新会社法および中小企業支援策


Coonie(クーニー)さん画

「新会社法」のポイント

経営の自由度が高まり、ある意味でアメリカ流の「定款自治」を取り入れた。損害時も連帯責任が軽減された。
 ・多様化 ・説明責任(アカウンタビリティ)の重視 ・大企業では「所有と経営」の分離 ・取締役の解任が普通決議 
 ・機関設置の多様化(取締役会と監査役の両方を設置しない)
会社設立  ●資本金ゼロでも設立可能
 ●現物出資も容易になる
 ●会社の形態の選択肢が拡大
   ・合同会社(日本型LLC)を新設 ⇒出資者への配分をアイディアや技術貢献度により決めることが出来る
   ・株式会社は取締役1人(社長だけ)でも可能
株主総会  ●株主総会を開催する場所の選択肢が拡大する
 ●前倒し開催が可能になる
   ・取締役から会計監査人などへの財務諸表の提出期限の規制がなくなる
 ●招集通知はメールでもOK
 ●取締役の解任は、株主総会の普通決議(従来は特別決議)で可能になった
利益配分  ●株主配当は、従来の株主総会の決定ではなく、取締役会で決定すれば、いつでも可能に
取締役(会)  ●機能構成の多様化
   ・全ての株式に譲渡制限を付ける「非公開会社」であれば、「取締役会と監査役の両方」を設置しないことが出る
 ●書面、ネット決議も可能になる
   ・定款変更をして、取締役全員の同意があり、監査役全員の異議がない場合
 ●特別取締役
   ・6人以上の取締役がいて、うち1人以上が社外取締役である場合、3人以上を任命すれば過半数の賛成で
    多額の借入れや、重要な財産の処分を決定できる ⇒機動的に重要な意思決定を行うことが出来る
 ●過失責任
   ・経営判断で会社に損害を与えた取締役の責任は、従来の無過失責任から、原則として不注意やミスがあった
    場合のみ過失責任に軽減される。ただし、利益相反取引を自分の利益のために行った取締役は、無過失責任
    で問われる。
 ●内部統制システムを取締役が整備する
   ・違法行為を回避する危機管理機能を備える。コーポレートガバナンスを強化し基本方針を杵なければならない
    従来の取締役の善管注意義務から具体的な体制の構築と株主への明文化、開示が求められる。具体的には
    @取締役の活動状況を保存管理 Aビジネスリスクを管理 Bグループ会社全体の業務適正の確保
 ●簡易組織再編
   ・小さな会社を買収する場合は、相手企業の株主に渡す株式が20%以下(従来は5%以下)であれば、
    株主総会の決議は、不要となる
社外監査  ●社外監査役に責任限定契約
   ・株主代表訴訟の賠償額に上限
 ●会計参与の導入
 ●会計監査人も株主代表訴訟の対象に
資金調達  ●社債発行が容易に
 ●社債の銘柄統合
 ●権利の異なる種類株が多様に
   ・目的に応じて多様な資金調達が可能
   ・1株で株主総会の議決を覆すことが出来る「黄金株」の譲渡制限を認め、効力を強めた
情報開示  ●買収防衛策
 ●内部統制システム 
   ・取締役会で基本方針を決議、事業報告で内容説明
 ●社外取締役や社内監査役
 ●M&Aの対価の内容や算定根拠・


「中小企業新事業活動促進法」

従来の「経営革新法」の内容を、大幅改定して「中小企業新事業活動促進法」が2005年早々に国会に提出され、4月施行になる。
ここでは、従来は支援の対象にならなかった中小企業の「異業種企業の連携」への税制、補助金の優遇措置が盛り込まれ、新事業への進出を促している。

これまでは、個別企業による新事業や、新製品開発に対する支援が中心であったが、資金が乏しい中小企業が、異業種と組んで、ノウハウを組み合わせる方が成功しやすいので、新しい方向づけとして「異業種の連携」で、活性化を図ろうとするものである。

支援策の具体例では、事業の立ち上げ時に必要な資金の3分の2を補助金として出すことや、設備投資に伴う減税などが検討中。
同時に、政府系金融機関による共同事業に対する、低金利の融資制度も拡充される。この新法と平行して実施される、政府系金融機関による中小企業に対する支援策は、
 1、本人保証を必要としない融資制度の適用条項の緩和
 2、無担保融資の導入、
 3、第三者保障が不要な融資の上限額を増やすこと、などである。
「人材投資促進税制」 (教育訓練費が税額控除へ)

日本で初めて、企業の「教育訓練費」が税額控除の対象になる「人材投資促進税制」が2005年度から、導入される。

研修の「講座料や教材費、外部への研修委託費」など「教育訓練費」を過去二年間の平均よりも増やした企業が対象で、増加額の平均額よりも増やした企業が対象で、増加額の25%分を法人税額から差し引く。上限は法人税額の10%。中小企業は、更に特例として増加額の半分を法人税額より控除できる。

これは、日本の大企業では、給与総額に占める「教育訓練費」の比率は1%程度であるが、欧米は2%程度で、企業の研修意欲を刺激して国際競争力を増そうという経済産業省の戦略がある。

1990年代以降、削減され続けて来た、教育訓練関係にちょっと追い風になるか?




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