[ Episode1 ] 辛い恋愛の救世主

21から22の時、私は大変辛い恋愛をしました。
何がそんなに辛いのか?それは相手(当時20歳、アヤ)が少し精神的に弱い部分を持っていて仕事とかも長続きせず、いつもグチばかり言って、おまけにつらいからと言って手首とか切って自殺未遂とかも日常的にする子で・・・。
そんな相手だったら別れちゃえばいいのにと思うかもしれませんが、一度好きになった人をそうそう嫌いになんかなれません

私はいつも心配で、眠れなかったりもしたものです。
相手は自分の能力や努力もなしに給料が安いだの、職場に気に食わない人がいてその人とうまくやっていけないだの
私自身も若かった為、ただ慰めたり優しくしたり、相手の話しを聞いてあげるくらいで、的確な返答ができず、そんな私にあなたに私の気持ちなんかわからないとでも言うように彼女は汚い言葉を浴びせたり私の悪口を言ったり、私はいったいどうしたらいいのか分りませんでした。それでも私は彼女の事を理解し、励まそうと努力しました。

でも、彼女はしまいには自暴自棄になって酒ばかり飲むようになり、行きつけのパブでへべれけになるまで飲んで店内で吐いてお店の方に迷惑をかけたり、私の車の中で吐いたり、夜の街を遊女のように朝までさまよったり、挙句の果てには前の彼氏の家に行って泊まってきたり、その前彼の友達と遊びに行ったりして、その話しを平気で私の前でして、私自身が気が狂いそうになりました。
なんでそんな事をするのか?そう聞くと『土日遊んでくれないじゃん』そんな答えが返ってきました。
確かに土日も仕事で休めない日もほとんどですが、でもその分平日に会っているし、休みとかが合わない、そういう問題なのか?彼氏や彼女を選ぶ時、そんな事で決めるのか、人柄とか性格とかもっと深い部分を見ていてくれてるんじゃないかと思っていましたが、そうではなかったのかと思うと何故か悲しくなりました。

私だったら、例え相手と休みの日が合わなくても別の女性と遊びに行くなんてしません。
もし行ったとしてもその事を相手に当てつけたりしません。自分の中できっちり消化します。

人の迷惑顧みず夜中にポケベルを鳴らしたり、もうしないと約束したのに何度も前彼の家に泊まったり・・・

それでもいつか分ってくれると思い、必死の思いで二人の関係をつなぎとめていました。
多分、若かった為私もこの人しかいないと思って(思い込んで)いたんでしょうね(笑)

そんなある日、友人達とボーリングに行って、その帰りに男3人でスナックに行く事になりました。私はあまり気がすすみませんでした。私以外は遊びなれていて、そういう店にもよく行っているようでしたが、正直私はそういう店は苦手でした。というかあまり行った事がありませんでした。取りあえず人生何事も経験と思い、友人らについていきました。
店内に入ると綺麗なオネエサンばかりで、コ汚いジーパン姿の私は隅っこの方でちびちび飲んでいました。
すると一人の綺麗なオネエサン(南さんとしておきましょう)がそばに来てくれて、一緒に話しをしました。
その時おぼろげながら思いました。『こんな優しくて可愛い子と付き合えたらナ〜・・・』

何故かその場はものすごく盛り上がって、閉店してから綺麗なオネエサマを二人誘って5人でラーメンを食べに行きました。ラーメンを食べた後友人の一人は帰り、もう一人の友人は二人のネエサンのうちの一人を車で送り、私はもう一人のネエサン(南さん)を自宅まで送っていく事になりました。
車の中で南さんは言いました『アーサーちゃん、彼女いるの?』(アーサーとは私の事(^^; )

私は間髪入れずに言いました『い、いないよ!』

今までの私だったらアヤに悪いからそんな嘘は絶対言いませんでしたが
その時の私にはアヤに対して悪い事をしているという気持ちは全くありませんでした。
それだけ気持ちが離れていたんでしょうね。自分でもはっきりわかりました。

それから南さんと朝まで車の中で話しをして(何を話したのか記憶にないがとっても楽しかった事だけは覚えている)
南さんは家(アパート)に帰りました。
帰り際に電話番号を書いたメモを私にくれて、キスして車から降りて帰っていきました。
キスがあまりに突然だったのでびっくりしてしばらくその駐車場から動けませんでした。

それから何日か後に南さんに電話して、会ってもらい自分の気持ちを素直に打ち明けました。
南さんも喜んでくれて、それからは3日に1回ぐらいのペースで会うようになりました。
と言っても、私は普通の昼間の仕事、南さんは夜の仕事、会うのはいつも南さんの仕事が終わる夜中の1時とか2時とか、それでも全然疲れなかったし楽しくて楽しくてしょうがなかった。
昼の仕事の方もバリバリ絶好調だった。

一方アヤはと言うとこちらも取りあえず付き合ってはいたが
今までの様にワガママを言われたり勝手に一人でキレてても、他の男と遊びに行ったという話しを聞いても全然何とも思わなくなってしまいました。

今までアヤの行動や言葉で傷つきっぱなしの私の心はもうここにはなかった。
私の心の中身はアヤから全て南さんへと入れ替わっていた。

もうアヤに何を言われても私の心は傷つかなくなっていました。

そんな日々が2ヶ月も続いたある日
いつものように夜中の1時半に南さんと待ち合わせをしていました。
約束の時間までまだ大分あるので横になっていたら、うとうとと寝てしまっていて、突然ポケベルが鳴りました。はっと目覚めて時計を見ると1時半でした。私の家から待ち合わせの場所までどんなに車を早く走らせても20分はかかります。やばいと思い、南さんからだと思っていたポケベルのディスプレーを見るとアヤからでした。???
(その当時のポケベルは文字表示機能がなく、数字しか入りませんでしたが、0840、おはようとか、お互いに理解できれば簡単なメッセージは送る事が出来ました)

