汗水句集
(06/07)

花半分梅雨明けを待つたちあをい
浴衣着て老春楽しむ夜店かな
桐下駄の音色聞きたく浴衣着る
夕立が過ぎて夕顔さわやかに
浜木綿が今年は古希を祝って咲き
(06/06)
金柑の実黄色いほどにとんび喰い
軒下で子燕笑う雨宿り
小雀がくちばし開けて梅雨晴れ間
にわか雨傘に入れたや女子高生
梅雨晴れ間小鳥さえずり姦しく
(06/05)
白い花 青葉輝く緑雨かな
卯の花が腐る長雨(ながめ)も心晴れ
夕映えの古城を彩る躑躅かな
山藤が七つの緑に紅をつけ
五月雨に打たれる花に思い遣り
(06/04)
白 ピンク 黄色 紫 春爛漫
落花盛ん我が人生まだ散らず
陽炎の向こうに行こうよ車椅子
春の日を浴びてまどろむ親子猫
花つむぐ老母と妻の背に夕日
(06/03)
まだ蕾すぐに膨らむ新入生
虫よりも議員が動く啓蟄日
香りつめ彼岸を迎える沈丁花
神戸の春釘煮の香りで癒し顔
呆けの花喜怒哀楽を匂わすか
(06/02)
子供らの声無く雪は深々と
春よ春 恋の始まり 野に山に
雪解けに蕗が顔出す早春賦
若芽吹く土の香りよ車椅子
春を待つ奈良二月堂花ごしらえ
(06/01)
新年を汽笛で祝う神戸かな
1・17想いは新た11年
麦畑昔踏みにし霜柱
大寒や南国は早や桜咲き
春近し椿ほころぶ田舎道
(05/12)
悪友と昔を語る紅葉山
初氷沈む枯葉を思いやる
初雪を口を開いて賞でる子ら
木枯らしに輪を組み暖とる猿仲間
雪だるま初めて作った孫はしゃぎ
(05/11)
白菊の影まで匂う月夜かな
木枯らしに当たって喜ぶ車椅子
石垣にコスモス匂う古城かな
柿を採る親子の会話に笑みこぼれ
干し大根吊るす老婆の癒し顔
(05/10)
菊香る古道の先に月映ゆる
月見草可憐に咲いて仲直り
紅葉映ゆ古道に白く線を引き
古城跡赤く染まって柿山に
亡き義母が吊った干し柿目に浮かび
(05/9)
彼岸花咲いてくれるな妹のため
ノースリーブ ブーツで闊歩 秋だろね
官から民 我が家変わらず 妻から俺
月見草昔を偲ぶ車椅子
嵐去りこおろぎ鳴いて秋を知る
(05/8)
聞きたいな陛下の胸中白か青
重病の妹に届け蝉しぐれ
浴衣着て今日は何処の花火かな
車椅子入道雲に話し掛け
蝉の声哀調帯びて処暑の夕暮れ
(05/7)
十五夜に病い治れと手を合わす
浴衣がけ酸漿頬張り土用丑
海開き浮輪持つ手をばば支え
ねじ花は足の下でも白く咲き
半夏生わたしも綺麗半化粧
(05/6)
草花は暑さ寒さに負けず咲き
ジュンブライド孫が微笑む車椅子
修験道コツコツこだます杖の音
俄か雨空木(うつぎ)鮮やか山背(やませ)道
梅雨上がり水溜りに笑う孫の顔
(05/5)
町かどにジャスミン匂いほっとする
鯉のぼり泳ぐ下町山車が行く
五月晴れ掃除してからね車椅子
墓守か飛鳥古墳でホーホケキョ
花みずき古も咲いたか太子の里
(05/4)
散り初めに想うあの娘の洗い髪
青に白 緑七色山笑ふ
川面へ垂れる桜に頭下げ
白と黄が古道に映える花くらべ
たんぽぽの穂が飛んだあの日土手の昼
(05/3)
車椅子曾孫の門出校門まで
水ぬるむ稚子の笑いも高らかに
小雪舞い松明赤くお水取り
沈丁花稚子に優しく匂い振り
中学を晴れて卒業帰国孤児
(05/2)
