これから日本語を教える人のための文法松元 秀弥 言語 言語は、人類を他の動物から区別する大切な目印の一つである。人類であれば、ニューギニアやアフリカの奥地などのどんな未開の種族でも言語を持たないものはなく、他方、どんな高等な類人猿でも人類のような言語を持った動物はなく、チンパンジーを人間のように育てても人類のように言語を持つものにはならない。 言語の機能 人間はこのように後天的に習得した言語によって伝達行動を行い、複雑にして秩序ある社会生活を営んでいる。社会活動は言語およびその関連の文字を手段としてはじめて可能になる。言語は見たり触れたりできる客観的な対象物があるわけではない。音声という一種の オト(空気分子の振動)を発し伝える。 発話と文 発話の音声にはいろいろな感情・意欲的意識などの反映を含んでいる。 世界の諸言語 現状、世界で話されている言語の数はだいたい2,500〜3,500であろう。残念ながら言葉(音声)はそのときだけのもので消えてしまうから、どんなものであったかは全く判らない。今後の研究によ って、例えば発掘された人間の痕跡から、この様な発声をしていたであろうという古代人ロボットを作って行われるようなことができるのかもしれない。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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日本語 日本列島にだけ分布する言語としてほぼ唯一のもの。日本国の公用語で、日本国以外ではほとんど通用しない。約1億の話し手はほとんど全部が大和民族である。固有の文字を持ち、多くの文献を残し、高い文化をつくりあげている。分布地域は狭いが、使用者の人口、言語文化の高さの点では、他の使用人口の多い歴史ある言語と同等の重要な言語に属する。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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系 統 他の地域と全く無関係に日本列島で生まれ発展してきた言語とは考えられない。何千年か昔にはどこかの言語とは一つであって、それから分かれてきたという関係にある。その系統についてはいろいろ説があり、北方説、南方説、北方・南方説に分類できる。 アルタイ語またはウラルアルタイ語と同系であるという説。その内容は主として次のような文法構造の類似にある。 (1) 語順 主語 → 述語 目的語 → 述語 修飾語 → 被修飾語 の順に並ぶ。 (2) 膠着語的 後置詞(助詞)や接尾語をつけて 格・相・態・時制 などを表す。 (3) 文の要素として必ずしも主語を必要としない。 (4) 性、数(単数・複数)、冠詞、関係代名詞 などがない。 (5) 母音調和 : 8世紀まではあった。 (6) 語頭にこない子音 : r および二つ以上の子音はこない。 南方説には三種ある。 (1) チベット・ビルマ語族と同系 語順などが一致し、代名詞に形としての類似があるが、音韻法則による規則的な対応は みつかっていない。 (2) アウストロネシア語族(インドネシア、ミクロネシア語など) 中央および南太平洋の島々文法構造は似ていないが、身体名など基礎語彙に類似が 見られる。 (3) マライ=ポリネシア語族 この語族が開音節であることが日本語との比較を容易にさせるが、文法構造が根本的に 異なり、語彙の類似も少ない。 縄文時代にポリネシア語族のような開音体系(開音節など)を持つ南方系の言語が使われていて、それが基礎となり弥生文化の伝来とともにアルタイ語的な文法構造と母音調和を持つ朝鮮南部の言語とがかぶさって日本語が成立したという説。有力な仮説だが、科学的に説明されていない。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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文字 日本語は初めは自分の文字を持たなかったが、3世紀に朝鮮から漢字が伝来したことが明らかである(285年ごろ百済の王仁が来日、「千字文」 「論語」 をもたらしたという)。漢字は日本語を書き表す唯一の文字となった。 四言古詞250句からな る韻文。筆跡は王義之のものといわれる。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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文字と表記法 日本語では構造の異なる少なくとも三種類の文字が使われている。