健康コラム


頭痛・片頭痛・群発頭痛について

頭痛をきたす疾患は色々ありますが、代表的な疾患は緊張型頭痛、片頭痛、群発頭痛の3つです。 その他に脳炎・髄膜炎、くも膜下出血、副鼻腔炎、脳腫瘍、脳出血などがありますが、 これらの疾患は脳CT、脳脊髄液の検査等で診断可能です。 しかし緊張型頭痛、片頭痛、群発頭痛は脳CT、MRIでは異常がない場合がほとんどで、 痛みの特長などの自覚症状が診断の決め手になります。

●緊張型頭痛
頭頸部の筋緊張による頭痛で主に後頭部の鈍い痛み(頭重感、圧迫感、絞扼感)で、持続性で、側頭部、頭頂部、前頭部にもでます。日内にも変動し、部位も移動します。 一日中続くことが多く、寒い時期、雨降りなど湿度が高いとひどくなることがあります。 肩の凝る仕事をしたり、精神的ストレスが加わったり、寝違いでも発症します。
頸椎の病変(椎間板ヘルニア、後縦靱帯骨化症、脊椎管狭窄症、すべり症、側弯症、生理的彎曲の消失、頸椎脊椎骨の腫瘍など)の有無についての検査も必要です。 後頸部の強い圧痛があれば大後頭神経痛、大後頭三叉神経痛の可能性もあります 顔面の知覚は三叉神経により支配されていますが、頭皮の部分は第1〜第4頸神経(首から出る神経)で支配されています。一般に頭痛があると脳の病変を考える傾向がありますが、緊張型頭痛では脳ではなく、頸椎に病変が存在する場合が大半です。その為にも頸椎のX線撮影などの検査が必要です。ほとんどの場合内服剤の服用で改善します。

●片頭痛
若い女性に出やすい疾患で、家族性発症も多く、母親、兄弟姉妹にも発症している場合があります。前兆(目がかすむ、ギザギザの波形が見えるなど)があって10−40分して頭痛が出現する典型的片頭痛と前兆のない普通型片頭痛があります。 一般には鈍い鈍痛から始まり、徐々に脈を打つような拍動性の頭痛となり、最後は持続性の強い頭痛になります、この際に嘔気、嘔吐を伴うこともあります。頭痛は数時間で消失します。頭痛の場所は一側性であったり、両側性であったりします。月に1回から数回が多く、発作前に体重増加、乏尿、発作後に多尿の傾向があります。 頭痛発作時に血中セロトニン値が急激に低下するので、セロトニン作用薬が有効な治療薬として使用されており、これが現在特効薬として世界的に使われています。 特効薬には内服、口腔内速溶錠(水なしで服用可能)、注射、点鼻がありますので、コントロールしやすくなりました。

●特殊型片頭痛
◇眼筋麻痺性片頭痛: 眼球運動障害を伴う。
◇片麻痺性片頭痛: 片麻痺を伴う。
◇脳底型片頭痛: 視野障害、構音障害、回転性眩暈、耳鳴、難聴、複視、運動失調などを伴う。
◇網膜片頭痛: 60分以内の単眼性の暗点または失明の後に頭痛があります。 (頭痛が先の場合もあります)
◇小児交代性片麻痺:生後18ヶ月以内に発症
◇片頭痛代理症:頭痛、嘔吐を伴わないで前兆などの神経症状だけが出現するものです。

●群発頭痛
比較的若い男性に出やすい疾患で、片頭痛と異なり初めから強い拍動性の頭痛が出現し、多くの場合10分以内の強い頭痛ですが2時間位続くことがあります。 頭痛時顔面紅潮、前額部の発赤、流涙、鼻閉、鼻汁、ホルネル症候群(縮瞳、眼瞼下垂)、動悸、悪心、嘔吐を伴うことがあります。一側性の頭痛で、片頭痛のように両側性に痛むことはありません。 1日に1〜数回、1〜2ヶ月持続し、年に1〜2回この頭痛発作を繰り返すことが多い。 治療は片頭痛の場合と同様ですが、酸素吸入も有効です。

◇群発頭痛の酸素療法
発作後10分以内に開始するのが望ましい。 1分に7リットルの100%酸素をフェイスマスクで吸入(10−20分間)します。 この治療法は健康保険の対象になっていませんので自費診療になります。 劇的に改善する場合があります。本院で酸素吸入するか、自宅で酸素ボンベを設置して治療することも可能です。

●その他の頭痛
アイスクリーム頭痛、頭を締め付けた時の頭痛、咳嗽性頭痛、頭脳労作性頭痛、性行為に伴う頭痛
頭部外傷
血管障害
脳出血、脳梗塞、くも膜下出血、脳動静脈奇形、脳血管炎(側頭動脈炎など)、
動脈解離(内径動脈、椎骨脳底動脈)、高血圧 脳圧亢進または低下
薬物:硝酸化合物、アルコール、一酸化炭素中毒など
感染症:ウイルス感染、細菌感染症
代謝障害:低酸素脳症、二酸化炭素中毒、低血糖、人工透析
その他の頭蓋・顔面疾患:副鼻腔炎、鼻咽喉癌、緑内障、歯痛など
心因性頭痛:うつ状態、妄想状態、ヒステリー、心気的状態など

●頭痛と鑑別を要する神経痛
三叉神経痛、舌咽神経痛、帯状疱疹後神経痛、迷走神経痛、大後頭神経痛、大後頭三叉神経痛、蝶形口蓋神経痛、下顎関節痛などがありますが、頭痛がある場合、これらの神経痛も念頭におかなければなりません。


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