感覚器官で受けとった刺激を中枢神経で感じ、筋肉に反応の命令を出します。中には無意識に反応してしまうタイプの刺激もあります。
どんな反応があるのか、また、どんな経路で信号が伝わっていくのか、つかんでください。
反応の種類
ふつうの反応のほかに、特殊な反応もあります。違いをおさえておきましょう。
いっぱんの反応…大脳が意識し、判断した反応
刺激の信号は大脳まで伝えられ、大脳が命令を出します。反 射…無意識に起こる反応 (無意識=大脳は関係しない)
せきずいが命令を出します。
信号はせきずいで折り返します。※「無条件反射」ともいいます。反射といっぱんの反応の違いは、「信号が大脳を通るか通らないか」ですね。
実際にどんな経路で信号が伝えられるのか、見ていきます。
※せきずいは背骨の中にあって、脳まで続くたてに長い器官です。
このページ図中のせきずいは、断面のみ(輪切りの状態)で表しています。
ふつうの反応(意識的な反応)の経路
外界のようすに対して反応するとき、ふつうは大脳で判断しています。
例として、「寒いので手袋をした」という行動について、どのような経路で反応しているか見ていきましょう。
順番にラジオボタンをクリックしてみてください。 ![]()
感覚
器官刺激を受けとる
→ 感覚
神経伝える
→ せき
ずい→ 大脳 命令
→ せき
ずい伝える
→ 運動
神経伝える
→ 筋肉 反応
反射(無意識の反応)の経路
とっさのときに無意識に反応してしまうことがありますね。
例として、「熱いやかんに触れたとき、熱いと感じる前に勝手に手を引いていた」という行動について見ていきます。
順番にラジオボタンをクリックしてみてください。 ![]()
感覚器官 刺激を受けとる
→ 感覚神経 伝える
→ せきずい 命令
→ 運動神経 伝える
→ 筋肉 反応
経路が短いので、反応が早くなります。おもに危険回避や生命維持のため、生まれつきそなわっています。
反射の例
ひざの下をたたくと、足がはね上がる
危険回避のためではありませんが、ヒトが持っている基本的な反射です。
目の前で手をたたかれたので、思わず目を閉じた
無意識に目を守っています。
ころんだとき、手が前に出た
無意識に転倒の衝撃をやわらげようとします。
指先を針でついて、思わず手を引っ込めた
ケガを大きくしないようにしています。
食物を口に入れたら、だ液が出た
消化の準備です。
ふつうに立っていられる
からだの傾きを感知し、無意識に姿勢を修正しています。
暗いところでひとみが大きくなる・体温を一定に保つなどのからだの調節
反射とまちがえやすい反応
「思わず」「とっさに」「無意識に」という言葉が出てきても、以下のような例は反射ではありません。
地震がきたので、とっさに机の下にかくれた
机の下が安全だと、それまでの経験で大脳が覚えているからです。
梅干しを見たら思わずだ液が出てきた
梅干しがすっぱいものだと大脳が覚えているからです。
など、経験や訓練や習慣で身についている一連の行動「何も知らない幼児でもできる反応かどうか」が「反射か反射でないか」の判断の基準になりそうですね。
首から上の反応(参考)
中学では信号の経路は必ずせきずいを通ると習います。これは首から下が関係する反応です。
実際の感覚器官は皮ふ以外は頭部にありますから、頭部の感覚器官が受けとった刺激や顔の筋肉への命令はせきずいを通っていてはかえって経路が長くなりますね。
首から上の反応(反射もふくむ)については、脳から出ている末しょう神経が、脳と感覚器官・筋肉との連絡をとります。
首から下の皮ふや首から下の筋肉が関係しない場合、せきずいは関係しません。ただし、中学の段階では、ふつうの反応の経路は「行きも帰りもせきずいを通る」、反射は「せきずいが命令を出す」と覚えてください。
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