アイルランドにあるハイクロス
Clonmacnoise, Ireland

Celt(Kelt)

【ケルト】

ケルトとは

 ヨーロッパの先住民族の総称。語学的に極めて似た言語体系をとるとされているが民族的には多種多様。古代ギリシャ人はケルトイ、古代ローマ人はガリア人と呼んだ。

従来の学説

 Great Britain島に渡った最初の民族は巨石文化を築いた詳細不明の民族。 その後に渡ってきたのはイベリア人であった。

 その後に渡ったのがGael【ゲール人】、今のアイルランドおよびスコットランド・highland【ハイランド人】の祖先で、この民族からケルト系となる。
 第2波として今のウェールズ人に祖先に当たるBriton【ブリトン人】が来襲。 厳密に彼らがどこまで同化・征服をおこないえたかは不明な点が多いが、この土地のことをローマ人がブリトン人の地という意味のブリタニアと呼んだ。

 Gael【ゲール人】、およびスコットランド・highland【ハイランド人】の祖先と、Briton【ブリトン人】は同じケルト人でありながら言語・単語が異なる。

 それらを経てアングロ・サクソン人(ゲルマン系)の征服が始まるわけだが、彼らの征服をもってしても西部はもちろんのこと東部でも大部分がケルト系住民であったため、今現在のほとんどのイギリス人と呼ばれる人たちはケルトの血を何らかの形で引いていることになる(らしい)。

 イングランドは文化としてはゲルマン色が濃いといわれるが、他のゲルマン人の国のドイツ、北欧諸国とはこの点で異なってくる。

現在支持を受けている学説

 今日ではケルト人は主としてヨーロッパの大西洋周辺の住人として認識されているが、過去にケルトの影響を全く受けなかったヨーロッパの国は殆どないと言っていいほどの勢力を誇っていた。 最初にケルト人が歴史に登場した紀元前6世紀の時点で、すでに彼らは、中欧および西欧において有力な人々であった。

 鉄器時代のヨーロッパに自らをケルト人と称する人々がいたことは知られているが、今日我々がケルト人とみなしている民族の全てが実際そのように意識していなかったことは確実である。
 グレート・ブリテン島および周辺の島々のケルト語を話す人々は、18世紀以前にはケルト人と表現されることはなかった。
ローマの著述家は確かにブリトン人とガリア人の間には言語、文化面で類似性があることを認めているが彼らを別々の民族とみなしていた。ブリトン人も自身を大陸の人々とは異なる民族であり、自らをグレート・ブリテン島の先住民族と考えていたようだ。

 実際にはブリトン人は先住民族ではないのだが、遺伝学的、考古学的な証拠はグレート・ブリテン島やアイルランドの先史時代に高いレベルで民族的かつ文化的連続性があった事を示している。ブリトン人とアイルランド人は大陸のケルト人から大きな影響を受けたが、彼ら固有の文化も明確に保持していた。グレート・ブリテン島と大陸の間には何らかの人的交流があったことは考古学資料により明らかになっている。しかし、従来言われてきたような「大陸からグレート・ブリテン島への大規模なケルト人の移動があった」という説よりも、「グレート・ブリテン島に居住していた民族がケルト文化に影響された」という説のほうが最近では有力になってきている…ということを記しておかねばならない。