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もう春なのね
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梅が咲いたり春一番が吹いたりと、ちょっと春めいてきたので、一時お蔵入りに(自粛)していたデジカメ写真コーナー「ふぞろいのパンチョたち」を復活させてみた。あまり深い意味はない。心地よさが少し私のサービス精神をくすぐっただけのことである。
そんな浮かれ気分の近況報告はさて置いて、私は街中でカツラを装着している疑惑臭プンプンの人を見かけた場合、ハエギワを凝視することに決めている。「みんなにバレバレですよぉ」ということを伝えたいからだ。全ては本人のためである、私はそう信じている。騙すならとことん騙し通してほしい、でも中途半端な嘘は罪、心底そう思うのだ。
幸か不幸か「ジロジロ見てんじゃねーよ!」と激怒されたり、「何かご用でしょうか?」と訊かれたりといった反応をする者は誰もいない。見られている側の当人(ハゲ?)は十中八九気づいていながら皆、知らんぷり。都会人の冷たさ、他人への無関心を装う様を象徴するエピソードかもしれない。大人の対応なのか、蛇に睨まれた蛙なのか…。もしも先方に逆ギレされたら、即・騎馬戦をスタートさせるぐらいの心意気はあるのだが、なかなかコミュニケーションへと発展はしないものである。
とはいえ、眺めるのと撮影するのとでは事情がちょっと違ってくる。見るだけならタダ、減るもんじゃなしに…とばかりに大胆に振る舞える私であっても、アカの他人に向けてシャッターを押すことについては、若干躊躇する。正直「申し訳ない」という気持ちがなくはない。
しかし、だ。私には真実を伝える義務がある。戦場カメラマンが戦争の悲惨さを伝えることに使命感を抱くのと同様、これは遊びでもなければ芸術でもない。「報道なのだ」と自分に言い聞かせて、狙った獲物を全力で追いかける…。
春は夢想家が増える季節なのだ。
かつての日本では、誰に頼まれることもなく、交通整理や駅員気取りで構内アナウンスを行なっている連中を見かけることで、春の訪れを知る人も少なくなかった(はず)。気候が良くなれば奇行も増えるというもの。しかし、ここ最近は年がら年じゅうある意味とても春めいている。世の中には、そんな春爛漫な事件がいっぱいだ。夢や希望はちっとも膨らまないけど、反面、憂鬱さだけは増長している。これもまた春らしいって言えば春らしい。別れと出会いの3月4月をすっ飛ばし、メンタルヘルスが気になる5月…。梅雨入り前の春なのである。
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