじめました。
       ふるさと牛久
 これらの背景には、人口増加が始まって半世紀近くが経過した今、いわゆる新住民といわれた人々も全人口の約80%を占め、人生の半分以上を牛久で暮らし、本当の意味で牛久が「ふるさと」となった市民が増えてきたこと、また、そういった市民が定年退職により第一線を退き、牛久と勤務地を往復する毎日から開放され、地元牛久に目を向ける時間的余裕が増え始めたことなどが「ふるさと牛久」が持つ歴史や文化に興味を抱かせ始めているのではと推察しております。
 「歴史と文化を生かしたまちづくり」とのご質問でありますが、議員が視察をされた柳川市でもそうであったように、歴史や文化を生かした街づくりを実現しようとする上では、市民自らがその街の歴史や文化に親しみ、それらを街づくりにいかしていこうとする機運の醸成が必要不可欠だと考えております。
      十分とはいえない部分
 現状においては、議員ご指摘のとおり、機運醸成のために必要な歴史的資料の活用や市の歴史や文化を理解しようとする市民活動に対する支援体制に、十分とはいえない部分があると言わざるを得ません。「歴史」・「文化」という大変幅が広く、奥深いキーワードに対応するためには、体制整備や財政的措置など、長期的かつ戦略的な事業展開が必要です。
 一方で、牛久市では、このような状況変化に積極的に対応しようとハード整備を専門とする都市整備部門と、ソフト展開を専門とする文化振興部門や商工振興部門がより緊密に 連携を図りながら事業展開を進めるようになってきております。今後につきましても、不十分な点を着実に改善しつつ、質的な充実が感じられるような街づくりのための努力を続けて参りたいと考えております。



やり直しのできる教育

  スウェーデンの経験
 スウェーデンでは、「教育こそが、経済成長と、雇用の確保と、社会的な正義つまり所得の平等な分配を、同時に解決できる道である」と言われています。
  学校教育と成人教育
 義務教育は23歳まで認められ、人間の差異に応じてゆっくり勉強できるようにし、もちろん義務教育も高校も大学も教育費は無料です。学校教育と成人教育が教育の両輪になって、高等教育を受ける機会のなかった人は、何歳になっても成人高等学校で受けられます。
  失業対策としても
 失業対策としても、例えば、失業してから成人学校に行って高等教育を受け、さらに職業訓練校に入校してプログラマーになるということが可能で、生活費は教育訓練費で支給されます。
  雇用確保と社会正義
 また、もう1回大学に行ってお医者さんになりたいというときも、簡単なテストで大学に行け、その場合の生活費は教育ローンという制度があります。もちろん一生懸命勉強しなければ卒業はできませんが、「やり直しのできる社会」「落ちこぼれを出さない教育」なのです。
  日本の教育改革の道
 日本では「学校間格差」の弊害、「教育の崩壊」「教育費の過重負担」などが叫ばれて久しくなりますが、教育のあり方を根本から考える時期に来ているようです。そして失業対策としても、成人教育のシステムを確立し、教育訓練費、教育ローンなどを制度化していく必要があるでしょう。
 


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