現実と理想のギャップってあるだろう?

   勉強も恋人も友人もそれはあるわけだ。

 
  この蓬莱寺京一サマの理想のオンナは当然一目でグッとくるような美女にかぎる!
 っていうか美女が似合うオトコが俺ってやつだよな!だから自然にそうなるわけよ。
  乳、もとい、胸はでかければでかいほどいい。無論アンダーとトップの差がでかい、ってことだぜ?
 それから腰はきゅっと引き締まって尻はつんっと上を向いているのがいいんだよな。
  写真集なんか出せそうなスタイルでよ。

   例えば今日みたいにプールを歩いている時にもな。
  目の前をゆっくりとかつトロ過ぎない程度に歩く。その姿を見ている野郎共の視線を意識しないで真っ直ぐこっちに来る彼女の姿。
 ここがポイントだ。周りの男共の眼が自分に寄せられているのを自覚するのは別にいいが、それが当たり前、みたいなオンナはちっと勘弁だぜ?あーいう気の強い相手だとまちがいなく俺の場合は速攻でケンカになっちまうからな。
 まぁ、普段気が強くても俺の前ではおとなしい、ってのならいじらしくってオッケ―だけれどな。
 そんな助平で不埒な野郎共の目からかばうようにそんな彼女の肩をこれ見よがしに抱き寄せる俺。ぐいっと身体近づけたりしてな。
 それをみて羨望と嫉妬の眼差しが俺に向けられるのだが、そうしてこの俺の顔をみて世の中のかわいそーな男共は納得するのだな。
 ああ、あんな良いオトコだったらあんな美人をモノにしていても仕方ないよな、と。
  そうして俺はあくまでもさりげなくさりげなく、内心の満足感はおくびにも出さずにそこを立ち去るのだな。ついでに彼女の腰なんか引き寄せたりしてサ。

 ―― あら?今日はまた随分積極的じゃない?
 ―― そうか?ま、あれだな。その水着姿にそそられるってやつだ。
 ―― それ、ほかのヒトにも言ってるのかしら?
 ―― まさか、俺はいっつもおまえ一筋に決まってるだろ?
 ―― ふふ・・・どうだか?でもお世辞でも嬉しいわ。

  なんてオトナの会話なんかしてみたりしてよ!

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
  プールサイドに座り込んでフェンスに壁をつける。くそーあぢーぜ。今日の体育の予定なんかどうでもいいから早くプール入りてぇ・・・・
 
   理想と現実のギャップというか・・・。
  俺がオトシた相手ってのは、まぁ、たしかに周りの注目は浴びるわな。

   ただし、90%、女子の。
 
  何度も言うけどバストはでかければでかいほどいい。無論アンダーとトップの差がでかい、ってことだぜ?それから腰はきゅっと引き締まってヒップはつんっと上を向いているのがいいんだよな。って言ってんだよ!
 2の腕なんかもさこう、太すぎず且つ細すぎず。足なんかも今時の痩せすぎのオンナみたいな棒みたいな足ではなくってちゃんと腿とふくらはぎがカタチを作って引き締まっている"健康的かつ扇情的"なスタイルってのが良いって言ってんだよ!

   ・・・・・・・・たしかに武道やるだけあって引き締まっちゃいるけどな・・・。

 こいつの肩を引き寄せてあの会話を言うのか??

 ―― あら?今日はまた随分積極的じゃない?
 ―― そうか?ま、あれだな。その水着姿にそそられるってやつだ。
 ―― それ、ほかのヒトにも言ってるのかしら?

・・・・・・・・寒いっつーか笑えるっていうか・・・。


「・・・・・・・・・・・何、ガンくれてんだよ・・・?」
「・・・・・・・・・あー?別に・・・?あっぢいなーってさ・・・・」
「暑いからってオレ睨みつけても涼しくはなんねえぞ?」
 隣の位置で前髪を掻き揚げながら俺を訝しげに見てくる。そのプールをはさんだ向こうでは女子たちがひーちゃんをちらちらと伺ってはきゃーきゃーとわめいてやがる。

  はっきりきっぱり正直に告白する。
  俺が面白くない原因のひとつがあれだ。

   ・・・・・・・・自慢半分嫉妬半分。
    お前ら、見るな。他クラスの奴も含めて。
 

 俺を見てくる顔から序序に視線を下に下ろしていってしばらく黙ってから呟いた。
「・・・・・・・・・・・・・・・ひーちゃんってさぁ・・・」
「ん?」
「つくづく胸ないよなー・・・・。」
 
