ばーん・ぼらーん便り

<その13> 通行人

我が家は通りから大きな鉄の門を入った一画にある10軒以上の家の一軒だが、それぞれの家にある駐車スペースにはいつも結構いい車が止まっている。空き家にも止まっている。が、土日には車はない。

最初の頃、バンコクに行ってきますと言い置いて出かけ帰って来ると、立派なグレーの車がプレゼントされていた。
と思ったら、「あららーごめんなさい、まだ帰って来ないかと思ったわー」と大家さんのおばさん。
それでそれまでの謎が解けたのだった。

何のことはない、大家さんが駐車場として別の人に貸しているのだ。道路の向かい側に銀行があるのだが、そこの行員が毎朝8時から8時半の間に続々と車で乗り付け、昼休みには食事に出かけるのに車を出し、午後また仕事に戻り、夕方(たまには日が暮れてから)家路につく。そのあとに、家の借主がバイクなどで帰宅。ちゃんと無駄なくスペースが活用されている。
お見事。

その行員の方々、わたしがうちの戸口だ庭だと思っているスペースをすたすた歩いて通勤する。最初の頃こそ「失礼します」と言っていたが、今は普通の通行人。

近所(うちより奥の家)の奥さんも、「今日は風があっていいわねぇ」なんて言いながら通っていく。

人間と同じかもっと堂々と歩いていくのは犬、犬、犬。
皆この辺の飼い犬なのだが、もちろん綱や鎖などで繋がれていない。好きな時間に好きなように歩いている。
最初のころは、せっかく植えた大きなマリーゴールドの花におしるしを付けていってくれたし、
それが枯れ果てた今、蓮を活け熱帯魚(この辺にいる魚はみな熱帯魚)を入れた大きな水鉢に鼻面を突っ込んでぴちゃぴちゃぴちゃぴちゃ・・と美味しそうに水を飲んでいく常連の犬がいる。
(毎朝水が減っているので、暑くて蒸発が激しいんだと思っていた・・・)
散歩の途中にまちがえて家の中に入ってきて、あれっという感じで出て行った犬もいる。
だから、魚の骨などの残り物は裏に投げて置くとちゃんと食べておいてくれる。
タイの犬は、あまり人間におもねらず、対等ぐらいに思っているらしいので、こちらも「おいで」とか言って撫でるなどというふうなことにはならない。

ちょっと無用心な環境に見えるかもしれないが、7時過ぎに外に面した門は閉まるし(それ以降の出入りは自分で開閉)、まとまった一画ということで気に入っている。もちろん、出かけるときの施錠はしっかりしてます。

4/7/'04

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