ここでは、直列回路や並列回路における電熱線の発熱量を考えてみましょう。回路のきまりはこちらです。
なお、ここでは抵抗器の図記号は以前のまま使っています。

直列回路

例として、10Ω20Ωの抵抗を直列につないで、それぞれ100gの水につけ、全体に6Vの電圧をかけて50分間電流を流したときの、それぞれの抵抗の発熱量と水の上昇温度を考えてみましょう。

抵抗の発熱量はすべて水の温度上昇に使われたものとします。

回路を流れる電流を求めてみます。直列回路なので、電流の大きさは回路のどこでも同じ
です。全体の抵抗は R=10(Ω)+20(Ω)=30(Ω)
電源の電圧は6Vなので、オームの法則より、
   回路を流れる電流はどこでも0.2Aです。
抵抗Aについて抵抗Bについて
抵抗Aにかかる電圧を求めてみましょう。
オームの法則より、電圧=抵抗×電流
EA=RA×I =10(Ω)×0.2(A)=2(V)

抵抗Aにかかる電圧は2V

※EA:EB=RA:RB=1:2で求めてもOK。

抵抗Bにかかる電圧を求めてみましょう。
オームの法則より、電圧=抵抗×電流
EB=RB×I =20(Ω)×0.2(A)=4(V)

抵抗Bにかかる電圧は4V

※EA:EB=RA:RB=1:2で求めてもOK。

抵抗Aの電力を求めてみましょう。
電力=電圧×電流
PA=EA×I=2(V)×0.2(A)=0.4(W)

抵抗Aの電力は0.4W

抵抗Bの電力を求めてみましょう。
電力=電圧×電流
PB=EB×I=4(V)×0.2(A)=0.8(W)

抵抗Bの電力は0.8W

抵抗Aの50分間の発熱量を求めてみます。
発熱量=0.24×電力×秒数 (50分=3000秒)
QA=0.24×0.4(W)×3000(秒)
  =288(cal)

50分間の抵抗Aの発熱量は288cal

抵抗Bの50分間の発熱量を求めてみます。
発熱量=0.24×電力×秒数 (50分=3000秒)
QB=0.24×0.8(W)×3000(秒)
  =576(cal)

50分間の抵抗Bの発熱量は576cal

抵抗Aの50分間の水の上昇温度を求めてみましょう。
発熱量=水の質量×上昇温度 
(水の質量は100g)

TA=288(cal)÷100(g)=2.88(℃)

50分間の抵抗Aによる水の上昇温度は
約2.9℃

抵抗Bの50分間の水の上昇温度を求めてみましょう。
発熱量=水の質量×上昇温度 
(水の質量は100g)

TB=576(cal)÷100(g)=5.76(℃)

50分間の抵抗Bによる水の上昇温度は
約5.8℃

直列回路では抵抗が大きいほど、発熱量や水の上昇温度が大きくなりそうですね。

同じ条件で並列回路についてもみてみましょう。

並列回路

例として、10Ω20Ωの抵抗を並列につないで、それぞれ100gの水につけ、全体に6Vの電圧をかけて50分間電流を流したときの、それぞれの抵抗の発熱量と水の上昇温度を考えてみましょう。

抵抗の発熱量はすべて水の温度上昇に使われたものとします。

抵抗C、抵抗Dにかかる電圧は並列回路なので、どちらにも電源の電圧がかかります。
   抵抗C、抵抗Dにかかる電圧はどちらも6Vです。
抵抗Cについて抵抗Dについて
抵抗Cを流れる電流を求めてみましょう。
オームの法則より、電圧=抵抗×電流
IC=E÷RC =6(V)÷10(Ω)=0.6(A)

抵抗Cを流れる電流は0.6A

抵抗Dを流れる電流を求めてみましょう。
オームの法則より、電圧=抵抗×電流
ID=E÷RD =6(V)÷20(Ω)=0.3(A)

抵抗Dを流れる電流は0.3A

抵抗Cの電力を求めてみましょう。
電力=電圧×電流
PC=E×IC=6(V)×0.6(A)=3.6(W)

抵抗Cの電力は3.6W

抵抗Dの電力を求めてみましょう。
電力=電圧×電流
PD=E×ID=6(V)×0.3(A)=1.8(W)

抵抗Dの電力は1.8W

抵抗Cの50分間の発熱量を求めてみます。
発熱量=0.24×電力×秒数 (50分=3000秒)
QC=0.24×3.6(W)×3000(秒)
  =2592(cal)

50分間の抵抗Cの発熱量は2592cal

抵抗Dの50分間の発熱量を求めてみます。
発熱量=0.24×電力×秒数 (50分=3000秒)
QD=0.24×1.8(W)×3000(秒)
  =1296(cal)

50分間の抵抗Dの発熱量は1296cal

抵抗Cの50分間の水の上昇温度を求めてみましょう。
発熱量=水の質量×上昇温度 
(水の質量は100g)

TC=2592(cal)÷100(g)=25.92(℃)

50分間の抵抗Cによる水の上昇温度は約25.9℃

抵抗Dの50分間の水の上昇温度を求めてみましょう。
発熱量=水の質量×上昇温度 
(水の質量は100g)

TD=1296(cal)÷100(g)=12.96(℃)

50分間の抵抗Dによる水の上昇温度は約13.0℃

並列回路では抵抗が小さいほど、発熱量や水の上昇温度が大きくなりそうですね。

全体的に並列回路のほうが直列回路より電力が大きいので、発熱量も上昇温度も大きいです。
並列回路のほうが電池が早くなくなってしまうのもしかたがありませんね。

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