アヤからのメッセージは 39910 11101、すぐきてあいたい、だったと思います。

私はそのメッセージを無視して南さんのもとへ向かいました。
車で走っている途中、3回ぐらいアヤから同じメッセージが入りました。

私はその時はっきり思いました。アヤは私が明日仕事であるにも関わらず、私の迷惑を顧みず自分の都合だけで夜中でも構わずベルを打ってくるやつだと、これは恋愛じゃない、恋愛ってもっと楽しいものじゃないか、恋愛ってもっと自分の事を我慢して相手をいたわったり慈しんだりするものじゃないか、例えば相手が明日仕事だったら夜中にベルならしちゃあいけないなと思うのが普通の恋愛じゃないのか、そう思うと今までのアヤの行為に憎しみさえ覚え、アヤと別れる決心をしました。

しかし、事態は急展開しました。

南さんとの待ち合わせの場所に行ってみると、南さんと35歳ぐらいの男性が何やら話しをしていました。
でも、普通に話しをしているのではなく、何て表現したらいいのだろう、三途の河で子供が積み上げた石を崩さないでと地獄の鬼に懇願しているような、そんな感じでした。車から降りて近くまで行くと何やら別れ話をしているようでした。
私には何がどうなっているのか、状況を把握する事が出来ませんでしたが、会話の内容を聞いていると、どうもその男性は南さんと不倫関係にある事、南さんはその男性と別れたがっている事をうかがい知る事ができました。
私が近づくと、その男性は私に向かって、『俺は絶対に別れないからな!』と吐き捨て、帰って行きました。

楽しいはずのその日のデートが一変して重苦しいものになりました。
私が事情を聞くと、南さんは泣きべそカキながら答えてくれました。
その男性とは2年ほど付き合っている事、奥さんも子供もいる事など
そして南さんは言いました
『アーサーにばれる前にあいつと別れようと思ってたけど、だめだったね、あいつといると楽だし何か長続きしてるんだよね!でも、アーサーも私の事色々知ると私から離れていくだろうし、私はあいつと付き合っている方がいいのかなぁ』

私はその言葉に不安を覚え必死で答えました。
『そんな事ないよ!俺は絶対に南さんの事大事にする!』

それから何日か過ぎて、南さんからの連絡も入りませんでした。
私が連絡しても忙しいからと切られてしまう・・・。
仕事を休んで一緒に行こうと約束していたキルメス(移動遊園地)の2枚の券も今だ車の中

あんなに楽しい時間を過ごした仲なのにたったあれだけの事で関係が崩れてしまうのか、私は毎日不安と寂しさで心が押しつぶされそうでした。
たまらず、何度もお店の閉店時間に南さんを待って話しを聞いてもらおうと思いましたが、南さんに会う事はできませんでした。

そんなある日、仕事を終えて駐車場まで行くと、私の車の近くで南さんが待っていました。
体調を崩してお店を休んでいた事を南さんは説明してくれました。
そして、あの男とはもう会わないと言ってくれましたが、アーサーとももう会わないと言いました。
事情を聞いても説明してくれませんでした。
時間がないからもう行くね、と言ってお店に行ってしまいました。

それから数週間の間、私はフヌケになっていました。
寂しくて、辛くて、そんな私を友人が励まそうと、飲みに連れて行ってくれたりカラオケに連れていってくれたりしましたが、マッキ―の『もう恋なんてしない』を唄うと泣き出してしまう始末・・・(笑)
見ている友人も辛かったでしょうね!

一ヶ月ほどたったある日、別の友人の一人から電話がかかってきました。
『ちょっと話したい事があるで、今から行くは』

その友人は南さんのいるお店に先日行った事を話してくれました。
そして私の友人だとばれないように別の女の子に南さんの事を色々聞いてくれたそうです。
友人の話しを聞いて、私は衝撃的な事実を知りました。

南さんは実はバツイチである事、そして子供がいる事、その子供は障害を持っている事
今は本当に誰とも付き合っていない事などなど・・・

そう言えば南さんがこんな事言っているのを思い出した
『アーサーも私の事色々知ると私から離れていくだろうし・・・』

私はその話しを聞いて南さんがどんな思いであったのか察しました。
そして、2ヶ月近くも付き合っていたのに一度も部屋に入れてくれなかった理由が分りました。
24歳の女の子が子供を一人で守って生きていかなければならない事が不憫に思えてなりませんでした。

南さんも辛かったんだ。
私に迷惑かけまいとして別れる事を選んだ南さんに人間として大きなものを感じずにはいれなかったと同時に、もしもあの場で南さん本人の口からその話しを聞いたらすべて受け入れるつもりでその後も南さんと付き合っていく事ができただろうか、いいや恐らくできないだろう、そう思うと私の人間としての度量の狭さを感じずにはいられませんでした。

そして、あれから連絡の途絶えていたアヤからも手紙が来ました。
あれ依頼もうどうでもよかったので私の方からも連絡をとっていませんでしたが、
手紙の内容は『もう私からは連絡しません、さようなら』
というような事だったと思います。

南さんの事で心が一杯だった私はその手紙を読んでも何とも思いませんでした。
その後、何度かアヤから電話があったけど
『君から連絡しないと言っといて、何で連絡してくるの』 とひどい事を言って切ってやりました。

知らぬ間に
私は完全にアヤの事を自分の心から捨て去る事ができたんです。

今思えば、南さんはアヤと別れさせる為に神様が私に使わした救世主だったのかな〜なんて思っています。(笑)




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