好きな作家

好んで読んでいる作家、良く読んだ作家について書きました。
文庫を中心にした読書なので、新刊の事はあまり触れていません。


(敬称略)

■ 日本作家 ■

阿刀田 高
ショート・ショート、短編、長編どれも著者らしい味わいがあります。ミステリーから大人のしゃれた感じのエロチックな小説なども書いています。謎めいた女性を書くのがうまいという印象があります。
有栖川有栖
大学生の "有栖川有栖" が出てくるミステリー「月光ゲーム」と「孤島パズル」は、ほろ苦い恋がからんだ話でいいです。栗本 薫さんの "ぼくらシリーズ" に通じる感覚です。
五木寛之
冒険物しか読んでません。「メルセデスの伝説」、「風の王国」、「ヤヌスの首」など、ロマンがあってとても好きです。
稲見一良
猟犬探偵の短編シリーズが好きです。一貫して銃や猟をテーマに描いています。男が椅子に坐って銃の手入れをしていて、その傍らには犬が寝転んでいる、こんなイメージの浮かぶ世界です。既に亡くなっていて、作品の数もそれほど多くないのが残念です。 作品リスト
井上夢人
前は岡嶋二人として書いていました。解散後はマニアックなテーマで内容も深くなっています。インターネットでは "99人の最終列車" をやっています。これは、列車の乗客全員にストーリーが付けてあって、ある乗客の時間を進ませればその話を、次々に乗客をクリックしていけば、その考えや会話が表示されるようになっています。
大沢在昌
最近読むようになった作家です。「アルバイト探偵」のシリーズが気楽に読めるところが好きです。信頼して買える作家です。「新宿鮫」シリーズが有名です。
岡嶋二人
20冊ぐらい書いて、解散してしまいました。ミステリーが本当に面白いという事を岡嶋さんの作品で知った気がします。全作品が文庫化されていますが、嬉しい事にまだ読んでない本が残っています。 作品リスト
景山民夫
いろいろなタイプの物を書いていて、「虎口からの脱出」などの冒険物、「トラブル・バスター」 シリーズのミステリー物と色々好きです。ちょっと宗教がかった物もありますが抑制されています。事故で亡くなったのが惜しまれます。
風間一輝
自転車で旅をする男の話に、自衛隊の秘密文書が絡む『男たちは北へ』はすごくいい話です。アル中の男達の友情を描く『地図のない街』にも感動しました。1999年末に『今夜も木枯し』、『漂泊者(ながれもの)』の二冊が立て続けに文庫化されました。ネットを見ていて、作品の質の割に知名度が低い気がするのが残念です。(更新99/12) 作品リスト
北村 薫
"円紫さんと私" シリーズなど女性を主人公にした作品が多い人です。殺伐とした事件の中に主人公の繊細な感情をうまく出してほっとさせられます。"覆面作家" シリーズは息抜きなのか、コミカルなミステリーで、私はあまり好きではありません。
草上 仁
一時期すごい勢いで作品を発表していたSF短編の名手ですが、長編が増えて徐々に短編を目にする機会が減っていました。最近になってアンソロジーなどで活躍していて喜んでいるところへ、早川から待望の新刊が出ました。しかし、昔の作品が絶版になっているのが残念です。(更新99/7) 作品リスト
栗本 薫
SFやミステリーや評論、小説以外でもバンドや芝居と多才です。古いですが "ぼくらシリーズ" のミステリーが一番好きです。"グイン・サーガ" という100巻を目標にしたヒロイック・ファンタジーを書き続けています。始めの5巻が充実していたと思うのですが、変わってしまって20巻ぐらいまでしか読んでいません。
小林信彦
「小説世界のロビンソン」や「地獄の読書録」というブックガイドがあります。選ばれた本のセンスの良さから、小林さんの本も読むようになりました。短編よりも長編の方が私には合うようです。
