Medicine Showは、The Dr. Tommy Comeaux
Fundの活動の一部で、毎年末にLafayetteのGrant Street Dancehallで開催される慈善コンサートです。
ミュージ
シャンでもあり、音楽と医療という2つのフィールドに大きく貢献された方で、今後の益々の活躍が期待される中、残念なが
ら1997年に交通事故で亡くなってしまいました。The Dr. Tommy Comeaux Fundは、そんなDr.
Comeauxの遺志を継いで、地元のTraditional
Musicの振興を目的として設立されたものです。$1,000,000を目標として、今回のMedicine Show
VIIまでに約$700,000の基金が集まっているそうです。この
Medicine Showは、
といったサウンドカンパニー、そして師匠(Sonny
Landreth)をはじめとしたミュージシャン等、各方面のボランティアによって企画運営され、毎年豪華かつ貴重なラインアップが出演しており、その模
様は
KRVSで生放送されたり、ライブCDとしても発売されています。ここでは、2003年12月27日に開催されたMedicine Show
VIIの舞台裏の模様をご紹介したいと思います。
Medicine Showも7回目を迎え、すっかりSouthwest
Louisianaにおける年末のビッグイベントとして定着したようで、若干高い入場料(今年は$15)にもかかわらず、今年も多くのお客さんが詰め掛け
ていました。会場では、Southwest LouisianaのVenueでは珍しく物販があって、普通のポスター(当サイトのWhat's
going
on?に写真があります)が$10、出演者のサイン付きで$25、またTraiteursのTシャツが$15で販売されており、この売り上げは基金の一部
にな
るようです。また、今までのライブCD(I &
II)も販売されており、近々発売予定であるIIIのCDの告知もされていました。上記の通り、Medicine
Showは慈善コンサートであるため、基金を集めたりスポンサーを募るために宣伝活動が必要で、その際に使うデモDVDを
で作ってみようということになり、今回拙者がビデオ撮影を行いました。ライブ中はビデオ撮影に専念していて、またライ
ブ後はヘトヘト(風邪気味の上、打ち合わせとリハ終了待ちで昼ごはんを食べ損ねた状態で、扇風機の風が直撃する台の上で5時間立ちっ放し)であった
ため、結局ほとんど写真は撮れずじまい。ということで、ここではライブ前の裏方さんの様子を中心にごご紹介いたします。インターネットの生中継を聴かれて
いた方々は、あの
放送の舞台裏を思い浮かべて頂ければ幸いです。
Grant Street
Dancehallの楽屋の裏口に設営されている、KRVSのラジオ放送+録音用のブース。
ここで皆さんがラジオやインターネッ
トでお聴きになった音が作られました。
KRVSのラジオ放送用ラック。Compressor、Effects Processor、Mastering Processor、CD
Recorder等が収納されています。
ラジオでは、ステージからの音をMastering Processorでサウンドレンジを圧縮してラジオ用の音に加工して放送します。
KRVSのラジオ放送用コンソール。ステージからの最大32ch音がここでミックスされて2chステレオサウンドになります。
皆さんがお聴きになった放送のステレオミックスサウンドは、このコンソールから生まれたわけです。
KRVSのラジオ放送用トランスミッター。現場のサウンドは、ULLにあるKRVSの放送局まで電波で飛ばします。
Grant Street Dancehallのように、ULLの放送局から1マイルもない近距離からの放送の場合は、電波を使うようです。
KRVSのラジオ放送用アンテナ。上記のトランスミッターに繋がっていて、ここからKRVSの放送局まで電波が飛びます。
ちなみに、Festival AcadiensやZydeco Festivalでは電波ではなくISDNを敷設するため、かなり大掛かりになります。
本日のKRVSからのエンジニアはIvan Klisanin氏。ULLのGraduate Schoolの学生さんですが、優れたエンジニアです。
Todd Mouton氏のMCの中でもたびたびアナウンスされていましたので、名前に聞き覚えのある方もおられるかも知れません。
ご歓談中のIvan氏とベースプレイヤーのGary Newman氏。Ivan氏は学生ながらも自分でスタジオを所有する実力派です。
Lil' Buck
