●クラシックカメラのコンディション

 「比べてみました」の「7」で、2.8Fプラナー同士を比べてみて、それまでちょっと不安に思っていた、「本当にこれがこのカメラの“味”と思っていていいんだろうか?」という疑問が払拭した、というようなことを書きました。

 しかし、こんなテーマのサイトを開いていて言うのも何ですが、2.8F以外のものについても、私がこれまで試写してきた全ての個体が、そのモデルを本当に代表できる「コンディション」であったのかと言えば、正直なところ、絶対の確証があるわけではありません。また、発売当時のテイストをどの位保っているのかも分かりません。というよりむしろ、「経年」や「使用」、あるいは「整備」「修理」による「変化」という事実からは、多かれ少なかれ、逃れられないと思った方が良いでしょう。古いモデルになればなるほど、であります。

 市販されている、あまたのカメラ本を見ても、たまに同じはずのレンズについての評価が、本や著者によって違っていたり、撮影例のテイストが違っていたりすることもあるようです。
 あるプロカメラマンが、あるレンズについて、「最初に出会ったこのレンズについて、その描写を見て、“いかにもクラシカルな…”と思っていたが、同じレンズでもよりコンディションのいいものに出会った時に、その現代レンズに引けを取らない性能の高さに驚いた」というようなことを書いていましたが、確かにそういうこともあるでしょう。場合によっては、逆もあるかも知れません。

 できることなら、同じモデルを3台くらいづつ並べて、いっせいに試写することができればいいのですが、それは極めて困難であります。古いモデルになればなるほど、であります。

 それでも、それぞれのカメラ、それぞれのレンズのテイストの違いは、やはりファンなら気になるところでありますし、中々触れることのできないモデルの試写を行っていくことは、十分に意味のあることだと思うのです。またそれらについて、様々なご感想やご意見を、「談話室」等で交わしていただくのもまた、うれしいことであります。

 というわけで、これからも地道に試写を重ねていこうと思う次第であります。