小松左京
『復活の日』『継ぐのは誰か?』『日本沈没』『さよならジュピター』など、広範な科学知識に基づいたスケールの大きなSFを書ける人は、日本には他にいないと言ってもいいでしょう。しばらく小説から離れていたようですが、最近また書き始めました。今年になって「小松左京全集」オンデマンド版の刊行が始まり、未完の『虚無回廊』の単行本未収録の雑誌掲載分をまとめた三巻目が出ました。続きが書かれるという噂もあるようです。「オンデマンド版小松左京全集」(更新00/5)
椎名 誠
凄く好きで、文庫で出たら何でも買っていました。多作なので最近は選んで読んでいます。「岳物語」とその続編が一番好きです。SF作家としても貴重な人で、いい物を書いています。
清水義範
私小説風の青春小説やパスティーシュと呼ばれる短編が好きです。著者の性格がいいのか、皮肉っていても優しさが感じられるところがいいです。
鈴木光司
「リング」からの三部作が話題になっていて、作品からは海外のモダンホラー作家の雰囲気が感じられます。「楽園」は最古の人類と現在とを繋ぐ愛の物語で、壮大なファンタジーです。「光射す海」も希有な運命を負った女性の話で、独特の世界にはまりました。(更新98/11)
高橋克彦
浮世絵ミステリーの写楽、北斎、広重、歌麿(番外編?)と続くシリーズがとても好きです。高橋さんの書いた浮世絵研究の本も読んで夢中になりました。最近は違う分野の話が多いようで少し残念です。
筒井康隆
前から少しは読んでいたのに、あるエッセイ集からファンになりました。差別用語への規制、文芸家協会の死刑囚の入会拒否など指摘の鋭さと、そういった時事評論までいろいろ手を尽くして楽しませようとしている姿勢にひかれます。
天藤 真
創元推理文庫で「天藤真推理小説全集」というのが刊行されています。始めの頃の刊行ペースならもうとっくに全巻揃っているはずなのに、まだ半分です。映画になった「大誘拐」が初めて読んだ作品で今のところ一番好きです。
半村 良
下町を舞台にひとりの超能力者の行く末を描いた『岬一郎の抵抗』から、半村さんの人情あふれる作品が好きになりました。『晴れた空』は戦時の孤児たちが事業で成功ていく物語で大泣きで読みました。『雨やどり』や『たそがれ酒場』などバーテンダーを主人公にしたシリーズも良かった。SFも少しは読んでます。2002年3月に惜しくも68歳で亡くなりました。(新規02/03)
東野圭吾
ミステリーを専門にたくさん書いています。中にはちょっと好きじゃないのもありますが、科学技術を扱ったミステリー「鳥人計画」や、温かさとユーモアが魅力の "しのぶセンセ" シリーズなど数多く良いものを書いています。
広瀬 正
ここに登場する中では例外的に昔の作家です。6冊のSF、ミステリーを残しました。集英社文庫から、"広瀬 正全集" として出ていました。タイムトラベルを扱った「マイナス・ゼロ」は日本SF史に残る傑作です。 作品リスト
宮部みゆき
ミステリー作家で最近は時代小説も書いています。カード破産を描いた「火車」が有名です。少年を主人公にした作品に良いものが多いようです。大人になろうと、がんばっているところが、けなげで感動させられるのでしょうか。事件にプラスして心暖まるエピソードが描かれているところが好きです。
吉本ばなな
筒井康隆さんが著者を誉めていたので読みはじめました。病気がちだけど、勝ち気な少女を描いた「TUGUMI」は、この女の子の魅力なのか、好きです。女性的な感性とか、感覚的になりすぎると読めなくなりそうで、理解できるぎりぎりのところなのがいいです。

