多田武彦合唱講習会に参加して

講習会参加者のご意見ご感想


【1】 多田武彦合唱講習会に参加して

2005年3月5日
荒川  滋 パート:バリトン(フルトン男声合唱団 宮崎県)


 私達にとっては、雲上の存在である多田先生の講習会開催を知って、「拝聴したい」 の一念で、ほかの予定をキャンセルしての大宮詣でとなりましたが、3時間半の受講中、地上へ舞い降りていただいた感がいたしました。
 会場に早く着いたこともあって、臆面も無く最前列での聴講です。朝に夕に口ずさむクラブソング 「この空と海に生きる」 の制作をしていただいて4年、その想いが漸く叶ったのです。加えて僅かな休憩時間に、私のような者に対して時間を割いていただき、お目にかかれたことは、まさに光栄でした。

 合唱においてピッチがいかに重要か。フィッシャー・ディースカウの妙技にフレージングの三つの態様など、すばらしい内容の連続です。古典芸術にご造詣の深い先生のお話は、広範多岐にわたり、虎造の浪曲から黒澤・小津安の映画、ひばり・はるみの歌謡曲、はたまたマツケンサンバの分析にいたるまで、ご自身のソロを交えて、その豊富な音源を駆使され、「音こそ楽し」 のオンパレードに息つくひまもありません。先生の抽斗の多さには吃驚です。.山田耕筰先生、清水 脩先生に薫陶をお受けになったこと。畑中良輔先生、北村協一先生、田中信昭先生との交流のことなど、それは短い時間に感じました。
 先生のユーモアを交えた厳しく温かいご指導の中に、奥の深い豊かなお人柄と、音楽に対する深遠なお気持ちを感得いたしました。
 私など日本の片田舎におりまして、加えて音楽には殆んど無定見ですが、幸いよき指導者に恵まれ、人に伍して楽しく練習に通っています。この受講を機に、常に心のアンテナを広げて、合唱の道を歩みたいと思います。

 終わりに、企画していただきました 「男声合唱プロジェクトYARO会」 の加藤様をはじめ、関係者の皆様に心より感謝を申し上げます。

※ 会場で、「多田武彦 男声合唱曲集 2・4」、「加藤良一 音楽は体力です」 を入手できたことは、幸いでした。
 

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  荒川さんには、遠く宮崎県から参加して頂きましたが、それなりの収穫があったようで主催者として喜んでおります。また、文中紹介があったクラブソング 「この空と海に生きる」 とは、多田武彦先生が作曲したフルトン男声合唱団の団歌です。フルトンのホームページで聴くことができますので、ぜひ訪れてみてください。ここのリンク集に収載されています。

加藤良一

 


【2】 多田武彦合唱講習会に参加して

2005年2月20
森 下 智 晴 パート:バリトン(コール・グランツ 埼玉県)
 

 長い間楽しみに待っていた多田武彦先生による合唱講習会を受ける前日は、久々子供の時の遠足前日のような気分を味わえました。まだ、寒い2月上旬、JR大宮駅改札を抜けて、横目に何かとお世話になっている大宮ソニックシティ(演奏会やら、パスポートやら、…結構いろいろ)を通り過ごし、私がコール・グランツに入って最初のおとうさんコーラス大会の打ち上げに使用された、今回の会場であるサイサンKSホールを訪れました。
 エレベーターを上がり受付へ、おお!見慣れた仲間(YARO会)が。受付を済ませて、席を確保し、さて、後は講習を待つだけ…と思いきや、ポパイ伊藤さんより呼ばれて、楽譜販売のお手伝いを。(むむ、まさか楽譜販売までしているとは。恐るべきYARO会の行動力)
 余裕を持ってきてみたが、あっという間に時間が経ち、事前の練習へ。メンネルA.E.C.須田さんの指導のもと、富士山2曲目を題材に練習。高校生が結構たくさん参加されているので、なんかうれしい。(最後方で歌っていてよく見えた)

