NPOの設立と運営の問題点の研究

設立
 法人格取得の要件
<目的に関する要件>
 1、特定非営利活動 2、営利を目的としない 3、宗教を目的としてない 4、政治目的でない 5、特定政党・候補者に関しない
<社員に関する要件>
 1、10人以上の社員 2、社員の資格得喪に関し不当な条件を付さない
<役員に関する要件>
 1、役員として理事3人以上、監事1人以上 2、役員のうち報酬を受けるのが1/3以下である
 特定非営利活動とは
次の17項目に適合し、かつ不特定多数の利益に増進する目的
 ・保険、医療、福祉 ・社会教育の推進 ・まちづくりの推進 ・学術、文化、芸術 ・環境保全 ・災害救助 ・地域安全 
 ・人権擁護、平和推進 ・国際協力 ・男女共同参画 ・子どもの健全育成 ・情報化社会の発展 ・科学技術の振興
 ・経済活性化 ・職業能力の開発、雇用機会の拡充 ・消費者保護 ・前号までの助言、援助
(認定特定非営利活動法人)
 ・一定の要件を満たしている事を国税庁から認定を受けると、寄付行為に関して税制上の恩典があり、寄付を受けやすくなる
 営利を目的としないこと、出資金
 ・活動によって得た利益や解散時の残余財産を構成員に分配しないということ
    ⇒国、地方公共団体、他のNPO、公益法人
 ・余剰利益を分配する出資金はダメ、債権のような貸付を受ける場合はOK
 役員について
 ・「役員のうち報酬を受けるのが1/3以下である」という条件は、役員報酬という名で余剰金の分配をすることを防止するため
 ・役員でも、交通費など実費はOK
 ・役員が職員として働いている場合は、その分はOK ⇒ただし、有償役員に含めて「備配書類」報告する必要があるか検討
 ・理事は、各人が法人の執行機関として法人を代表するが、定款により代表権を制限することが出来る ⇒通常「代表者」
 ・役員が変更した場合は2週間以内に届け出をしなければならない ⇒再任の場合も必要であるので注意する
 ・役員は、「正会員から選任する」と資格を限定しても良い、しかし自然人のみで法人は役員として認められない
 監事について
 <監事の権限> 
  ・業務執行状況の監査 ・会計監査 ・定款違反などを発見した場合は社員総会、所轄官庁に報告 
  ・理事に執行状況、財産状況に意見を述べること
 <兼務>
  ・監事は、職員をかねることが出来ない
 定款について
 <絶対的記載事項>
 ・目的 ・名称 ・事業の種類 ・事務所の所在地 ・社員の資格喪失 ・役員 ・会議 ・資産 ・会計 ・解散 ・定款の変更
 ・公告 ・役員の任期 ・定款変更の議決方法 ・総会の召集方法 (・設立当初の役員)

 <相対的記載事項>
 ・収益事業を行う場合の種類 ・理事の代表権を制限する場合 ・業務を理事の過半数で決することと異なる定めをする場合
 ・定款変更に特別多数(?)要件を変更する場合 ・臨時総会の開催請求に必要な社員数 ・理事、役員に委任される事務
 ・総会議決事項の事前通知の原則の例外規定 ・社員の表決の平等が異なる場合 ・総会の委任状、代理出席 ・法以外の
  解散事由を定める ・解散時の残余財産の帰属先 ・合併決議、解散決議の特別多数要件の変更 
 <任意記載事項>
 ・任意記載でも承認されれば効力は同じ 
 入会資格
 ・入会資格に「理事の推薦を受けたもの」などの制限はダメ
   ⇒理事等による可否判断をする場合は「正当な事由の無い限り入会を認めるものとする」を入れる
   ⇒通常は、入会金を納めれば自動的に入会できるという条件が多い
 組 織
 ・社員総会=議決権を有する社員により構成、開催を廃止は出来ない、評議員会などで代替は出来ない
 ・総会の権能=定款の変更、解散、合併は総会の専権事項
 ・総会の定足数=法は特に決めていない
 ・総会の議決=予め通知された議案に無い新たな議案の追加は出来ない(ただし、定款で可能としてあればOK) 
 情報公開
 ・活動状況を広く市民に公開する、市民の参加のチャンスとNPOの健全発展
 ・事業年度3ヶ月以内に7つの報告書を作成、過去3年分事務所に備え置く
   1、事業報告書 2、財産目録 3、貸借対照表 4、収支計算書 5、役員名簿 6、報酬を受けた事がある役員名簿
   7、社員のうち10人以上の氏名
 ・必要な場合閲覧できるようにする書類
   8、定款の写し 9、認証書の写し 10登記簿謄本の写し
 NPO法人の責任能力
 ・NPO法人の活動とその結果の権利義務は、他の法人一般と同じ「目的の範囲内」でのみ有効
   ⇒理事が目的外の行為をした場合は、法人のした行為とはいえず、原則として法人には法的効果は生じない
   ⇒したがって、目的外の行為があり、また損害が発生していれば賠償と責任の追求の対象になる
 ・NPO法人の第三者に対する使用者責任として、イベントなどでスタッフが参加者に過失で怪我を負わせた場合
   ⇒スタッフに雇用関係があるか、長期か、短期かに関係なく監督上の指揮を受けていればNPOに責任が生じます
   ⇒NPOが被用者の選任および監督に相当な注意を尽くしたときは免責される(民715@)
 ・監事・理事は、善管注意義務をしなかった場合は、賠償責任を負う場合がある 
   ⇒法人職員の長年にわたる横領を見逃していた場合など
 会 計
≪企業会計との差異≫
 ・「予算準拠主義」であり、予算を編成する必要がある
 ・固定資産の減価償却は強制ではない、減価償却は収益費用という観点からではなく将来の取替え資金の留保の観点である
 ・正規の簿記原則である、記録の網羅性、検証の可能性、記録の秩序性の3つが必要
 ・損益計算書に類するものは、作成せず、「資金の動き」を記載した「収支計算書」を作成する
 ・貸借対照表は作成するが「資本金」の項目は、「正味財産」という名称になる
 ・所轄庁へ届け出、閲覧に供する(予算書は除く)

