紀州犬の子犬選び  Selection of puppy
   10年以上生活を共にする伴侶を選ぶのだから


どんな動物でも、生まれて間がない頃はかわいいものです。
犬も同じ。
どんな犬種でも、子犬の時期はぬいぐるみのようです。
中でも紀州犬の子犬は。。。


              




                 









             

実際に目の前で見ると、このシロクマのぬいぐるみのような容姿と、ぎこちない動きに
なんともいえない癒しを感じます。


柴犬以外の日本犬は、街中のペットショップで売られていることは希です。
営利目的だけを考えて繁殖させている人がほとんどいないからです。
ちなみに紀州犬を愛する人たちの間で子犬が取引される場合の価格は、一概には言えませんが
       3万円〜15万円程度
だと思います。(謝礼金等として)
また、動物取扱業者として登録し、正規に子犬を販売されている方もおられます。
どのような交配をして、どのような犬を作出するか等、じっくり検討され、作出した後は好条件の下で管理され、生体に保険をかける等して販売するというように、いわば“商品”として手間暇かけるわけですから、当然、子犬の価格が多少割高になりますが、それでも通常は10万円前後です。
つまり、紀州犬の世界に
      犬で一発儲けたろ!!!
というような人はいません。
もし、ペットショップで紀州犬を見かけたら、価格を見てびっくりしてください。

ところで、紀州犬に興味を持たれて、そして
        飼おう!
とお考えの方がおられるなら、下記を子犬選びの参考としてください。
とは言うものの、私も紀州犬を飼い始めてから初めて知ったことばかりで、教えてもらったことの受け売りですが(^_^;

1 “血統”の正しいものを。
  意味もなく、親子がけや兄妹がけを繰り返す等の近親交配で作出された犬は危険です。
  もちろん、犬のことを熟知しておられる人が、その血統の本質を引き出すために為された
 近親交配の場合は話は別です。
  ここにいう「意味もなく」というのは、単に営利目的で繁殖するために、何の知識も計画もなく
 商品を増やすために為された交配のことです。
  著しく体の弱い子犬や、奇形、よく言われるのは生殖機能に異常がある子犬が生まれたり
 するそうです。
  もっとも、紀州犬の世界では、このように営利目的だけのために犬を繁殖している人はほとんどいません。
  だから一般のペットショップに出回ることが少ないわけです。
  それから、“血統書付き”という言葉がありますが、通常は付いていてあたりまえです。
  「血統を残していこう」という信念の下に犬を作出されている人が、血統の登録をしなければ、その後の繁殖が意味のないものになってしまいます。
  ただし、紀州犬の本質を十分に備え、血統がはっきりしている犬でも、血統書が発行されない(登録できない)犬もいます。(規定の年齢不足で出産した場合など)
  展覧会への出陳を考えておられる人は、血統の登録は必須となりますが、ペットとして飼育される場合には、血統書はあくまでも飼い主の自己満足にしか過ぎません。
  ただ、血統書が、その犬の血統が正しいかどうか、血統を考えて作出された犬かどうかを知る目安になることは確かです。
 ちなみに子犬が生まれて日本犬保存会に一胎子犬登録する際にかかる費用は
3,500円です。(もちろん血統書代金も含まれて)
  ですから血統書付ということだけを理由に価格が極端に跳ね上がるのは・・・???です。
  血統書の値段よりも、作出した人がその子犬を手放すまでにかかった労力やフード代等の方が遙かに高価です。

2 性格の良い元気な子犬を
  ケージの隅っこでブルブル震えていたり、元気が無く、手をさしのべても興味を示さないような
 子犬は避けた方がいいです。
  食欲も好奇心も旺盛で、はしゃぎ回っている子犬が○。
  
3 性徴感がある子犬
  日本犬標準でも説明したように「雄は雄らしい顔」「雌は雌らしい顔」をした子犬。
  顔だけでなく性格も。
  しかしこれは素人が見てもなかなか分かるものではないと思います。
  特に子犬の時期ともなると、どれも同じに見えるかもしれません。
  (私にもよく分かりません(^_^;)
  どうしても自分で選ばなければならないのならば、オスらしいか、メスらしいか
 考えながら選ぶだけでも、かなり違うと思います。

4 骨量が多く体が硬い子犬を
  見た目よりも軽い子犬は×
  ずっしりしていて、皮膚のたるみがない子犬がいいです。
  ただ単に大きいだけでは、これも×
  見たとおりに重い、よりも、見た目より重い という感じ。
  がっちりしていて、骨格の大きい子犬。
  胸の真ん中の骨(肋の中心)の部分の角度が、木製ボートの底のように尖っているよりも
 ゴムボートのように丸く平らな子犬がいいです。
  後々、前から見たときに胸の広い犬になる可能性が高いです。

5 頭の大きい子犬を
  頭が大きく、デコに張りがあり、後頭部も盛り上がっているような感じの子犬が○

6 耳が大きく、耳の間隔が広い子犬
  頭の大きさに比べて耳が大きめの方がいいです。
  間隔の広さは、後々頭がどれくらい大きくなるか予想がつきます。
  また、眉間にシワのある子犬が多いですが、縦縞の場合ほぼ問題ありませんが
 横にシワが走っていたり、菱形のようなシワがある子犬は、そのシワは、なかなか
 取れないことが多いようです。

7 目の形は不等辺三角形、黒目は濃茶褐色
  少し吊り上がった目で、不等辺三角形の形。
  黒目の色が薄い犬は、体が弱いと言われています。
  薄い茶色よりも濃い茶褐色の子犬が○

8 歯(乳歯)は28本、成犬では42本
  だいたい生後45日くらいになると、乳歯は生えそろってきます。
  乳歯に関しては、早く抜ける犬もいますから、神経質になる必要はありません。
  ただ、成犬になって42本の歯が揃っていないのは×です。

9 噛み合わせと吻(口先)の形
  下の歯が上の歯よりも前に出ている、いわゆる“受け口”や、反対に下の歯が極端に
 奥まっているような噛み合わせの子犬は×です。
  また、鼻から下あごにかけての形は、当然、船の先端のようになりますが、その角度が
 できるだけ急でない方がいいです。
  ストンッと真っ直ぐに近い方が○

10 舌斑のない子犬を
  日本犬の他の犬種には、舌斑があまり問題視されない犬種もあります。
  しかし、紀州犬の場合は無い方がいいです。
  舌斑という意味が分からない人もおられると思いますが、ピンク色の舌に黒い模様が
 入っていますからすぐに分かります。

その他
  あと、毛並みを気にする人もおられると思いますが、子犬は生まれてから季節が
 移り変わって、生え替わりが行われて、初めてその犬の毛質になってくるそうです。
  ですから、生後45日程度では、その犬の毛質を見定めるのは困難でしょう。
  「毛並み」というよりも「毛吹き」の方が大切です。
  ボリュームのない生え方よりも、坊主頭のように毛が立つ方が良いです。


 以上の条件全てが揃っている子犬を見つけるのはなかなか難しいですが、一つでも二つでも多く当てはまる子犬を選んでください。
 でも、私的には何よりも性格重視です。
 どんなかっこいい体型をしていても、どんなにいい顔つきをしていても、性格に問題のある犬だったとしたら、飼っていてもおもしろくありませんし、一つ間違えば、人間を攻撃する犬になりかねません。

  

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