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四宮正貴の短歌作品 平成十六年 その二

 

これをしも外交といふか テロ國家に二度までも宰相が訪ね行きたり
金正日を連れ帰り来て日本の裁判にかけること成らざるか
鳴り止まぬ胸の奥処の鐘の音 何に急かるゝわが思ひかも
わが命あらむ限りはまこと込め文章報國の道歩まなむ
大空に日は輝きて 人々は暑し暑しと汗ぬぐひをり
白き器に水をたたへて渇きたるわれの心をなぐさめむとす
登り行く坂の上なる古寺に死者たちは眠る何時々々までも
上野山大きなる樹の下にして高橋泥舟は眠りゐるなり
旅に行きその地の御霊に導かれ書きたる如き今日のわが文
静けき世となるは難きか テレビといふ騒がしきものを見つゝ思へり
大輪の紫陽花の花咲きてをり 都會に住む人のやすらぎの花
塔尾のみささぎの前にぬかづけば遠き世の帝の御稜威かしこし
登り来し吉野の山を眺むればそゝり立つなる蔵王堂かな
贈られたるサクランボの實を食すこと この二三日の楽しみとせむ
われをしも怒る人とぞいひにける人を怒りし真夜中のテレビ
今はただ静かにこの地に眠ります 紀尾井坂の変六氏の御霊
大久保公を斬りし人らのみ墓辺に 雨降りそそぐ静けさの中
大東亜聖戦大碑を仰ぐ時 草地大佐の面影ぞ立つ
國憂へ大君を思ひ入水せし 大き人をば称へゐる文
雨雲が低く覆へる山眺め 身を濡らしつつ心も濡れる
大き御殿に御所人形の並びゐる みやびを慕ふ武家の心か
加賀宰相の愛でにし庭に降りしきる雨に濡れたる旅人一人
海に近き神やしろには この國の大國主の神ゐますなり
日本海を見はるかす丘に今日立ちて 大いなる歌人を偲びゐるなり
大いなる歌人とその子の墓処 雨に濡れつつ詣で来にけり
小雨降る小さき丘に立ちにける釈迢空の墓はかそけし
鉛色の日本海を眺めつつ都への道を走りゆくなり
この海の彼方にさらはれし人々の 悲しみのごとき鉛色の海
斜め横を向きたまひたる空海像 仏の如きその姿はも
大日如来の金色の像を仰ぎつつ宇宙神秘の力をぞ思ふ
千歳(ちとせ)余り二百年前に大陸へ渡りし僧の大きなる姿
空海の直筆の書の見事さに眼を見張りたり 凄まじき力
げに恐ろしき御顔なるかもわが前に屹立すなる不動明王
春の日の上野の山の博物館 多くの仏に逢へるうれしさ
朝見たる蕾の桜夕暮に開き薫れる市ヶ谷の土手
狸坂といふ名の坂をのぼりゆき狸山公園の桜をぞ見る
その昔狸囃子の聞こえたる丘の上なる狸山公園
花吹雪身に浴びにつつ歩みたり千鳥が淵の春の夕べを
日の本の春のうれしさ大皇居(おほみかど)のお濠の道は桜花爛漫
沢正の墓は凛々しく立ちてをり春の風吹く谷中霊園
久方の空晴れわたるその下に釈迦牟佛の慈眼尊し
春の丘に桜の花の咲き満ちて高光る日に照らされてをり
高光る日の輝きに咲き盛る桜の花は日の本の花
日の本の國の栄えを寿く如く今年も桜の花咲き盛る
雨に濡れる満開の花をこの年の春の名残りと眺めゐるかな
雨に濡れ散りゆく桜のいとしくてまた来年も逢はむとぞ思ふ
暗き空より降り来る雨に濡れ行けどわが雄心は強く保たむ
今朝見たる夢で怒声をはりあげし吾を憐れめ天地の神
死者たちの合唱の声の如きなり墓地に吹く風に鳴る木々の音
川渡り着きたる岸の草むらに小さき石佛ゐますうれしさ
鳴き声が頭上に響き黒き鳥低く飛びをり憎悪の如く
心こめて語りたる後の有難さ大き拍手につつまれにけり
憤怒の念激しかりせば端座して實相を思ふ朝(あした)なりけり
