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台湾独立の正義と中華帝国主義
四宮正貴
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与党敗北の原因はアメリカの姿勢にあった
台湾の立法院(国会)選挙で野党連合が過半数を若干上回った。与党の民進党は二議席増やしたが、台湾独立を真正面から主張する与党第二党・台湾団結連盟が一議席減らすなど伸び悩んだ。野党第一党の国民党は、議席を十一増やしたが、共産支那の支配下にはいる事を主張する野党第二党・親民党は十二議席も減らした。結果として野党が過半数を三議席上回った。
敗因は、共産支那による台湾に対する政治的・軍事的・経済的圧迫もその一つだが、それとともにアメリカが陳水扁政権の急激な独立志向を抑制したこともある。先に訪中したパウエル米国務長官は、「台湾は独立していない。国家主権も有していない」などと明言した。しかしパウエル氏はその後「問題の平和解決が望ましいという意味だ」とトーンを和らげた。
アメリカは、イラク問題をはじめとした中東情勢及び北朝鮮問題の処理を最優先させるために、台湾海峡で軍事的危機が高まるのを恐れている。しかしアメリカは、台湾を共産支那に売り渡すことはないであろう。そう信じたい。アメリカは、台湾独立を支持しないと言いながら、ディーゼル潜水艦や地対空誘導弾パトリオット3、対潜哨戒機などを台湾に売却しようとして、台湾政府に購入を迫っている。米国防省及び軍事産業と国務省との間に意見の相違があるのではないか。
台湾人の圧倒的多数は台湾が共産支那の支配下に入る事は望んではない。むしろ台湾独立を望んでいる。しかし、今日唯今の時点で台湾独立を宣言することによって共産支那が軍事力を行使することを恐れたのである。また経済界は、支那大陸との経済関係が崩壊することを嫌ったのである。大陸に滞在する台湾のビジネスマンは一〇〇万人に達するという。
台湾人は決して台湾独立を否定したのではない
共産支那寄りの『朝日新聞』の社説ですら、「自立に向かうのはいいが、あまり急いで中国との緊張が高まるのも困る。今は安定と暮らしの豊かさが大事だ。先週の台湾立法院選挙に表れた民意を一言でいえば、そうなるだろう」と論じた。(平成十六年十二月十四日号)また『読売新聞』の社説も、「中国は、対中融和派が勝利した意味を読み違えてはならない。…野党躍進を、陳政権揺さぶりの好機ととらえ、介入姿勢を強めれば、手痛いしっぺ返しを受ける」と論じた。(同日号)
陳水扁総統は、選挙後の十二月十四日、民進党の中央常務委員会で「急ぎすぎたのではないかと反省している」と述べ、民進党主席を辞任した。
いずれにしても過去の歴史から学んだ台湾人の『知恵』が今回の結果を生んだと思われる。その『知恵』とは、台湾民衆の生活の安定を守ることを第一に考えあえて危険を冒さないという姿勢である。それが正しいかどうかは別であるが、戦後の国民党一党独裁政治と共産支那の軍事的恫喝に絶えず苦しめられてきた台湾人の歴史体験が、そういう『知恵』を持たせたのである。
台湾行政院の選挙直前の世論調査では、共産支那との「統一」でも「独立」でもない「現状維持」を望む意見が八割強を占め、「統一」や「完全独立」を支持する意見は一ケタ台だった。
今回の台湾民衆の選択は今日唯今における選択であって、本心は共産支那による台湾併合を拒否し台湾独立を望んでいる。台湾で、「自分は中国人だ」という意識を持つ人は八〇年代には五〇%を超えていたが、二〇〇〇年には一〇%台にまで落ち込んだ。逆に「自分は台湾人だ」と考える人は、八〇年代末では一〇%台だったのに、二〇〇〇年には三〇%台に達したという。(前記『朝日新聞』社説による)
アメリカが支那共産政権との軋轢を恐れず、台湾独立を正面切って支持するようになったり、共産支那が台湾武力侵略を主張しないようになったら、台湾民衆は台湾独立の道を選択することは間違いない。ただ今日の時点での急激な台湾独立を忌避しただけである。忌避したとは言ってもたった三議席の差である。台湾人は決して台湾独立を否定したのではない。
台湾は事実上独立した主権国家である
また、台湾は今日唯今において共産支那に支配されていない。また過去においても支配されたことはない。台湾は独自の政府と軍を持つ。また独自の外交政策を持ち実行している。台湾は事実上独立した主権国家である。だから日本に代表処が置かれているのである。中華人民共和国のビザでは台湾に行けない。今回の選挙で台湾が独立主権国家であるという事実が否定されたわけではない。
台湾独立とは、「台湾は支那ではない。台湾である」というごく当たり前の事の確認である。台湾は日本統治時代そして戦後の国民党政権独裁支配時代と併せて約百年間、支那大陸とは断絶して来た。台湾の近百年の歴史を通して支那ではない台湾という〈文化的・政治的・歴史的運命共同体〉を確立したのである。つまり、台湾は近代百年の歴史において、支那大陸とは異なった民族意識を形成したのである。
「大東亜戦争後、日本は台湾を支那に返還した」という主張があるが大きな誤りである。国際法上の戦争終結は平和条約による。『サンフランシスコ平和条約』には、『日本は台湾を放棄する』としか書かれていない。日本は『サンフランシスコ講和条約』で台湾を放棄したと述べたが何処に向けて放棄したとは言っていない。日本が台湾を共産支那に断じて売り渡してはいない。戦時中の『カイロ宣言』『ポツダム宣言』は条約ではないから何の効力もない。つまり、「台湾は中国の一部だ」ということは国際条約上も虚構である。第一事実に反する。
民族自立・自決は、正義である。『国連憲章』『国際人権規約』には〈人民自決の権利〉が書かれてある。人民自決は国際法上の原則である。また、重要事項は主権者国民が直接決定するのが民主主義の原則である。
第三次国共合作の危険がある。それは反日国家台湾の誕生だ
台湾民族自立・自決の正義を実現し、共産支那の中華帝国主義によるアジア支配を食い止めねばならない。そのためには、日本と台湾は堅く連帯すべきである。
わが国の安全保障・わが国の独立と主権の維持のためにも台湾が共産支那の支配下に入ることを阻止しなけれならない。台湾の野党・国民党が政権に復帰したら、第三次国共合作の危険がある。それは反日国家台湾の誕生である。
台湾を共産支那に押さえられたら、南シナ海は中国の支配下に入り、東南アジアへの共産支那の影響力は圧倒的に強くなる。日本のシーレーンを共産支那に押さえられる。台湾は共産支那の軍事基地となる。そして日本は生殺与奪の権を支那に握られてしまうのである。
アメリカも日本政府も台湾海峡の現状維持を望んでいるというが、共産支那はそうではない。台湾の併呑を望んでいるのだ。台湾が共産支那に併呑されたら、次は尖閣であり沖縄だ。この事を忘れてはならない。何としても台湾独立は実現されねばならない。そのためにわが国はでき得る限りの支援を行うべきである。
その意味で年末年始の来日する李登輝前総統を国民挙げて歓迎しなければならない。