氷雨舞う震災神戸はと乱舞
冷え込みも祭りは暑く春節祭
児ら群れる園に優しく寒紅梅
春一番うぐいす初音ホーホケッツ
花ごしらえ春を呼び込むお水取り
(05/1)
初春や米寿の老母(はは)と屠蘇を酌み
元旦の六甲連山雪化粧
初春を明石の入日で舌鼓
10年目あの日も赤し南天の実
寒牡丹今年も頑張ろう車椅子
(04/12)
木枯らしの吹いたあの日は待ちぼうけ
車椅子駅員にっこり有難う
古道沿い干し柿触れる家族連れ
縁先で陽だまり求む幸せさ
定年後自棄酒やるとは知らなんだ
(04/11)
柿吊るす老母の肩に赤とんぼ
100均で枚数チェックメモ用紙
車椅子銀杏並木の御堂筋
鍋突いて家族団欒紅葉狩り
女子高生淡き思い出鰯雲
(04/10)
今朝如何老母の顔見てひと安心
秋侘びし想いに耽る怖い妻
秋晴れや何処に行こうか車椅子
峠越え心が弾む煙る里
片想いあの娘の香り金木犀
(04/09)
彼女並み待てども待てども来ぬ台風
薄立つ熊野古道の二人連れ
見合いして向日葵咲く道歩いたっけ
コスモスと萩を観せてと車椅子
満月に観たやと願う雁の列
(04/08)
百日紅昔通いし飲み屋の娘
暑く咲く桔梗に誓う変わらぬ愛
(愛は桔梗の花言葉)
夕凪の川面を過ぎる和みの風
初盆や義母の墓前に冷やし菓子
優しいな墓に麦わら被せおり
(04/07)
満月に妻と見つめる半夏生
アベックには浜風無用甲子園
車椅子この暑さでは堪忍ね
炎天に浜木綿白く涼一服
妻の声蚊が鳴くような見合い中
(04/06)
花菖蒲採りに行きたや車椅子
北国へ絆念ずる親子鳩
オイ友よ絆に繋がれあの世まで
雨上がり色ずく紫陽花簾越し
曇天を釈迦が憂うる沙羅双樹
(04/05)
明日香路をれんげ・たんぽぽ想い人
車椅子つつじ横目に病院へ
八十八夜あの日二人で眺めたっけ
新風(かぜ)求め残雪踏みしめ故里へ
遺言を書いて気になる子の視線
(04/04)
夜桜に満月添える二人連れ
桜々笑顔で宴平和日本
春が来て若い芽が出て希望満つ
金柑が香りをかける地蔵尊
ワタスゲが行く気にさせる利尻の春
(ワタスゲが咲くと利尻島の初夏が来る)
(04/03)
京の春梅で飾った舞妓さん
朝雪を恐々(こわごわ)覗く啓蟄の日
我が家にも梅に鶯構図あり
春うらら犬も童と水遊び
沈丁花匂いを乗せて車椅子
(04/02)
寒風に見上げた刹那月隠れ
幼き日当てられ泣いた鬼は外
薄氷そばにほころぶ梅古木
春うらら庭で草摘む姑と妻
小春日を陽気に滑る車椅子
(04/01)
母よりの手書きの賀状暖かし
あの朝は南天赤く1・17
薄雪に赤く鮮やかシクラメン
般若寺の石仏撫でる紅水仙
凧揚げて気分新たに年始め
(03/12)
造成地肩身も狭くすすきかな
木枯らしを背に足早める車椅子
初雪に昔を偲ぶ老人会
薄氷(うすごおり)恐々踏み合う童達
鰭酒は強いわよと睨む妻
(03/11)
天高しつわぶき乱れる旧い庭
多羅葉樹(たらようじゅ)いにしえ偲ぶ京の寺
(もち科の常緑樹で葉が大きく厚く古代は紙
の役目をした)
枯れ紫陽花紅葉散り敷く山ノ辺路
入念に化粧忘れぬ車椅子
柿をむく女将の粧い芳しき
(03/10)
曼珠沙華 稲穂がもたれる八尾古道
御輿過ぎ早くと急かす車椅子
紅初めの山に溶けいる祭り囃