<計画書類>
  ・収支予算書、事業計画書
<実績書類>
  ・(会計簿)=仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳、銀行預金出納帳、固定資産台帳、
  ・(計算書類)=財産目録、貸借対照表、収支計算書
  ・事業報告書
<予算>
 ・定款で決めておけば、暫定予算を編成し、利用する事が出来る
 ・予算をオーバーする場合に、予備費を使うか、科目間流用ができるように規定ルールを決めておくと良い
<特別会計の必要性>
 ・将来の多額な支出に備え貯蓄する場合(会館建設特別会計)
 ・特別な事業のため一般会計から切り離すことが適切な場合(出版事業特別会計)
 ・その他特別目的(基礎財産特別会計)
<収支計算書>
 ・調達した資金(収入)と活動に要した資金(支出)の報告
   ⇒借入金は企業会計では負債の増加であるが、NPOでは資金の増加として収支計算書に記載する
   ⇒固定資産は企業会計では償却して費用化されるが、NPOでは支出として報告
   ⇒損益計算書は作成が義務ではないが、これに相当する「正味財産増減計算書」「事業活動計算書」を作る事は有用

<各帳簿>
 ・銀行帳は、出し入れが多くなければ預金通帳にメモ書きすることでも良い
 ・必要に応じて補助帳簿を作成する(未払い金、未収入金、預かり金)
(帳簿の保存期間)
 ・商法関係は10年 
 ・税法関係の7年(中小法人) 仕訳け簿、現金出納帳、固定資産台帳、決算書類関係
 ・5年(中小法人)請求書、見積書、契約書、仕入伝票
(会計その他)
 ・事業費と管理費は分けることが望ましい ⇒プロジェクト収支管理と一般管理費
 ・常勤のスタッフがいる場合は、給与の源泉事務が必要
 ・講演依頼などを行い講演料を支払った場合は、源泉10%の源泉所得税が必要

<収益事業がある場合の税金>
 ・あたかも別な会社があるように、普通の企業会計帳簿を備え処理する必要がある(ただし、大変複雑)
 ・収益事業とは、物品販売業、不動産販売業、金銭貸付業・・・・など33種類の事業をいう
   ⇒手芸品の販売などは、「物品販売業」になるが、年1〜2回のバザーは該当しない
   ⇒技術セミナーも、不特定多数を対象とした娯楽を対象にしたものでないから該当しない
   ⇒会報に広告などを出してもらっても会員対象配布の雑誌であれば該当しない
   ⇒訪問介護を行う場合は、社会福祉法人の委託など特殊なものを除けば収益事業になる
<消費税>
 ・収益事業が無くても、課税対象の資産譲渡があればNPOでも消費税は納付しなければならない
   ⇒ただし、課税売上高が3000万円以下の事業者は免除される
<寄 付>
 ・NPOに対する寄付は特に寄付者に優遇措置は無い
 ・株式会社がNPOに寄付をした場合でも、他の企業に寄付をした場合と同じ処理になる
 ・寄付を受け取ったNPOに対しては贈与税などは課税されない
 
 その他
.....  <設立>
 ・任意団体からの移行
   ⇒NPO設立と同時に任意団体解散、会員のNPO移行、財産の移行、事業一切(権利義務)をNPO法人に譲渡
 ・認証申請書は、国、各都道府県で部数など異なる
 ・暴力団排除のための要件がある
 <保険>
 ・労働者がいれば労災保険、雇用保険、健康保険、厚生年金など通常の会社と同じように加入しなければならない
   ⇒ボランティアは労働者ではない