一つは表語文字の漢字、ひとつは文節文字のかな、一つは単音(音素)文字のローマ字である。前述のように、かなにはひらがなとかたかなの二種類がある。中国語でも韓国語でも漢字に結び つく音は一つしかないが、日本語の漢字には少なくとも字音と字訓の二つの音が結びついている。字音は漢字のもともとの音に由来するものであるから殆ど一種類だが、字訓は翻訳だから当然 二種類以上ありうる。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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語彙(用語範囲) 語彙を借用関係で分類すると、漢語、外来語、やまと言葉に三分される。漢語は中国からの借用語、外来語は中国以外からの借用語、その他はやまと言葉である。「言海」の統計によると、やまと言葉10に対して漢語は6の割合だという。漢語・外来語はやまと言葉に対して音韻上の特徴をも っている。また明治時代以後、西欧語を翻訳するために漢字を2字組み合わせて作った和製漢語がある(会社、哲学、競輪など)。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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文法 文法と聞くと、殆どの人はあまり嬉しそうな顔をしないことになっている。昔学校で勉強した時のさくばく砂を噛む記憶が想い出されてくるからだろう。その方々は極めて常識的なセンスの持ち主で、日頃、文節がどうの、助動詞の使い方がおかしいとか、つまらないことを考える必要のない幸福な生活を営んでいる。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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文の組み立て
文を構成する機能からみて、語は自立語と付属語に分かれる。前者はそれだけで文節を、したが
って文を構成しうるもの、後者はそれができないものである。文節は自立語に付属語が加わるか、自立語だけで構成される。文節という文構成要素は日本語
独特のものである。
修飾語と被修飾語との関係は、修飾語のあとに付属語を置くことによって表す。 句点 「。」 を つける。 助動詞、助詞 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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文の成分 1.主語 「何が」 「何は」 2.述語 「どうする」 「どんなだ」 「何だ」 3.修飾語 主語や述語の内容をくわしく説明する 4.接続後 文や文節をつなぎ、その関係を示す 5.独立後 独立して使われる 最小単位 動詞、 形容詞、 形容動詞 の総称 採用している分類によれば 、次のようになる。品詞の選択についてよく問題に なるのは形容動詞と連体詞である。単語の種類 (品詞分類表) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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単語の種類(品詞分類表)
複合語
二つ以上の単語を組み合わせて作られた単語 秋空(名詞+名詞)、 波立つ(名詞+動詞)、 走り去る(動詞+動詞)、 細長い(形容詞+形容詞)、 蒸し暑い(動詞+形容詞) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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名詞
名詞の特徴
1.物やことがらの名を表す。 2.単独で主語になれる。 3.体現ともいわれる。 名詞の種類
1.普通名詞 同類の事物に広く共通して用いられるもの 2.固有名詞 人名、地名など特定のものの名称を表すもの 3.数詞 事物の数量または順序を表すもの 4.代名詞 そのものの名を表さず、直接さしていうもの。人称代名詞と指示代名詞がある。 ![]() 薄れて形式的に用いられるもので、数は多くはない。(例;こと、もの、・・・・・) 英語では数詞や形式名詞という分類はしないが、集合名詞、物質名詞、 抽象名詞といわれるものがある。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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動詞 動詞の特徴 1.物事の動作、作用、存在を表す。 