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つづき

藍染めの初作品(右がかぼちゃの作品)



4月13日

今日は藍染めの体験をする日。
元さんのお店の工房で作業する。3時間かかるので、午前中に終えるためには9時ごろにはじめないといけない。ゆきおさんが8時ごろに迎えに来るというので、またまた早起き!

例のごとく、携帯電話をセットして6時半に起きる。軽くそうめん入り(^ ^)の朝食と身支度を整えて、7時半ごろには用意して待つ。几帳面なゆきおさんは8時10分前には到着。

宿の女将さんに挨拶をして、大正楼の前で記念撮影をして出発。

大正楼


朝の通勤で込む道路を縫って走り、なんとか9時過ぎに到着。
玄関前には元さんの手で、大きな壷にきれいな花がいけてある。見事なライラックの花が印象的だった。

元さんのお店にはいろんなパターンの作品が所狭しとディスプレイしてある。どれもこれもすばらしいデザイン。さすが写真や日本画にも造詣の深い元さんの発想は、意表をつくような斬新なものだ。それでいて、悠久を思わせる大きなスケールで、どれもみんな作ってみたくなる。

別棟の工房には、藍瓶が八つ床に埋め込まれている。その他に、ステンレスの水槽や、プラスチックのバケットがいくつも置いてある。これにはなにが入っているのか素人にはわからない(^ ^;) 

藍染めには水も大切なものだ。郡山市の水道水は地下水なので、藍染めに適しているそうだ。そして、元さんの話によると洗い水には雨水も利用しているとのこと。

床に埋め込まれた藍瓶


なにを作らせてもらえるだろう、と二人ともわくわくしている。ゆきおさんの話では最初は簡単なもの、ということだったが・・・ 元さん、アシスタントの女性と一緒に染めるものを決める。今日は特別に板締め花曼荼羅3段を作れることになった!
かなり難しそうだ。模様が決まったら、大きさと生地選びだ。使い道が広いようにと、1メーターほどの正方形の物にする。テーブルセンター、タペストリー、大きな風呂敷としても使えそうだ。ゆきおさんは腰に巻いてスカートにできるというが・・・(^ ^;)

藍染めの手順

白い生地のしわを伸ばし、端と角をきちんと合わせて放射状にたたんでいく。切り紙で花を切り出すときのような段取りだ。折り目はアイロンを使って、きっちり押さえる。

折りたたんだ生地を持って工房へ。神聖な場所という雰囲気で緊張する。

二枚の円板で、染めたくない部分をしっかりはさみクランプで思い切り締め付ける。重いクランプを数個使って締めるのだが、このクランプのバランスが大事。左右均衡になるように使う。

最初は、板や布が乾いているので、水にとっぷり浸して吸わせ、さらにしっかり締め付ける。

これを、いよいよ藍に浸して染める。腰を落としてしゃがみ、心持ち前かがみになって、板のついた布を全部どっぷりと藍に浸す。布が浮いてこないように手で押さえて沈ませ、中でたたんだ布を手でほぐすようにして、しっかり藍を染み込ませる。このときに、藍の表面をなるたけ揺らさないようにする

2分ぐらい浸したら、水槽でゆすぐ。藍から出した布は、はじめくすんだような緑っぽい色になるが、水でゆすぐと鮮やかな藍色になる。

そして、また藍に浸す。このサイクルを5回繰り返す。藍の染み具合で回数は増減するというがその辺の感覚は、まだまだ・・・ また、大事なことは、一回ごとにちがう瓶に浸すことだ。瓶によって藍の状態がちがうので、偏らないようにいろいろな藍に浸すのがよいのだそうだ。第一段階終了

次に、一旦板をはずし、白く抜けた部分を少し出して、また締め直す。このときも乾いた板を使ったときは水に浸してからさらに締め付ける。

三角形に出した白い部分の半分を、藍に浸しては水で洗う作業を、さらに4回繰り返す。今回はずっと藍の中に漬けておくのではなくて、2分間の間に出したり入れたりを数回繰り返す。このとき、折り目に指を差し入れて、藍につけるたびに指で折り目を一つずつ開き、藍を染み込ませる。

次は、先ほど染め残した三角形の上半分も含めて、第一段階のように全部をどっぷり藍に漬けては水洗いを二回繰り返す。・・・ 第二段階終了

再度、板をはずして、さらに白い部分を少し出して締め直す。第二段階と同様の作業を繰り返す。つまり、半分浸して上げ下げするのを4回、全部浸すのを二回。これも染まり具合を見ながら決めるので、師匠のアドヴァイスが必要。・・・第三段階終了

