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1 母在りし部屋の柱に蚊帳の鉤
2 里の田に並ぶ案山子は世を映し
3 敬老の日何事もなく過ぎ去りぬ
4 校長の進路気遣ふ台風日
5 天をつく穂もこうべ垂れ招くよう
6 秋の灯やなお近づかぬ峠みち
7 寝もやらず臥して過ぎるを待つ野分
8 台風の過ぎたるあとの茜雲
9 台風の恵みのなくてダム細り
10 ほうづきを突くかと妻に問いかける
11 リバウンド秋の味覚につい負けし
12 墓前祭みずひきそうの路を行く
13 白菊の悲しさこらえ野辺送り
14 扇風機ともに過ごせし夏終る
15 馬やよしメタポに哀し秋渇き
16 バス追へず独り残され秋を知る
17 曼寿沙華祖母の語れる亡母(はは)のこと
18 台風の去りしや雨戸の音絶えぬ
19 台風の予報に合わせ雨戸繰る
20 今様の台風テレビでやってくる
21 棗拭く姿に惚れる秋日和
22 骨一本残し秋刀魚は吾が腹へ
23 月明かり射し込む朝にかけ具引く
24 蕎麦ゆでる匂いにひかれ小駅かな
25 流る川こなた彼方の曼珠沙華
26 墓石を里に移せと古坊主
27 秋出水天に怒りのある如く
28 杣人の声すきとおる秋の暮
29 ケータイの宣伝多き敬老日
30 あの人はどうしてるやら秋海棠
31 遠き友久しく訪ね彼岸花
32 嵐去り新涼を呼ぶいわし雲
33 秋晴れやこの程度かなと薔薇を切る
34 鯖雲に遠き若狭の夏想ふ
35 迷走の嵐墓参も惑わせる
36 無花果や遠きを想いて乳を嗅ぐ
37 コスモスは微かな風に撮れもせず
38 秋風にうなじかしげる中宮寺
39 入る風に窓細めたる夜の秋
40 気動車を降りて眼に入る曼珠沙華
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梧葉
南圃
鵜雪
花風
伸平
行雲
居倉
如水
行雲
伸平
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