 多田先生は、実際の音源を使われての指導で、なかなか興味深いやり方でした。“北国の春”などは、○○部分に気をつけて歌手は歌っていると言われて、ああ、なるほど、と、納得してしまうことしばしば。
 多田先生は立ち止まることなくあっちへ行き、こっちへ行きと音源とマイクとピアノの場所を移動されていました(思い描いていたイメージと違った)。とにかく“技術の構築”ということが、今回私が、多田先生の教えのポイントと受け止めました。確かにいくら感情どうのこうのと言っても、そのように歌える技術が無ければどうしようもない。(なるほどー)

 こまかいことは貴重なテキストが配られたので、少しずつ練習時間に実践していきたい。(この後、グランツで実際教えを試すことになったのだが、前途多難かな?)いやはや多田先生、3時間半もの長時間、大変お疲れ様でした。 
 私が、男声合唱(合唱全体も)と関わるきっかけと、多くの合唱仲間との出会いをさせてくれた、多田先生とその作品に、この場を借りて、改めて感謝します。先生の作品にあわなかったら合唱続けてなかったと思います。(そのころ楽器にも興味あったし)

 今回中心スタッフとして活躍された、関根、須田両氏、及び最大の功労者である、加藤氏に、スペシャル サンクス!!!

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  会場へのアプローチから書き下ろすあたり、やはり手順に拘る森下君ならではでしょうか。たしかに多田メソッドをグランツで実践しても、いくらなんでも初心者には通じにくいと思います。そんなこと気にする必要もないことですので、ご安心ください。まあ、気長にやっていきましょう (飴と鞭で)。

加藤良一

 


【3】 多田武彦合唱講習会に参加して

2005年2月17
川 崎 正 隆 パート:ベース(北海道札幌市)
 

 男声合唱の神様、多田武彦氏の合唱講習会が開催されるというので参加をした。以下感想などを簡単に書かせていただく。

・合唱講習会というと、発声法や特定の曲をうまく歌う事に終始する傾向が多く正直辟易するが、今回は3時間半の長丁場にもかかわらず、だれずに聞けた事は非常に珍しい事であると思う。理由としては多田先生が耳馴染みのある音源で、曲の構成や歌いまわしの解説など、合唱に限らない舞台表現全般、さらに実社会でも役立つ話題を中心に据えたからであると思う。
・多田先生には短い休憩時間にこちらから話した時も快く応対していただいた。とても嬉しかった。
・メロス楽譜の即販会はありがたかった。地方(北海道)では店頭販売はほとんどしていないので。
・部屋が縦長で、後ろの方の人たちは前が見えにくく不満があったかもしれない。(私は運よく前から2列目に座る事ができたが)
・多田先生も仰っていたが、数日間でやるべき内容を短時間に詰め込んだため、やや消化不良気味であった事は否めない。しかし実際に数日間行うとなると、日程調整など運営面でいろいろ難しいと思うので、仕方がないと思う。
・高校生からご年配の方々までが一堂に会して歌う機会は滅多にない。非常に貴重であった。

・最後にご多忙の中、このような貴重な機会を設けて下さったYARO会の運営スタッフの皆様に感謝申し上げます。

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 川崎さんは北海道から参加していただいた熱心な合唱人です。タダタケ・メソッドともいうべきテキスト『合唱練習の際の留意事項』の内容すべてを講義するには、3時間や4時間では本来無理かも知れません。今回の日程は、とりあえず欲張らずに出来る範囲で開催しようという妥協の結果ですので、ご理解ください。
 仰るように会場が縦長なので横に使おうとしましたが、ステージや音響装置の関係で叶いませんでした。ただ救われたのは、比較的良いスピーカーが天井にかなりの数埋め込まれていたことで、会場のどこでもほとんど同じに聞えていたと思います。

加藤良一