2.単独で述語になる。 3.言い切りの形が 「ウ段」 で終わる。 1.五段活用 流す、 書く、 取る 2.上一段活用 生きる、 起きる、 恥じる 3.下一段活用 建てる、 助ける、 食べる 4.カ行変格活用 来る 5.サ行変格活用 する ![]() 動詞の種類 1.自動詞 目的語を必要としない動詞 2.他動詞 目的語を必要とする動詞 3.可能動詞 「できる」 という意味を持つ動詞 4.補助(形式)動詞 補助の役目をする動詞 「・・・ている」 ない。「出る」 のように下一段活用のものは可能動詞にはなれない。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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形容詞 形容詞の特徴 1.物事の性質や状態を表す。 2.単独で述語になる。 3.言い切りの形が 「い」 で終わる。 形容詞の活用 1.一種類のみ 2.未然形は 「う」 に連なる形 3.連用形は 「ない・た・なる」 に連なる。 4.終止形では付属語 「そうだ」 「らしい」 「と」 などに連なることもある。 5.連体形は体言に連なるので、連体修飾語になる。 6.動詞の 「あれ」 「なれ」 をつけて命令形を表す。 ![]() 複合形容詞 1.名詞+形容詞 名高い、 力強い 2.動詞+形容詞 見やすい、 寝苦しい 3.形容詞の語幹+形容詞 青白い、 長細い 4.接頭語、接尾語のついた形容詞 うら若い、 すばしこい、 か細い、 ねばっこい、 うらやましい、 ほこりっぽい そして 「かろ、かっ、く、い、い、けれ」に活用するかどうかでする。 形容詞と助動詞があり、その見分け方は 「ない」 を 「ぬ」 におきかえ、意味が 通れば助動詞、通らなければ形容詞 「らしい」 形容詞と助動詞があり、その見分け方は 「ふさわしい、につかわしい」 の意味の ときに形容詞、「・・・のように思われる」 という推定を表すときは助動詞 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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形容動詞 形容動詞の特徴 1.物事の性質や状態を表す。 2.単独で述語になる。 3.言い切りの形が 「だ」 で終わる。 形容動詞の活用と用法 1.語幹 まあ すてき。 (文を終止) 2.語幹+「さ」 静かさ、愚かさ (名詞) 3.未然形は 「う」 に連なる形 4.連用形は 「ない、た、なる」 に連なる。 5.終止形では付属語 「そうだ」 「と」 「が」 などに連なることもある。 6.連体形は体言に連なるので連体修飾語になる。 7.命令形はない。したがって、動詞の 「あれ、なれ」 をつけることがある。 接頭語、接尾語のついた形容動詞 こぎれいだ、 ま正直だ、 合法的だ、 たのしげだ 副詞的用法 形容動詞の連用形が連用修飾語になると副詞的な働きをする。 みんなが 熱心に 話し合いを続けた。 形容動詞と名詞+「だ」の見分け方 「だ」 のかわりに 「な」 をつけて不自然でないとき・・・形容動詞 不自然なとき・・・・・・名詞+「だ」 語幹に 「は、が」 をつけてみて、つけば名詞、つかなければ形容動詞. | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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副詞 主として用言にかかる連用修飾語になる。 副詞の特色 1.自立語として単独で文節をつくる。 2.用言や体言、他の副詞を修飾する。 3.主語や述語にはならない。 副詞の種類 1.状態 主として動詞を修飾し、その動作がどんな状態であるかを示す。 ゆっくりと、 ふと、 たちまち、 やがて 2.程度 体言、用言、状態の副詞を修飾し、その程度を表す。 ますます、 とても、 しばしば、 ちょっと 3.呼応(陳述) 下の叙述に特別な言い方を要求する。 まさか行くことはあるまい 、 けっして来ない (打ち消し) おそらく失敗するだろう、 たぶん まにあうだろう (推量) まるで氷のように 冷たい、 さながら真夏のようだ (比喩) どうぞお上がりください、 どうかよろしくお伝えください (希望) 4.指示 動作、状態などを指し示す副詞 こう、 そう、 ああ、 どう 5.擬声(音)語、擬態語 あるものの音や声、その様子を似せたことば わんわん、 ざあざあ (擬声音/語) にっこり、 すやすや (擬態語) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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連体詞 連体詞の特色 1.