健康コラム


ギラン・バレー症候群について

多くの場合1〜2週間前に先行感染があり、風邪症状や下痢などのウイルス感染を思わせる症状があり、急激に手足の運動麻痺が出現します。軽度の場合は歩行も可能ですが、重症になると歩行不能になり、上肢も全く動かなくなります。 呼吸筋まで障害される重症例では人工呼吸器が必要になります。 障害される部位は手足が大半ですが、顔面の筋肉の障害をきたす場合があり、両側の顔面神経麻痺、眼輪筋麻痺、眼球運動障害などを認める場合があります。 運動神経のみの障害、運動・知覚神経とも障害、主として知覚神経が障害される型もあります。

●診断
特徴的な発症の経過と症状で推測されますが、脳脊髄液の検査で髄液のタンパク質の上昇があり、かつ髄液の細胞数が正常であれば確定的です。

●経過
症状の程度にもよりますがほとんどの場合経過は良好です。 四肢の麻痺が強い場合はリハビリテーションによる筋力回復にかなりの長期間が必要です。軽症の場合は外来治療だけで完全に回復がみられます。 原則として再発はありません。

●治療
血漿交換療法、免疫グロブリン大量点滴療法、ステロイドホルモンの点滴、内服治療などがありますが、症状の程度により選択します。

●ギラン・バレー症候群と鑑別を要する疾患
◇フィッシャー症候群(Fisher syndrome)
ギラン・バレー症候群と似ていますが四肢麻痺はあまりなく、眼球運動障害、散瞳(対光反射消失)、小脳性運動失調があり、一般に良好な経過で回復します。
◇慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)
手足の筋力低下、知覚障害があり、再発・再燃を繰り返す特徴があります。 比較的急性発症のギラン・バレ−症候群に比べ、発病は急性、亜急性、慢性の発症と色々で、再発時は髄液のタンパク質の上昇があります。

●脳脊髄液検査
横になって寝ていただき、腰の部分で細い針を刺入し、脳脊髄液を採取して、髄液のタンパク質、糖、細胞数、細菌、その他脳・脊髄疾患に関与する特殊物質を測定する検査で す。 少し痛みはありますが、採血と同じくらいの時間ですみます。 ただし、検査後は1〜2時間仰向けで横になっていただきます。そうしないと翌日になって頭痛をきたす場合があります。


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