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13.島根いやシネマに行こう!

 2004年春現在、わが国における映画館の入場料金は、一般1800円というのが相場である。これに関しては“高い”と判断するのが妥当だろう。サービスデーなら入場料1000円なのに対して8割増しなのだから数字だけ見れば納得できる訳がない。しかし、である。こんなご時世とはいえ、残業代が支給される外出(外回り?)可なお仕事に従事している人であるならば、躊躇することなく勤務日の昼間に(できれば職場に一度顔を出したうえで朝一で)映画鑑賞を実行することをお勧めしたい。なおかつその日は張り切って残業を2時間余付加するようにすれば、たかが映画代、安いものなのである。 あくまで一般論としてそう思う。会社なんぞに忠誠心を持って糞真面目に働くよりもサラリーマンとしてプチ不正をしてでも文化的に生きるほうが精神的にはよっぽど健全なのだ。
 と、以上の前置きとはなんの関係もないここからが本題である。劇場で韓国映画「ラブストーリー」を鑑賞した。「猟奇的な彼女」のクァク・ジョエン監督が放つ最新作。なるほど、表題どおりにガツンとしたストレートな青春恋愛物語である。タッチは極めてB級コメディなんだけど、お金のかかりそうな戦場シーンもちょこっと盛り込まれているあたりに前作ヒットの余韻を感じさせる。メッセージ性はあるし、いい映画であることに違いはない。「猟奇〜」が号泣ならば、こちらは涙一滴(ひとしずく)か、個人的な感想を言っちゃえば。
 同監督作品に限らず、韓国映画のよさは収益最優先で取り組んでいない(ように見える)点、あるいは作り手の熱意がスクリーンを通して伝わってくる(ような気がする)点にあるように思う。あざとくもなく、独りよがり・高慢ちきでもないエンターテイメント作品を創造することは、そうそう簡単にできるものではないが、さじ加減が絶妙な印象あり。趣味の延長線上にあるプロの仕事っぽいのが素敵。小手先のテクに頼らない直球勝負が潔く心地よい。ほめ殺し、太鼓持ちの心境になれる。
 ともかく、実際は戦略という名の打算抜きにして商業作品の成功はないのだろうが、それはそれ。客観的な視点で見ておもしろいと思えるものを提供してもらえるのであれば別に構わないのだ。自分が頑張るためのモチベーションも高まるし。よく「作り物で得られる感動はドキュメント(例えばスポーツ)でのそれには到底敵わない」などという人がいる。その考えはわからなくもなくはない。しかし、同時にひどく野暮だとも思う。比べなくたっていいじゃん別に。いろんなタイプの感動が混在しているのが世の中よ。
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