自立語として単独で文節を作る。 2.体言だけを修飾する(連体修飾語)。 いろんな 国の人々が日本に大きな 関心を 寄せている。 連体詞の種類 1.「・・・の」型 この人、 その本、 あの花、 ほんの子ども、 かの店 2.「・・・た(だ)」型 たいした人物、 とんだ失敗 3.「・・・な」型 いろんな話、 大きな河、 小さな石 4.「・・・る」型 さる三月、 ある日、 あらゆる手段 連体詞と紛らわしい他の品詞 小さな、 大きな、 おかしな (連体詞) 小さい、 大きい、 おかしい (形容詞) これ、 それ、 あれ、 どれ (名詞 → 代名詞) こう、 そう、 ああ、 どう (副詞) いろいろな (形容動詞) 机の上に本がある(動詞) とする説がある。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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接続詞 接続詞の特色 1.単独で文節をつくり、つねに独立して用いられる。 2.文と文、文節と文節、単語と単語をつなぐ。 接続詞の特徴 1.順接 前のことがらに対して後のことがらが順当な関係にある。 だから、 そこで、 それで、 すると、 したがって 2.逆接 前のことがらに対して後のことがらが逆の関係にある。 しかし、 ところが、 でも、 けれども、 だが、 が 3.添加 前のことがらに付け加えることを表す。 および、 さらに、 しかも、 そして、 また、 ならびに 4.選択 前と後のことがらのうち、どちらかを選ぶことを表す。 または、 もしくは、 それとも、 あるいは 5.説明 前のことがらに対して説明を補う関係を示す。 すなわち、 なぜなら、 ただし、 たとえば、 つまり 6.転換 前のことがらに対して話題をかえていることを表す。 ところで、 さて、 そもそも、 ときに、 では | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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感動詞 感動詞の特色 1.単独で文節をつくり、常に独立して用いられる。 2.感動、呼びかけ、応答、あいさつなどを表す。 感動詞の種類 1.感動、驚き あら、 おや、 ああ、 まあ、 おお、 ほほう、 ちぇっ 2.呼びかけ、かけ声 おい、 やあ、 ねえ、 もしもし、 そら、 よいしょ 3.応答 はい、 いいえ、 ええ、 ああ、 うん、 はあ、 いや 4.あいさつ おはよう、 こんにちは、 こんばんは、 さうなら | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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助動詞
助動詞の特色 1.いつも他の語について叙述を助けたり、いろいろな意味を添える。 2.単独で文節をつくれないが、活用があるので接続する語によって語形が変わる。 助動詞の種類 1.動詞型活用 基本形が 「る」 でおわるもの れる、られる、せる、させる、たがる (注)「れる」 が 「可能」 の意味のとき、および 「られる」 が 「自発」 「尊敬」 の意味のときは命令形はない。 ![]() 「ない」 「たい」 「らしい」 の三種類ある。 @ない 動詞および動詞型活用をする助動詞の未然形に付く。 Aたい 動詞および動詞型活用をする助動詞の連用形に付く。 はやく眠りたい(助動詞) とても眠たい (形容詞の一部) Bらしい 動詞・形容詞の終止形、形容動詞の語幹、動詞型および 形容詞型活用の助動詞の終止形に付く。 日が沈むらしい (助動詞) 学生らしい服装 (形容詞の一部) ![]() 「だ」 「ようだ」 「そうだ」 の三つの助動詞がある。 @ 「だ」 名詞およびある種の助詞に接続する。 A 「ようだ」 用言・助動詞の連体形、助詞 「の」 およびある種の 連体詞に接続する。 B 「そうだ」 a) 様態 動詞の連用形、形容詞、形容動詞の語幹に接続する。 b) 伝聞 用言および助動詞の終止形に接続する。 ![]() 「ない」 「よい」 の形容詞に限って 「なさそうだ」 「よさそうだ」 のように、語幹と 「そうだ」 の間に 「さ」 が入る。 @「う」 五段活用の動詞・形容詞・形容動詞の未然形に付く。 A「よう」 五段活用以外の動詞・一部の助動詞の未然形に付く。 B「まい」 一般に五段活用の終止形。その他の動詞・助動詞は未然形に付く。 @「ます」 動詞および動詞型活用の助動詞の連用形に付く。 A「です」 体言、助詞などにつく。ただし、未然形・仮定形は動詞・形容詞などの 終止形にも付く。 B「た」 用言、助動詞の連用形に付く。 C「ぬ」 動詞、助動詞の未然形に付く。 ![]() | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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助詞 1.付属語で、活用がない。 2.次の種類に分けられる。 格助詞、 接続助詞、 副助詞、 終助詞 格助詞 主として体言に付き、その体言が他の語にどんな関係化を示す。 1.「が」 主語、対象となる語を受ける 鳥が鳴く、 酒が飲みたい 2.「の」 連体修飾(主語、体言を受けて下の語にかかる) 彼の本、 雨の降る朝、 彼のだ 3.「に」 場所、時間、結果、目的となる語を受ける 公園に行く、 10時に行く、 記者になる、 見学に行く 4.「を」 対象、場所、起点となる語を受ける 水を飲む、 公園を通る、 東京を去る 5.「へ」 方向、場所、相手となる語を受ける 南へ向かう、 学校へ行く、 友達へ手紙を出す 6.「と」 相手、結果、並立、引用となる語を受ける 友達と出かける、 先生となった、 右と左、 時は金なりという 7.「から」 起点、原因(理由)、材料となる語を受ける 学校から帰る、 油断から失敗した、 ミルクからバターを作る 8.「より」 比較、限定となる語を受ける 歩くより速い、 これより歩行禁止 9.「で」 場所、手段、原因、限定となる語を受ける プールで泳ぐ、 ペンで書く、 風邪で休む、 三日で治る 10..「や」 並立となる語を受ける 詩や小説を読む 接続助詞 活用する語(用言、助動詞)に付いて文や文節を接続する。 1.「ても・でも」 逆接の確定、逆接の仮定 何を話しても無駄だ、 雨が降っても行う 2.「で・で」 補助の用言に付く。並立、順序、原因、理由 空を飛んでいる、 暗くて危ない、 冬が過ぎて春が来た、 うるさくて聞こえない 3.「ながら」 動作の並行、逆接 食べながら歩く、 見ていながら言わない 4.「たり」 並立 寝たり起きたりする 5.「から」 原因、理由 熱があるから休む 6.「が」 逆接、単純接続、対比 薬を飲んだが駄目だ、 やってみたが良かった 7.「けれども」 逆接、対比 頭もよいけれども成績も良い 8.「し」 並立 頭もよいし成績も良い 9.「と」 順接の仮定、順接の確定、逆接の仮定 触ると壊れる、 雨が降ると大水だ、 どうなろうと構わない 10.「のに」 逆接の確定 夜中なのにまだ明るい 11.「ので」 原因、理由 遊んでいたので成績は下がる 12.「ば」 仮定、順接、並立 働けば豊かになる、 触れば汚れる、 スキーもやれば水泳もやる 副助詞(係助詞) いろいろな語に付いて、意味を添えたり、意味を限定したりする。 1.「は」 他との区別 私は座っている、 天気は悪い 2.「も」 並立、強意、同類 犬も猫もいる、 10kmも歩いた、 私も走る 3.「こそ」 強意 君こそ苦労した、 4.「しか」 限定 これしかない 5.「さえ」 添加、類推、限定 雨さえ降り始めた、 歩くことさえできない、 これさえあれば 6.「でも」 類推、例示 子供でもできる、 酒でも飲もう 7.「まで」 限度、添加、強意 店まで行く、 雨まで降る、 夢にまでみる 8.「ばかり、だけ」 限定、程度 千円ばかりで足りる、 天気ばかり気にする、 ここだけの話、 やるだけやってみよう 9.「きり」 限度 行ったきり帰らない 10.「ほど」 程度 登るほど苦しくなる 11.「くらい」 程度 これくらい持てる 12.「など」 例示 果実などを買う 13.「なり」 選択、例示 行くなり帰るなり、 私になり教えてくれ 14.「やら」 不確実、並立 いつのことやら、 木やら草やら 15.「か」 不確実、選択 いつのことか判らない、 あれかこれか 16.「だの」 並立 弁当だの水筒だのが重い 終助詞 文や文節の終わりにあって、疑問・反語・禁止・感動・強意などを表す。 1.「か」 疑問、反語 知っているか、 ほんとか 2.「な」 禁止、命令 捨てるな、 行くな 3.「なあ、ねえ、わ」 感動 きれいだなあ、 きれいだねえ、 きれいだわ 4.「や」 誘い もうやめようや 5.「ぞ、とも」 強意 絶対にやってみせるぞ、行きますとも 6.「よ」 強意、呼びかけ いいのよ、 何よ その顔は、 神よ 助けたまえ 7.「の」 質問 そんなこと知らないの、 何をしているの 8.