■ 海外作家 ■

アシモフ(アイザック・アシモフ)
SFでは銀河帝国シリーズと、ロボット三原則のシリーズ、SF以外ではミステリーや科学エッセイも書いていました。小説では固めの文章が、科学エッセイでは名調子の楽しい科学解説になっています。晩年に自分の主要なシリーズを結び付けようとして、まずまず成功したようです。
ウィルスン(F・ポール・ウィルスン)
悪魔とか吸血鬼とか正当なホラーは好きではないのですが、<ザ・ナイトワールド・サイクル>シリーズの読破を目指しています。 上手い人なので、SFとかモダンホラーの作品の方が楽しみです。
カード(オースン・スコット・カード)
ストレートなアイディアのSFを感動的な話に仕上げてくれます。モルモン教の信者で神話とかを元にしているからなのか、人の心の弱さがうまく描かれていて泣かされます。ワーシング一族の能力によって守られ、苦痛のなくなった世界の歴史を語る「神の熱い眠り」、核戦争の後のアメリカを描いた連作集「辺境の人々」など良い話です。
キイス(ダニエル・キイス)
一時は「アルジャーノンに花束を」だけで終わってしまうのかと思っていました。「アルジャーノン…」は泣かせるSFのトップに立つ作品です。"多重人格物" のフィクション「五番目のサリー」、ノンフィクション「24人のビリー・ミリガン」が共に売れました。この人の本は文庫にならないので安心してハードカバーが買えます。
キャロル(ジョナサン・キャロル)
非常に魅力的な幻想的な世界を描きます。クリエイティブな仕事をしている人の生活が描かれ、そこにこの世のものでない何かが少しずつ割り込んでくるという話がパターンになっています。最初に読んだ「死者の書」が一番好きです。
クライトン(マイクル・クライトン)
SFや冒険やアクションなどエンターテインメント作品を書いています。「ジュラシック・パーク」など映画になった小説も多く、映像が目に浮かぶような描写が得意です。医学博士であり医療をテーマの小説もドラマ化されています。
クラーク(アーサー・C・クラーク)
昔からずっと今でも、一番好きなSF作家かもしれません。「地球光」や「渇きの海」といった近未来を舞台にしたサスペンス物、「都市と星」や「幼年期の終り」な空想を広げた物。そして、"宇宙の旅" シリーズや"ラーマ(宇宙のランデヴー)" シリーズと名作をあげればきりが有りません。
クーンツ(ディーン・クーンツ)
「ウォッチャーズ」は衝撃的でした。ホラーだけど残酷ではなく、読みやすく面白く、心温まる話です。前はディーン・R・クーンツだったのに最近は'R'が抜けました。いろいろ他のクーンツの本を読むうちに、十数年前に「SFマガジン」で紹介されていたのを思い出しました。ベストセラー小説の書き方を書いた人です。
ケラーマン(フェイ・ケラーマン)
正統派ユダヤ教徒のリナと、デッカー刑事のシリーズは大好きな話です。ミステリーとしてもしっかりした物ですが、二人の関係の進展への興味と、ユダヤ教徒の生活を描いた事の新鮮さが魅力です。デッカー刑事が精神的に成長していく様が、ユダヤ教の教示や悲惨な事件、彼の生立ちと相まって描かれています。
シェフィールド(チャールズ・シェフィールド)
宇宙エレベーター建設の話「星々に架ける橋」や、連作集「マッカンドルー航宙記」など、正統派のハードSF作家です。他のSF作家にアイディアを提供したり、科学的な面の協力をする事も多いようです。
ソウヤー(ロバート・J・ソウヤー)
恐竜が好きなのか、まだ作品数が少ないのに、2つの恐竜物の長編があります。知性を持つ恐竜をかわいらしく描いた「占星師アフサンの遠見鏡」と、タイムマシンで恐竜の時代にいく「さよならダイノサウルス」です。その他どの作品も、SFファンの心をくすぐるアイディアをユーモアを交えて親しみやすく描いています。作品リスト
ニーヴン(ラリー・ニーヴン)
「リングワールド」や「インテグラル・ツリー」のような重力理論を駆使したスケールの大きな世界を描きます。また、"ノウン・スペース・シリーズ" の中に愛嬌のある異星人達が登場するようにサービス精神も豊富で楽しめます。他にはパーネルを始めとして共作も多く、超能力者のからんだSFミステリーや、読んだ事はないけれどファンタジーまで書いているようです。