今日もまた命の限り生きにけり 大いなる御手に抱かれしまま
若者たちが携帯電話を見つめゐる地下鉄の中で一人書を読む
さまよへる魂とこそは思はねど 空を飛び行く鳥を恋ほしむ
酒呑みてとめどなくしゃべる人の顔しみじみと見て心楽しき
大江戸に攻め上り来し人の像其処此処にある東京の町
(上野に西郷像、九段坂に品川像大山像、靖国神社に大村像、警察学校に川路像あるを思ひて詠める)
日の本の誇りとすべしマッカーサーの銅像がこの国に建たざりしこと
蒋介石像毛沢東像並びゐし台北・北京の町思ひ出す
埃まみれの毛沢東像を見上げたり文革終りし長江大橋で
次々と消えて行きたる『蒋公像』台湾独立の足音と共に
夜の空に雲流れゐて 降り来たる雨にうるほふわが心かな
母と会ひ言葉を交はす喜びを 一日一日(ひとひ・ひとひ)の糧として生くる
この国の歴史を偲び旅行けば朱色の満月三輪山に浮ぶ
なべて人はやがてこの世を去り行くにあくせく生くるは何のためぞも
虹といふ美しきものをしばらくは見ることもなし混濁の世に
ベランダに出づれば春の風が吹き命燃え立つ時は来にけり
早く逝きし創価学会副会長 坊主を苛めたる報いなるや否や
春の雨降り続く日に仇つ国の輩がわが国の島を侵せり
後鳥羽帝の大御心をしのばむと参り来たれる城南の宮
歩み行く参道の森は美しく心清まる桃山御陵
大御歌思ひつゝ仰ぐ広き空 桃山御陵に参り来たりて
たまきはる命よみがへる思ひなり みささぎの上の大空仰ぎ
耀ける日輪の下のみささぎに明治大帝ねむりまします
いにしへの大きい帝のみささぎの彼方に見ゆる伏見城かな(桓武天皇御陵)
みささぎへの道は静かに人も無し ただすめろぎの御稜威(みいつ)満ち満つ
冬の空青く広がる下に立つ城の姿は美しくもあるか
街中の大きみ寺に入り行けば聳え立ちゐる美しき塔
大いなるみ手に抱かれし心にてみ仏たちの前にたちをり
いにしへを恋ひ慕ひつゝ行く旅で神と仏に逢ふがうれしき
静かなる明石海峡を眺めつゝ萬葉人の歌口ずさむ
瀬戸内の海にそひつゝ行く列車友待つ町へ急ぎ走れり
君のため忠義尽せしもののふの像立ち並ぶ大石神社
みささぎへの道の並木に雪積もりキラキラかがよふ美しさかな
木の枝に積もりし雪が風に舞ふ多摩のみささぎの参道に立つ
消え残る雪を踏みしめ歩み行く多摩のみささぎの清らけき道
遠空の彼方に富士の頂きが見えてうれしき多摩の丘陵
大き山の彼方に見ゆる富士の峰の姿気高し冬晴れの下
大帝の御騎馬像を仰ぎ見て明治の御代の栄えを偲ぶ
聖蹟と名付けられたる高台より多摩の天地を見晴るかしをり
眼前に現はれ出でたる山中湖 秋の日の下に美しきかな
大いなる死を遂げし人の一生が展示されあれば魂(たま)揺さぶらる
近世の國史を正しく伝へませし蘇峰の館に今日来たりけり
日の本の道を護り伝へませし大き二人を偲ぶ秋の日
晩秋の日に照り映ゆる山々の紅葉の錦まばゆかりけり
木々の命燃えゐる如く秋の日に照らされてゐる紅葉まばゆし
頂きの雪に夕日が照り映える大いなる富士を仰ぐうれしさ
夕焼け空の下にそそり立つ富士の峰の大いなる姿を飽かず眺むる
友どちの指差す方にそそり立つ大菩薩峠の大き姿よ
人と人との狭間より見ゆるいにしへの宝石コインの美しき光
遠つ代の王の棺は今はたゞかくのごとくに見世物となる
幾千年昔の栄華は幻となりて悲しきイラクの國は
 
 

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