Sinegalの最新作では、Co-Producerとしてもクレジットされており、多くのミュージシャンから厚い信頼を得ています。
これはKRVSの録音用コンソール。今回はラジオ放送用とは別にコンソールを用意しています。
拙者の撮った映像と、ここで録音されたサウンドをミックスしてデモDVDを作る予定。
KRVSの録音用24chハードディスクレコーダー。これはULLの備品で、我々が普段使っているものです。
今回以外にも、Louisiana Crossroads等の録音時にKRVSへレンタルされて使われています。
こちらはKRVSのチーフエンジニアKarl Fontenot氏。Southwest
Louisianaにおいて最も信頼できるエンジニアの一人です。
土曜の晩のDirty RiceではDJも務め、エンジニアらしく録音時の秘話等、楽しくて貴重な超ローカル話を聞かせてくれます。
ハードディスク録音用のサウンドチェックをするKarl氏。基本的にハードディスクには生音を録音します。
そして音の加工は編集時にするため、ここではエフェクト等はかまさずに、レベル調整をする程度だと思います。
こちらはGrant Street Dancehallの楽屋の様子で、壁には歴代の出演者のサインがいっぱい。
このあと冷蔵庫にビールを詰めました。本日の出演者の方々はここからビールを取り出してガブガブ飲みます。
このドアの近辺に、Stevie Ray VaughanとBobby Blandのサインがあります...
と、以前バーテンダーのお姉さんに教えてもらったのですが、どれがどれだか認識するのは難しい。
楽屋でご歓談中の、Karl氏とShow & Tell
ProductionsのMark氏。やはり話題はサウンドエンジニア関連?
機材の搬入、接続、確認が済み、ミュージシャンが到着してサウンドチェックが始まるまでの束の間の休息です。
このあたりでダンスフロアへ出てみましょうか。ステージ脇のこれは恐らくモニター用のミキサーではないかと思われます。
ラックマウントのミキサーは今まで見たことないのですが、雑誌の広告でこんなんを見た覚えがあるので。
こちらは同じくステージ脇で、モニター用のEffect Processorの類。
ステージ脇のモニター用コンソールみたいですが、今回は未使用だった模様。
カメラを設置するKarl氏。これはKRVSのブースからステージの模様をモニターするためのカメラです。
このページの一番上の写真のハードディスクレコーダーと録音用コンソールの間にある小さなテレビに、モノクロ映像が表示されます。
ステージ脇で楽屋の入り口にあるモニター用ブースの模様です。
ここでステージ上のモニターの調整を行います。ライブ前もライブ中も何かと忙しくてバタバタする場所。
ステージ正面のバーカウンター脇にあるFront of House。ダンスフロアのお客さんに聴こえる音はここで作られます。
ここで作業されているのは、Grant Street Dancehallのハウスエンジニアの方です。(すみませぬ、お名前は失念)
ミュージシャンでは師匠が一番乗りでした。TVの取材もあってかなり早目に到着されたようで。
Guitar TechのJason氏はドラムのセッティング中。さぁ、これからサウンドチェック開始です。
サウンドチェックはいわゆる逆リハの形で、最後に出演するTraiteursが一番初めに行います。
メンバー全員がステージに上がって、エンジニア及びGuitar Techとあれこれ相談しながらマイクをチェック。
本日初めての音出しなので、各々のマイクの音作りにはかなり時間がかかります。
そうこうするうちに、いよいよ演奏開始。さすが、サウンドチェックでもすごく格好良い演奏ですわ。
リラックスしてサウンドチェックの演奏をする師匠と、おなじみのポーズのDanny Kimball氏。
師匠の足元には、珍しくエフェクトボードがセットされています。そういえば今日はギターソロで長めのディレイをかけてましたもんね。
メインボーカルはフィドルのAl Berald氏。このバンドはコーラスは余りありませぬ。
ということでほとんど歌はAl Berald氏のみという感じ。しかし楽器はいっぱいなのでサウンドチェックは大変。
ステージ正面です。ここの音響システムは、どの位置で聞いてもほぼ同じように聴こえるようになっています。
ステージのまん前だけは、楽器の生音(特に師匠のギターアンプの生音)が大きく聴こえますけれど。
この時点では音のバランスはなかなか良いですよ。フィドルもアコーディオンもしっかりと聴こえますし。
本番では、いつものように師匠の音とリズム隊の低音が爆音状態でバリバリしたが...
