ローライフレックスE、F、およびTシリーズの一部には、「セレン式」と呼ばれる露出計がついています。 よく話題になるのが、この露出計の精度についてです。一般的には「あまりアテにならない」という評価のようですが、たまに「いや、結構使える」という人もいます。一体、本当のところはどうなのでしょう? 数台の「F」を試してみたところ、結論としては「参考程度かな?」という感想でした。何しろ、「単体露出計と比べてどうこう」とかいう以前に、F型同士を出来る限り同じ条件で横1列に並べて見てみても、出目がかなりばらつくのです。比較的いつもアンダー傾向の個体あり、比較的オーバー目の個体あり…。ざっと比べてみた数台の間だけでも、条件によっては最大4段もの差が出ました。しかも、アンダー傾向だったものが他のものとほぼ一致する時もあれば、オーバー目のものが常時一番オーバーな値を示すとは限らなかったりもするのです。これでは手放しで信用するわけにはいきません。ある程度自分の個体を使い込めば、「こういう状況ではこういう傾向」というものがつかめるかも知れませんが、傾向がハッキリしないとなればそれ相当な「修練」が必要でしょう。結局、面倒でも単体露出計などを持ち歩くか、自分の経験とカンで撮ることになると思います。 もっとも、個別に見てみれば、「ネガなら許容範囲か?」というレベルではあります。(とはいえ、当時のローライの「取扱説明書」の謳い文句、「いつでもすぐに適正露出が一目で分かって、しかも完璧に正確!」てなセリフは言い過ぎか?) まあ、2、30年前のカメラの内蔵式露出計はわりとこんなものだったのかも知れません(今のカメラの「TTL多分割測光」なんてのが優秀過ぎ?)。また、経年変化あるいは劣化という部分もあるでしょう。ドイツの某メーカーのクラシックカメラを専門に扱っているお店に行ったら、「全品保証つき(露出計の精度をのぞく)」てなことが張り紙してありました。現在のローライの日本代理店をやっている商社さんでも、露出計に関する修理だけは「精度の保証が出来ない」という理由で、受け付けていないそうです。 ローライの取説によれば、「振動や衝撃によって、メーターが狂うことがある。場合によっては調整も可能」というようなことも書いてありますから、症状によっては改善の余地もあるかも知れません。 また、中古市場では受光部の前につける「ディフューザー」が紛失しているものが多いですが、当時の取り説によれば、「太陽方向に向ける時には付けておけ」というようなことも書いてありますので、逆光状態で長時間放置するのは避けた方がいいのかも知れません。 |