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１ 今年子の高鳴きするや鶴帰る
２ 光る雲淡雪舞うや蝶のごと
３ 今宵また鉢を倒して猫の恋
４ 節分の鬼は内なる心かな
５ 吹かれ飛ぶ雪に急かされ初天神
６ 傷舐めて眠りに入りぬ恋の猫
７ 雪かきやこの階段もあの坂も
８ 幾年の脂身抜いて春近し
９ 老いの眼に幼き手跡雪だるま
１０ 朔風をうけて花芽や紅こぼれ
１１ 血の色に蕾ふくらむ沈丁花
１２ 声明し老母の仕切る雛飾
１３ ふる里は遠くて近し温め酒
１４ 大寒や魚身を寄せて流れ行く
１５ くつくつと湯気暖かく寒の鍋
１６ 振り返り絶句したまま凍てし道
１７ 黄と黒のはざまに炎（ほむら）芝を焼く
１８ 北風の肌刺す朝に大根干す
１９ 白銀（しろがね）を駆けし青春矢の如し
２０ 白む街静謐保ちて雪やまず
２１ 老人の町のしじまに猫の恋
２２ しじま裂き春にさきがけ猫の恋
２３ 向き合ひて何を語るや水仙花
２４ 鬼は外と言わなくなったと寿司を食む
２５ 欅の芽流るゝ雲の速さかな
２６ 冬晴れや蝋梅の淡雪露と消え
２７ 棒持てど知らぬ振りして恋の猫
２８ 逃げ足の速き二月やわれもまた
２９ 荒東風や今日も出られぬ捜索船
３０ 鳥鳴きて椿の花の一つ落ち
３１ 猫の恋窓辺に寄りしジュリエット
３２ 一色にひと朝だけの雪景色
３３ にわか雪行方定めぬ猫の恋
３４ あじさいは冷たき朝に葉を捨てり
３５ マンションに雪掻く人の一燈や
３６ 子どもらは掻き寄せた雪伝い行く
３７ 春浅し地上の星の咲き始め
３８ 里道のしるき靴跡黒き土
３９ うらやまし寝床に聞くや猫の恋
４０ 駅出でて縄暖簾まで息白し
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居倉
伸平
南圃
花風
梧葉
如水
鵜雪
行雲
花風
行雲
如水
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