秋祭り御輿を担ぐ議員さん
落ち栗を拾った義母は今はなし
(03/9)
向日葵が我が物顔に遅い夏
露墨で書いたあの日は8月15日
梅花藻と戯れ泳ぐヨリヨ達
(ヨリヨは醒ヶ井宿辺の清水に棲む小魚)
満月に火星も近く白露かな
(9月8日は白露です)
夾竹桃 柿も色ずく萩の寺
(03/8)
百日紅暑さ忘れる可憐さに
我が半生見つめて浜木綿庭に咲く
車椅子優しさ集めて盆参り
送り火にまたの逢瀬を託す母
千年も瑞々しく古寺の蓮
(03/7)
だんじりも装い新たに夏祭り
庭越しに匂う白百合淡き恋
去年植えし紫陽花小さく半夏生
凪ぎ去りてほっとくつろぐ甲子園
病む母に優しく送る父の風
(03/6)
新梅を漬ける女房の癒し顔
朝顔の露が弾ける初夏の風
初コース嬉しく弾む車椅子
畦道に紫陽花拡げ通せんぼ
干し布団雀ものんびり五月晴れ
(03/5)
御陵(みささぎ)の疎水に遊ぶ山つつじ
火床にて亡き母偲ぶ大文字
咲き競う躑躅と桜の田舎道
娘(こ)と孫が手に手を添えて車椅子
祭り路(じ)を涼しく歩く衣替え
(03/4)
車椅子登り観せたや山桜
馬酔木咲くせせらぎ渡る鶯よ
斑鳩のれんぎょうに積もる花吹雪
学び舎の初恋偲ぶ桜かな
降り懸かる護国戦士碑八重桜
(03/3)
軒下で春を啄ばむ親子鳩
春息吹き新子やのれそれ踊り喰い
遅雪に松明震えるお水取り
冷えすぎて出るに出られぬ啓蟄日
緑風が早く吹かぬか冷たい日
(03/2)
土手際に土筆顔出す雨水かな
水ぬるみ花粉を気にする春日和
初雪に両手をひろげはしゃぐ児ら
残り柿仲良く啄ばむ夫婦雀
みぞれ降る中を危なく車椅子
(03/1)
初雪に赤く微笑む南天の実
明くる年良かれと祈る除夜の鐘
坂道に望みを映す初日の出
時雨れても熱い二人の初詣
1・17星に流れる鎮魂歌
(02/12)
嫁と姑(はは)落ち葉を踏んで睦まじく
車椅子落ち葉を滑る嫁と姑
布引の紅葉を眺め滝を詠む
師走入り黄色一葉枯れ銀杏
凍てつく夜そっと寄り添う妻がいる
(02/11)
干し柿を睦んで吊るす妻と姑
寒空に声張りあげる募金の児
廃村に活き活き実る柿並木
紅と黄が色よく映ゆる紅葉山
黄葉に黒二点ひよ親子
(02/10)
萼(がく)紫陽花緑花(みどり)を残す詩仙堂
赤松にこすもす映ゆる修学院
古石垣(こいしがき)木犀(もくせい)匂う松山城
道後でも烏の行水早競べ(はやくらべ)
縁(よるべ)なき墓に寄り添う彼岸花
(02/9)
タマちゃんよ皆(みな)に癒(いや)しを有難う
タマかツル探して騒ぐ平和ぼけ
知らなかった水着(みずぎ)の上にパンツ穿(は)く
夫婦松離れて立つか妙宣寺(みょうせんじ)
維新の風暑さは同じか妙宣寺
つくぼうし永久(とわ)に生きよと千光寺(せんこうじ)
いと暑(あつ)し尾道の里野分き過ぎ
さわやかに竹原の里蛍(ほたる)飛ぶ
秋海棠(しゅうかいどう)紫(むらさき)匂う大原路(じ)
秘仏かな金ぴか薬師有りがたや
(02/8)
琵琶湖浴混浴風呂で腹比べ
歩こう会歳は増すのに山が増え
我行けずネットで楽しむ高野の夏
眼に嬉し紫陽花残る金剛の尾根
暑すぎて蝉もげんなり声弱し
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