「ね」 念を押す それでいいと思いますね、 何といっても子供ですからね | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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敬語 相手に対する敬意、丁寧な気持ちを表す言葉として用いられる。 尊敬語 相手や相手の動作・状態を敬う言い方 1.尊敬の助動詞 「れる」 「られる」 を使う 2.(定った型) 「お〜になる」 「お〜なさる」 3.接頭語、接尾語 〜様、〜さん、父上、ご職業 4.特別な尊敬語 尊父、令息、お美しい、おっしゃる、くださる 謙譲語 自分がへりくだることによって相手を敬う言い方 1.定型的言い方 「お〜いたす」 「お〜申し上げる」 「お〜する」 2.へりくだった表現 拙宅、 小生、 粗品、 拝借、 うかがう、 いただく、 参る、 いたします、 申し上げる ていねい語 敬語の一般的な表現である。 1.「ます」 「です」 「ございます」 2.接頭語 「お」 「おん」 「ご」 3.上品な表現のことば 食う → 食べる いただく、 言う → おっしゃる、 する → いたす、 居る・来る・行く → いらっしゃる | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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文語
文語は古典に使われている文章で、現代かなづかいとは異なる歴史的かなづかい(古典 的かなづかい)で書かれている。現代文とはほとんど関係はないが、少し進んでゆくと かしこまった言い方や古風な言い方の中に所謂文語風が出てくることがある。 特徴 1.主語や助詞の省略が多い。 2.用言・助動詞の活用は口語との違いが多い。 3.主語を示す「の」がよく使われる。 かなづかい 表記の違い ゐなか(いなか)、 ゐのしし(いのしし)、 ゑくぼ(えくぼ)、 みづ(みず)、 をじ(おじ)、 うづたかく(うずたかく) 語中や語尾のハ行音 あはれ(あわれ)、 いふ(いう)、 いにしへ(いにしえ)、 いきほい(いきおい)、 なほし(なおし) オ列長音 あう・あふ・わう(おう)、 さう・さふ(そう)、 やう(よう) オ列拗音 けふ(きょう)、 せう(しよう)、 てふ(ちょう)、 べう(びょう) |
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文法の歴史概要
文法が何となく敬遠されることは緒言において述べましたが、世の中には数多くの言語があり、それぞれの言語はそれぞれの特徴と歴史を持っており、生活の道具としての言語がどのような変化をしてきたかを知ることが少しでも理解する上での早道であって、外国語を勉強する人は母国語を自然に覚えたように、ゆっくり時間をかけてはいられないのです。 文法という言葉 grammar(英語)はギリシャ語のグラマティクに遡り、「文を書く技術」を意味しました。このギリシャ文法はそのままラテン文法に取り入れられ、ラテン文法の記述法が19世紀までのヨーロッパ文法のお手本でした。この種の伝統文法は言語を客観的に観察して得たものではなく、正しい言葉はこうあるべきだという手本としての文法でした。これは今日でも「規範文法」として教育の面で活用されています。 19世紀になってヨーロッパ諸言語を比較して、その源を探ろうとする目的から歴史比較言語学が発展し、その結果「インド・ヨーロッパ比較文法」が主流になりました。これは同系と認められるインド・ヨーロッパ諸言語間の音韻対応を見いだして、諸言語の祖語を発掘し、祖語から諸言語が分岐した系路を明らかにしようとするものでした。19世紀後半には更に包括的な考えに基づく新しい文法体系が主張され、大いなる発展を見ることになりました。 一方、国文法研究もかなり古く、江戸時代の谷川士清(ことすが)から本居春庭(はるにわ)に引き継がれた動詞活用に関する実証的(経験的事実に基づいて実験観察し、その結果表われた事実によって積極的に証明する)研究は輝かしい業績です。しかし、これら一連の研究はすべて平安時代の雅語(上品で正しい言葉。特に平安時代の和歌などに使われた言葉)として唯一のものであり、また永久不変であり、そうあるべきであるという前提の下に記述されたものであったため規範文法の域を出ず、歴史的文法の発達する余地はありませんでした。 国語の歴史的研究が始まったのは明治以後西洋におけるインド・ヨーロッパ比較文法の研究方法を取り入れることによって始められました。これに従ってその最初の組織付けに成功したのは文槻文彦の「語法指南」(言海の巻頭書)、「広日本文典」があります。今日の学校文法はこれを基にして橋本進吉の文法論によって整備されたものと言えます。 |