 次の瞬間頭に拳骨を落とされた
「言うに事欠いて何言ってやがんだこのセクハラおやぢ・・・!」


  現実と理想のギャップってあるだろう?
  勉強も恋人も友人もそれはあるわけだ。

 とまぁそんな話を帰り道にした。っていうかふたりで帰る道すがらそんなことをつらつら考えていた事を白状させられた。
「言っとくけどそれオレも同じだよ?」
「へぇ?」
 まだ半乾きの髪を引っ張りながら上目遣いに見てくる。
「まず、オレって結構面食いなんだよねー。」
「はー」
「けどまぁ、実際問題として、理想はともかく現実は結局は落着く所に落ち着くものなんかなーってさぁ・・・」
「・・・・・・・・ん゛・・・?」
 頷きかけて引っかかる所に気がついた。
「ひーちゃん、それはどういう意味だ?」
「あ、気がついた?あはははは・・・・」
「あはははじゃねえ!この自他ともに認める平成一の色男を捕まえて何が現実だ!?」
「・・・・平成一の・・?」
「おうよ!蘭陵王、周愉、光源氏も真っ青の色男だろうが?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・知らぬがホトケ。聞かぬがハナ・・・」
「ケンカ売っとんかおのれは」
 いきなり笑いながら走って逃げ出したのでそれを追いかける。追いかけながら笑いあう。
「なぁ、ひーちゃん!今度プール行こうぜプール!」
「プール?遊園地とかそういうトコロの?」
「貧乏学生にんな金あるかい、市営プールだよ。あいつらも誘っていこうぜ?まぁ別に2人でもいいけどな。」
「うん、いいねそれ!あ、でもオレ水着持ってない・・・。実家だ・・・。」
 立ち止まって口元に手を置いて困ったような顔をした。
「・・・・・でもスクール水着ってのはちょっと嫌だしなぁ・・・」
「マニア受けしていいんじゃねえの?」
「勘弁してくれよ。・・・・・・・う〜・・・でもそれだけ送ってもらうのもなぁ・・・」
「じゃあ今度買いにいけばいいじゃねえか?」
  といいながら気がついた。
  珠に瑕つーか、カンペキな人間はいないというか、こいつの最大の弱点は服のセンスがないってことだった。
 だからたいてい休みのときはTシャツとジーンズなのだ、こいつの場合は・・・。
「オレ服選ぶの苦手なんだよ〜・・・流行とか自分に合う服ってのわかんなくてさ・・・」
 本人もわかってはいたらしい。

「俺もつきあってやるからさ。」
 そう言うとようやくほっとしたような笑顔になった。

 ああ、そういえば・・・

「・・・唯一理想にあうところ・・・」
「え?何?」
「いや、何でもねえ。」
 
  理想のひとつにして理想と現実が合致したところ。 
 
   その笑顔。
 
 ・・・・・・照れ臭くって言えねえけどな・・・。

「でもオレもさ、本当は体育の時間ちょっとだけ面白くなかったんだよね。」
「んあ?」
「おまえってさ、女子の注目ひとりで集めてんだもん。」
 お?
「アン子ちゃんが撮った写真も売れ行き好評だって言うし・・・何て言うか、複雑っていうか悔しいっていうか・・・」
  それはつまり・・・
「ひーちゃん!愛してるぜっ!!」
「ひっつくな暑い!!」
 通りすがりの買い物帰りの主婦たちの眼を集めながら帰路を走っていく。
 
「明日も暑いのかなー?」
 逃げるのを追いかけてうりゃっと抱きつきながら会話する。
「そりゃ夏だからな。」
 返ってきた答えは
「それもそうか」
  だった。

「・・・・・もう少し答え方ひねろよ・・・」
 


悠麒夜さまにいただいてしまった夏の京主ですvv
夏って出会って間もないイメージか、初々しいイメージがあるんですが、
なんとなく付き合いはじめの頃?とか勝手にイメージを…(^_^;
龍麻のヤキモチがまた可愛らしくvv
お互い妬きあってるのが、なんかすっごく新鮮でした!
悠麒夜さま、ありがとうございました♪
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