<車中の昼食>
手軽な携帯食といえば、おむすび、サンドイッチが思い浮かぶが、
イサーンではカオニオ+ガイヤーン。蒸しもち米と焼き鶏のセットである。
蒸しあがったもち米は、ひとくちサイズ(人によっては握れるだけ)ニギニギして食べる。
タイのもち米は米粒が細長く、日本のものほどべたつかないので握って食べやすい。
ガイヤーンは鶏を平たくして味付けして炭焼きしたもので
余分な油が落ちるので、さほどべたべたしない。
というわけで、バスの中でもこのセットで売られることが多い。
私も何度か食べたことがある。美味しいしお腹が膨れるし、ほどよいお弁当だ。
乗客ばかりではない。
私はこのセットを食べている運転中の運転手を二人見た。
ひとりはバンコクの普通バスで、モーチットを出発してすぐ。
(出発してすぐ食べるぐらいなら、なぜ出発前に食べておかない?)
もうひとりは、今回往復してきたムクダハンへの往きのバス。
これは、ちゃんと走っている最中である。
日常化していると見えて、贔屓にしている店の前でバスを止める。
(乗降客はいない)
助手にカオニオ・ガイヤーンを買って来い、と言う。
助手が買ってくると、バスを走らせながら、おもむろにカオニオを一掴み
ニギニギしておにぎり状にすると、
買うときにトントンと切ってもらった食べやすい大きさのガイヤーンを
もう一方の手に持って、遅い昼飯の開始である。
カオニオがねばねばせず、ガイヤーンが脂ぎっていないとは言え、
多少べとつくから、ハンドルは手首からひじで押さえているようだ。
道がほとんどまっすぐですいているからできる?
とにかく慣れたものである。
乗客はなぁんにも言わない。
これは、普通の出来事なのだろう。
バスは、たまたまその運転手さんの車にお金を払って乗せてもらう、そういう乗り物なのだ。
***
思い返してみると、これはタイだけではない。
昔、カナダのロッキーに行ったとき、
カルガリーの空港からバンフまでのバスの運転手さんは
パンと大きなカップの清涼飲料水を持ち込んで
走りながら食べて飲んでいた。
***
安全に運転してくれれば、なにも文句はないけれど・・・
2/19/'05
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