メインスピーカーはステージ前のモニターの下に置かれているものと、天井から吊るされているものの2種類。
複数の小さ目のスピーカーが分散して設置されているという構成なので、どの位置で聞いても同じように聴こえるのでしょう。
Dave Ranson氏が到着して、お次は師匠バンドのサウンドチェック。新たにベースアンプをセッティングします。
こうしてサウンドチェックが進むにつれて、ステージ上のアンプ類がどんどん増えるため、最後はすさまじい状態になります。
あまり背が高くない上に半ズボンでベースを重そうに持って登場するその姿は貧相なオッちゃんに見えてしまいますよぉ、Daveさん。
ステージでは結構格好良いんですけどね。またいつも向こうから声をかけてくれたりして、気さくですごくええ方ですわ。
その後、BeauSoleil、Roddie Romero、Michael Juan
Nunezと各バンド2〜3曲ずつのサウンドチェックが行われ、ほぼ定刻に本番開始。
この写真は、熱唱するRoddie Romeroくん。結局本番中に写真を撮ることが出来たのは、残念ながらこのときだけでした。
これ以外に、Medicine ShowをオーガナイズしたTodd Mouton氏、物販していたMegan
Barraさん、Grant Street
Dancehallのオーナーにバーテンダーの皆さんといった裏方さんについてもレポートしたかったのですが、残念ながら写真を撮り損ねました。また現場
には来られていなかったのですが、Todd Mouton氏が何度か読み上げていたShow & Tell
Productionsの社長のPaul McCasland氏も。特に、いろいろとご協力頂いたTodd
Mouton氏は是非載せたかったのですが、また後日、別の機会にご紹介できればと思います。
全く余談で申し訳ありませんが...今回の撮影は、カメラが一台だけだったので、どのように撮るのがベストかということで少々悩みました。また撮影位置が
ベストでなく、ばんばん人が前を通る
わ、背の高い人が立ち止まるわ、乗っている台を蹴る人はいるわで、結構ストレスがたまります。複数カメラ、ワイドレンズ、ステージ斜めの撮影場所が確保
できれば良かったんですけど、撮影許可をもらえただけでも有り難いので贅沢は言えませぬ。各ソロの終わりにズームアウトして、次の楽器にズームアップして
いったり、出来るだけゆっくり操作して滑らかなズームにしたりといった工夫はやってみたのですが、全体的にあまり思うように撮れなかったかなぁというのが
正直なところ。しかし師匠のステージでは、師匠を追いかけることに専念できるのと、どこでギターソロを弾いて、どこで歌ってといった曲の構成がわかってい
るので比較的上手く撮れたかと思います。またTraiteursのようにスタンダードなCajunをやるバンドの場合、ある程度お決まりパターンに則るの
で曲の構成が読みやすいため、比較的撮りやすいですね。ソロは各楽器2コーラスずつで、フィドル主体の曲だとギター−アコーディオン−フィドル、アコー
ディオン主体の曲の場合はギター−フィドル−アコーディオンという順番がCajunのお決まりパターン(実際はギターがソロを弾くケースはあまり
ないです)。もちろんバンドによって異なるわけですが...Traiteursは3コーラスソロの時もあるし、Al
Berald氏がメインヴォーカルなんで、フィドルソロが最後に来るパターンが多いようです。なにわともあれ、何とか上手いことMedicine
ShowのデモDVDを仕立て上げなければなりませぬ。