道具や斜面を使ったほうが必要な力が小さくてすむことが多いですね。しかし、ホントにトクしているのでしょうか?
ここでは道具の質量や摩擦を無視して考えてみましょう。

滑車を使ったときの仕事

例として、重力にさからって5kg重の重さの物体を3m上げる場合を考えてみましょう。
定滑車・動滑車についてはこちらを見てください。

そのまま持ち上げた場合

5kg重の力で、その力の向きに3m動かすので

仕事=5(kg重)×3(m)=15(kg重m)

 

 

定滑車でひもを下に引いた場合

定滑車は力の向きを変えるだけなので、引く力は5kg重ですね。

仕事=5(kg重)×3(m)=15(kg重m)

そのまま持ち上げた場合と同じです。

 

 

動滑車を使った場合

動滑車は引く力が半分ですみます。
ただし、引くひもの長さが2倍になります。

力は 5(kg重)÷2=2.5(kg重)
引く距離は 3(m)×2=6(m)

仕事=2.5(kg重)×6(m)=15(kg重m)

上2つの場合と同じになりました。

結局力が少なくすんでも、距離がふえてしまうので、仕事の大きさは同じになってしまいましたね。
※滑車に似た道具で、輪軸(りんじく)も力が少なくてすむものですが、そのぶん長くひもを引くので仕事はふつうに引き上げた場合と同じになります。
  輪軸についてはこちらで確認してください。

斜面を使ったときの仕事

例として、辺の長さが3:4:5の三角形の斜面を使って5kg重の重さの物体を3m上げる場合を考えてみましょう。
斜面の摩擦はないとします。

そのまま上げた場合

5kg重の力で、その力の向きに3m動かすので

仕事=5(kg重)×3(m)=15(kg重m)

 

 

斜面にそって上げた場合

摩擦を考えないので、斜面にそって重力の分力とつり合う力で斜面の頂上まで引けばいいですね。

重力を分解したとき、斜面に平行な分力は
5(kg重):χ(g重)=5:3 より 3kg重。
引く力は3kg重ですみます。

引く距離は斜面の長さなので、
y(m):3(m)=5:3 より 距離は5m

仕事=3(kg重)×5(m)=15(kg重m)

また小さな力のぶん長い距離を運ばないといけないので、仕事の大きさは同じになってしまいました。
ラクはできないようです。

仕事の原理

上の滑車の例や斜面の例はすべて、5kg重の物体を重力にさからって3mの高さまで引き上げる仕事をした場合ですね。
結果はすべて同じ大きさの仕事(15kg重m)になりました。

仕事の原理

道具の質量や摩擦力や空気の抵抗を考えないとき、
道具を使っても手で直接しても仕事の大きさは変わらない

仕事の原理を使うと、加える力やなどがカンタンに求められます。

【例題1】
物体を持ち上げるのに5分の1の力ですむてこがある。
このてこを使って50kg重の重さの物体を15cm持ち上げるには何kg重の力で何cmうでをおし下げればよいか。

てこも力を軽減するための道具です。てこの原理はこちらで確認してください。

うでの長さの比が (作用点〜支点):(支点〜力点)=1:5 のてこですね。
力が5分の1ですむということは、仕事の原理より、距離は5倍になります。
力…50(kg重)÷5=10(kg重)
距離…15(cm)×5=75(cm)  10kg重の力で75cmおし下げればよいですね。

  ※解答は半角数字で入力してくださいね。

摩擦のない斜面を使って小球をゆっくり250g重の力で斜面の頂上まで引き上げた。

@力がした仕事は何g重cmか。     

g重cm

A小球の質量は何gか。

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