運営

 運営事務(東京都関係
役員の変更 <役員の新任>
 @ 役員の変更等届出書 (第3号様式)
 A 役員の就任承諾書及び宣誓書の写し 
 B 住民票

<役員の再任、任期満了、辞任、解任、住所の移動、改名など>
 @ 役員の変更等届出書 (第3号様式)
  ーーーーー―ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
  • 補欠の場合又は増員によって就任した場合には、その旨を付記する
  • 任期満了と同時に再任した場合も届出が必要です。変更事項は、再任とだけ記載する
  • 役員の選任や解任は、総会での議決など定款で定められた手続きに従って行われる必要がある。役員の任期は、2年以内の任期で、定款に規定されている。
  • 理事又は監事の定数の3分の1を超える者が欠けたときは、遅滞なく、補充しなければならない。
  • 監事の兼職禁止(法第19条)、欠員の欠格事由(法第20条)、役員の親族等の排除(法第21条)などが規定されていますので、注意する。
  • 理事を変更した場合は、法務局での変更登記が必要である。
  • 登記事項の変更が生じた場合には、法人は、主たる事務所の所在地の法務局においては2週間以内に、その他の事務所の所在地の法務局においては3週間以内に、登記の変更をしなければなりません。
  • 東京都への登記簿謄本の提出は不要です。また、登記と届出はどちらが先でも良い。
  • 書類の提出は、郵送でも良い。
定款の変更  
<届出だけでよい定款変更=軽微な事項> 
 @ 事務所の所在地
 A 資産に関する事項
 B 公告の方法
《届出に必要書類》 「定款変更届出書」(東京都第5号様式)

<認証が必要な定款の変更>
 「軽微な事項以外」の定款の記載事項の変更は届け出る必要があるが、それは、下記の場合である
 @ 目的
 A 名称
 B 特定非営利活動の種類
 C 主たる事務所、及びその他の事務所の所在地
 D 社員の資格の取得・喪失に関する事項
 E 役員に関する事項
 F 会議に関する事項
 G 会計に関する事項
 H 事業年度
 I その他の事業を行う場合には、その種類となどの事項
 J 解散に関する事項
 K 定款の変更に関する事項
《定款の変更の認証に必要な書類》
 @ 定款変更認証申請書(東京都第4号様式)
 A 定款変更を議決した総会の議事録のコピー(1部)
 B 変更後の定款
定款の変更
に関する指
導された内
<定款を改定した場合の東京都の指導>
 @ 定款の「条文を増加したい時」は、(例 第5条の次に条文を入れたい時 ⇒ 第5条の2)
 A 定款の「条文を削減したい時」は、条文を繰り上げること。(ただし、例えば50の条文があって、第2条を削減したい時に、
    全文を繰り上げる必要があるかは、疑問がある)
 B 定款の「設立当初の別表(役員名)」は必ずそのまま付けること。新しい役員名の表を追加しても良いが求められていない。
 C 定款の「原本である証明」などは、不要である。従って、届け出る定款に「理事長の印鑑」は不要である。
 D 定款の「袋とじ」「割り印」も不要である。
 E 新しい定款には、「附則」を別頁にする(参考資料あり)
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 F 定款に改定の日付を入れたものを東京都にその後送ること
 G 役員の変更には、新しい役員が自然人であることを証明するために「住民票」が必要である

 <東京都の書式・ダウンロード>
  http://www.seikatubunka.metro.tokyo.jp/index4files/kaisei-youshiki.htm

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 <郵送でも受け付け> ⇒ 「返信用封筒」を同封する
  163−8001
  東京都庁第一本庁舎 27階北側
    東京都生活文化スポーツ局都民生活部管理法人課
                NPO法人係 
   電話 03−5388−3095


 運営事務(登記所関係
役員の変更  <役員変更に関する届出> 
 @ 「就任承諾書」
 A 「定款」 (役員の選任方法等に関する事項が記載されているため)
 B 「総会の議事録」 (ただし、議事録署名人として登記所に提出している印鑑を議事録に押印)           .
 C 辞任する場合は、「辞任届」
 D 代理人によって登記申請する場合は委任状も必要

 E なお、理事の任期満了後に新理事の選定手続が開始されている場合には,任期が満了している理事が手続を行ったこと
    についての急迫の事情がある旨の記載がAの書面にない限り,登記は申請できない
 《役員変更登記の申請書の様式》
   (http://www.moj.go.jp/ONLINE/COMMERCE/k11-1-18.pdf)を参考

 なお、NPO法人の役員変更登記は、主たる事務所では、2週間以内に変更の登記をしなければならない


このページはFWD「舗装診断研修会」のNPO化の勉強のために作成した。

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