健康コラム


脳卒中について

脳卒中とは脳の動脈の閉塞、出血による病気の総称です。 血管が閉塞する病気の代表例が脳梗塞です、血管が破れる病気の代表例が脳出血です。 動脈の病変による病気ですので症状は急激に発症する特徴があります。 症状と脳CT、MRI検査で診断可能ですので、なるべく早く受診して検査を受けて下さい。

脳出血

●高血圧性脳出血
脳出血の大半がこの型で急に血圧が上昇して脳の血管が破れる病気です。 脳の被核、視床が出血しやすい場所ですが、脳のどの部位にもみられます。 場所と大きさによって症状の強さ、治りやすさが異なります。 脳の右側か左側かによっても症状、予後が異なります。

●くも膜下出血
急激な頭痛で発症する場合が多く、ほとんどが脳の動脈瘤(脳の血管のこぶ状にふくれた部分)の破裂によるものです。脳のMRA検査をすれば破裂する前に見つけることも可能です。

●脳動静脈奇形破裂
脳の動脈と静脈が毛細血管を介さず直接つながって血管網を作っている状態の奇形で、非常に破れやすくなっています。動静脈奇形のある場所の神経症状がわかれば、 出血する前に見つけることが可能です。

●頭部外傷による脳出血
急性硬膜下出血(頭部外傷で頭蓋骨骨折に伴い、硬膜動脈から出血する) その他外傷の部位によりいろんな部位に出血がみられます。

●その他の脳出血
出血傾向のある場合、心臓弁膜症の手術後などでワーファリンを服用している場合、 全く原因のはっきりしない場合もあります。

脳梗塞

脳梗塞は脳の血管が閉塞する病気で一過性に症状が出現して改善する一過性脳虚血発作と症状が24時間以上続く脳梗塞があり、脳梗塞も動脈硬化などで血管が閉塞する脳血栓と心臓などから小さな血の塊が流れてきて脳の血管が閉塞する脳栓塞に大別されます。閉塞する血管が左右のどちらか、どの血管か等により症状が異なります。 一般に右の脳が傷害されれば体の左側の症状があり、左の脳が傷害されれば体の右側の症状が出現します。(例外もあります) 右利きの人では言語中枢は左の脳にありますので、左の脳が傷害されますと、言葉が理解できない(感覚性失語)、喋り方がわからない(運動性失語)などの症状が出る場合があります。

●一過性脳虚血発作
一時的に麻痺がきたり、しゃべり難くなったり、視野が欠けたりして24時間以内に症状が全く消失する病気で、数分間、1時間位で症状のなくなる場合が大半です。脳の血管が一度閉塞して、再度流れ出すためにこのような状態になります。 何度も繰り返していると脳梗塞になる危険性がありますので、必ず治療して下さい。

●脳血栓
動脈硬化が進むと血管が閉塞しやすくなります。また血液が濃くなって粘調度が高くなったり、急に血圧が低下したりしても血管は閉塞します。年をとって動脈硬化が進むとおこしやすくなります、内服剤の治療が有効です。

●脳栓塞
心臓の弁膜症、心房細動、不整脈などの心疾患では心臓内に小さな血の塊が出来やすく、それが心臓から流れ出すと脳、肺、腎臓、四肢の血管に飛んで閉塞します、脳には心臓から非常に飛びやすい状況になっており、再発の危険性も強いところです。 心臓以外でも血管の動脈硬化が強い血管の血管壁の一部が剥がれて血流に沿って流れ脳の血管が閉塞する場合もあります。 血の塊(栓塞)が出来ないようにきちっと内服加療することが大切です。

●ラクナ梗塞
梗塞巣が1.5cm以下のものをラクナ梗塞と呼んでいます。場所により症状は異なりますが、症状も軽いものが多く、無症状のものもあります。数が増えると色々な症状が出てきますので治療が必要です。

●慢性硬膜下血腫
転んで頭を打って1ヶ月から数ヶ月後に半身麻痺、言語障害などが出現し、時には急にぼけてきたのではないかと思われる場合もあります。頭蓋骨の内側の静脈性出血によるもので、動脈性の出血でないので脳卒中ではありませんが、症状がよく似ていますので鑑別が必要です。 静脈性の出血ですので出血がゆっくりと増えてきて、ある程度の量になると症状がはっきりしてきます。徐々に症状が進行するので脳腫瘍と間違えられる場合もあります。 脳CT検査ではっきりわかりますので、頭を打った後しばらくして調子がおかしいと思われたら、早めに脳CT検査を受けて下さい。


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