これで三段に染め分けられた。最後に板をはずして、水でよくすすぎ洗いをする。その後、酢酸水に2分間浸しながら、ぱしゃぱしゃとゆすぐようにして酢酸水をよく浸透させる。 ← 元さんの説明によると、「藍がアルカリ性なので、最後に中和をして、鮮やかに発色させて仕上げます。

さらに、藍は酢酸で仕上げても、まだまだ生きています。どんどん酸化していきます。染めた作品はしばらく折りたたむことがないように、新聞紙などを丸めて筒状にしたものに、藍染めの布を広げて反物のように巻いて保存してください。そうしないで、折りたたんでおくと酸化むらが起こります。藍は染めてからも生きているんですよ。」


最後にきれいな水で十分にすすぐと完成! 風の通る物干しに広げて干す。

風にはためく作品

風にはためく
作品第一号
師匠作のショール

師匠作のショール
藍から茜への色の変化がうつくしい


りっちゃんと二人同じようにしたのに、わずかな大きさの違いや円盤の置きかたの違いで、微妙にちがう印象の作品が出来上がった。(元さんの花曼荼羅のすばらしい作品は元さんのHP「Japan Blue World」に載ってます。)

想像以上、期待以上にすばらしいものができて、二人とも大満足。ゆきおさんは、「なんでやねん!」という顔をしていたなぁ・・・(^ ^) 

作業は大変で、緊張しながら時間を計り、たったり座ったり、しゃがんでいる姿勢もかなりつらいかもしれないが、出来上がったときの喜びは、苦労を忘れさせるに十分だ。またちがう染め方や、もっと大きな曼荼羅をやってみたいと思う。元さんのお店の作品を見ると、どうしたらこんなデザインができるのか不思議なものがたくさんあるので、ぜひ挑戦してみたい。

二人が一生懸命に藍瓶と水槽を往復している間に、元さんとゆきおさんは、横にあるステンレスの水槽の中の藍の様子を調べていた。藍の表面に浮いた泡を見ると、藍の状態がわかるようだ。元さんが泡にそっと息を吹きかけてその色の変わり方を見ていた。

藍の表面に浮いた泡


作品が乾くのを待つ間、元さんの大事な鳥たちをみせてもらう。銀ちゃんは種類のちがう両親から生まれためずらしいインコだという。真っ白な羽がとてもきれいで、頭の後ろのオレンジ色の羽と翼の内側に隠れているレモン色の羽がなんともいえずうつくしい。とてもおとなしくて、籠から出してもじっと元さんの手に止まっている。

お庭の奥にある鳥小屋にいって、ほかの珍しい鳥たちをみせてもらった。動物園でしかみたことのない、大きなつがいのインコが何種類もいる。鮮やかな黄緑色のや、シックなグレー一色のなど。

藍や、鳥たち、そしてきれいな花たち、基本は自然なのだな・・・と思う。

可愛い銀ちゃん


金魚の産地

いいお天気に恵まれ、お茶を飲みながら談笑するうちに、作品はすっかり乾いた。風にはためく作品を見ていると、じわじわと喜びがあふれてきて、自然に頬が緩んでしまう。

ここで、元さんとお別れして、三人旅になる。
言い遅れたけれど、郡山のオフィシャルページの管理もしているゆきおさんは、願ってもない最高のガイド!

大和郡山の名産といえば、金魚なのだそうだ。そこで、わが名ガイドたるゆきおさんは金魚資料館へと車を走らせる。金魚の歴史は、江戸時代末期の郡山藩士が養殖を手がけたのが最初なのだそうだ。そんな昔から金魚の養殖をしていたとは・・・

金魚資料館(まわりはすべて養魚池)


ゆきおさんの解説によると、郡山には川がないのだそうだ。そこで、農業用にあちこちに溜池があった。その環境が金魚に合っていたのだという。金魚資料館に着くと、ほんとうに珍しい金魚がたくさん展示してあった。たくさんの養魚槽に、一匹数百円から数万円もするきれいな金魚が日を浴びて泳いでいた。

郡山唯一のみやげ物屋にも行った。店先に下がっている赤いものは何かと思えば、金魚のぬいぐるみが大小つながってぶら下がっているのだった。おみやげ物の半分以上は金魚関係! 店先では金魚救いもできるようになっている。

かぼちゃは、夕方までに京都へ行く予定なので、ゆきおさんをあせらせてしまったようだ。予定を変更して、駅の近くで食事をしてから、郡山の駅でお別れする。この先はりっちゃんとゆきおさんの珍道中があったはず(^ ^;) りっちゃんのHPとゆきおさんのHPを読み合わせると、全貌が明らかになるはずだ・・・

つづく
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元さんのHPゆきおさんのHPりっちゃんのHP



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