ハインライン(ロバート・A・ハインライン)
名作「夏への扉」を始めとしてSFファンなら誰でも知っている多くの作品を残しました。でも、晩年の作品は冗長で読むに耐えません。
バクスター(スティーヴン・バクスター)
第1作「天の筏」は、重力定数が10億倍という宇宙の話です。重力ならとにかく、重力定数が違う世界なんて大胆な設定です。宇宙と時間を超えて戦い続ける「時間的無限大」など、スケールの大きいハードSF話を書いています。ウエルズの「タイム・マシン」の続編もあります。
ピータースン(キース・ピータースン)
A・クラヴァンとか、M・トレイシー(弟との共作)と、いろいろな名前を使っていて、混乱してしまいます。新聞記者を主人公にしたハードボイルドの "ジョン・ウェルズ・シリーズ" は、外見はくたびれた中年記者が事件に対して見せる厳しい姿勢が魅力の代表作です。彼を慕って支えてくれる若い女性記者ランシングの存在も、残忍な事件で暗くなりがちな話をなごませてくれます。
フォワード(ロバート・L・フォワード)
中性子星の生物とのコンタクトを描いた「竜の卵」は、人類史のパロディにしてしまった事を除くと、想像力の勝利ともいうべき力作です。その続編など、どの作品も理論物理学や現代宇宙論から得られた成果を生かしたすばらしいSFになっています。
ブリン(デイヴィッド・ブリン)
核戦争後のアメリカで一人の男の奮闘を描いた「ポストマン」は力付けられるいい話です。鏡面球形船によって太陽に降下する計画を描いた「サンダイバー」もSFらしい魅力にあふれています。知性を持ったイルカやチンパンジーが人類と共に宇宙に進出した時代を舞台にしたシリーズもあり、これも楽しめます。
ベア(グレッグ・ベア)
「久遠」や「永劫」は題名から予想できるように哲学的な無限が感じられる話です。「ブラッド・ミュージック」のラストや「女王天使」の精神世界も哲学的な部分を感じます。嫌いと言う程ではないですがちょっとひっかかる部分です。
ベンフォード(グレゴリイ・ベンフォード)
「夜の大海のなかで」以来、ずっと書いて来たシリーズ(恒星世界に進出した人類と、有機生命を撲滅させようとする機械知性の戦いを描いた物)は、ビショップ族の話になってから余り好きではありませんでした(その割に全部買っている)。ようやくシリーズが完結したので次が楽しみです。
ホーガン(ジェイムズ・P・ホーガン)
未来に明るいイメージを持ったSFが多く、知的な魅力に満ちています。「星を継ぐもの」からはじまったシリーズは人気も高く、大好きな作品です。最近はスパイ物とか非SFも書いたりしていますが、1冊でも多くのホーガンのSFを読みたいというのが本音です。
ホール(パーネル・ホール)
頼りない保険調査員スタンリーが、ぼやきながら事件を解決する〈調査員スタンリー・ヘイスティングズ〉シリーズが気に入っています。小心者のスタンリーが、ちょっとだけ勇気を出して犯罪者に挑む姿が、勇気を与えてくれます。本になっているのは、このシリーズのみらしいですが、既にシリーズの翻訳が11冊になります。江口寿史さんのおしゃれな表紙も良いです。(新規00/9) 作品リスト
ポール(フレデリック・ポール)
"ゲートウエイ・シリーズ" や「マン・プラス」や「JEM」などがあります。「マン・プラス」のサイボーグが知覚が鋭くなって目覚めるところは驚きながら読みました。誰でも生まれて成長する過程でこういう事を経験していると考えると凄いですね。
マーロウ(マックス・マーロウ)
史上最大のハリケーンがニューヨークを直撃するパニックを描いた「フェイス!」や、南極の凍った動物から発見されたウィルスが死の伝染病となる「レッド・デス」など、迫力のある描写のパニック小説を書きます。作家夫婦のコンビ名だそうです。(新規98/12)作品リスト
レナード(エルモア・レナード)
ミステリーではないですが、犯罪がらみの小説を書きます。主人公の生き方がかっこよく、いいムードがあります。


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