物体の運動

物体に力がはたらいたとき、その物体のようすでどんな力がはたらいたか見当がつきますね。
力がはたらくとどんなことが起きるのかはこちらで復習してください。
ここでは、力を受けて物体の運動のようすが変わることについておさえていきましょう。

運動のようす

力がはたらくと物体の運動のようすが変わります。
逆にいうと、運動のようすが変わった物体は必ず力を受けたことになります。
運動のようすが変わるとはどういうことなのでしょう。

運動のようすが変わる =

速さが変わる
・運動の向きが変わる

止まっていた物体が動き出したり、速さがだんだん速くなったり遅くなったり、向きを変えたりしたときに力がはたらいたのですね。
ということは、力がはたらかないときは速さや向きが変わらない、ということです。

慣性の法則

そこで、力がはたらかないときの物体の運動を考えてみましょう。ニュートンによって慣性の法則がまとめられました。

慣性の法則

物体に力がはたらかないとき(または力がつり合っているとき)
・静止していた物体はいつまでも静止している
・運動していた物体はその速さで等速直線運動を続ける

物体がその運動の状態を続けようとする性質慣性といいます。この性質は質量が大きいほど大きいです。

慣性の例

・乗り物の中でブレーキをかけたときにからだが前のめりになる
からだの慣性のため、乗り物が遅くなってもからだはそのままの速さで運動を続けようとして今の位置よりからだが前に出ます。

・エレベーターでからだが軽く感じたり重く感じたりする
停止中からだが止まっていようとするため、上昇し始めたとき床に押し付けられる感じとなり、下降し始めたときからだが浮いた感じになります。

・だるまおとし(すばやく力を加える)
日本古来のおもちゃです。力を受けなかった部分が止まっていようとするので、打った部分だけ飛ばされます。

・テーブルクロスを取り去る芸(すばやく抜き取る)
上の食器類は止まっていようとするので、下のテーブルクロスだけを取り去ることができます。

・車は急に止まれない
ブレーキをかけても車のもつ慣性のために急には止まることができません。重い車ほど制動距離(止まるまでの距離)が長くなります。

・天井に糸でぶら下げたおもりを下から糸で引っ張るとき
すばやく引くとおもりが止まっていようとするために下の糸が切れ、ゆっくり引っ張るとおもりの重力と引いた力が上の糸に伝わるため、上の糸が切れます。

慣性の法則が成り立つ例

宇宙空間の物体

大きな天体がそばにないときは重力もなく、空気抵抗もありません。物体は慣性の法則に従います。
宇宙では動き出すことも止まることも運動方向を変えることも難しいですね。
ロケットは燃料を燃やし、その噴出の反作用で飛びます。

落下中の空間の中の物体

エレベーターのワイヤーが切れて落下したとき、中の物体は慣性の力と重力がつり合い、無重力状態になります。
こんな体験はしたくないですね。
似たようなことはジェットコースターなどの急降下で体験することができます。

摩擦力や空気抵抗の力とつり合うように力を加え続ける場合

落下中の雨粒や小さな虫は重力と空気抵抗の力がつり合ってほとんど一定の速さで落ちてきます。
落下さんも同じ原理で安全に落下できるようになっています。

人為的に力を加える場合は身のまわりにたくさん例があります。
車は地面との摩擦力とエンジンの力がつり合ったときは等速で走るし、等速で走るよう、自転車をこぐ力を調節できたりしますね。
もちろん、向きを変えないときです。

摩擦の非常に少ない面上での水平運動

完全に等速とはいえませんが、比較的長い時間ほぼ等速で運動できる場合です。
アイススケートやローラースケート、ボールやエアトラック上の滑走体などは面との摩擦力を非常に小さくできるので、しばらくは一定の速さで運動します。

地球上では必ず重力がはたらくため、「力がはたらかない」という状態はありえません。
重力とつり合う地面からの抗力などがあった場合、水平方向の運動は一定の速さにすることができるくらいですね。

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