09 -吐血コラムTOPへ-
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勝負論ってなんだ?
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年末である。
今年(2003年)の大晦日はNHKの紅白歌合戦の裏番組で、民放3局がこぞって格闘技中継を放送することが話題となっている。
だが、しかし、猪木祭りは闘う前から負けることを考えなきゃいけないご様子。日テレは自身の今年を象徴するような後味悪い締めくくりを迎えそうである。ご愁傷様。
それに比べれば、フジの男祭りはまだマシだが、如何せん地味なカードがそろった。格闘技マニア以外の視聴者をどれだけとり込めるかはなはだ疑問といわざるを得ない。
消去法により浮上する“曙vsボブ・サップ”をメインに据えたTBSのDynamiteが一人勝ちするのは一目瞭然。これとて、両者の闘いに感動は似つかわしくない、というか求めるほうが野暮というもの。暮れのまったりとした時間帯に緊張感なく観るのにちょうどいい。殺伐としているより牧歌的かつどこかしらバブリー…パワーファイター同士の技術もへったくれもない大雑把な試合になるんだろうな、と私は勝手に予想している。期待しないから裏切られることもない。元横綱を担ぎ出し、短期間とはいえトレーニングを再開させて、知名度抜群の対戦相手と一緒のリングに上げることができたのだから、仮に茶番だったとしても文句はない。どんな結末が待っていようと、少なくとも話のタネにはなる。試合を提供する側にとってもこれほど楽なことはないだろう。なによりテレビ番組のソフトとして考えた場合、とても優秀な逸品であることには違いないのだから。
所詮、興行でありテレビ番組。とどのつまりは金儲けである。最強を決める闘いである必要は全然なし。より多くの人の目に触れさせ、カウントダウン前の浮かれ気分な来場者にグッズの一つでも買ってもらえればこれ幸いなのだ。
年が明けて、猪木&男祭りの関係者の少なからずは「相撲に勝って勝負に負けた」と言うであろう。でもそれって負け惜しみ。
好き嫌いは別として、世の中には経済的な部分で優位に立つことこそが勝ちであるって評価の仕方がある。大半がそうかも知れない。
不細工な成金オヤジが美女をはべらかす、極端な言い方をすればそういう意味でのサクセス。
彼ら成功者を少なくとも「仕事と割り切ってやりたくもないことやってんだけど、その結果カスカスの生活しかできない」って人は批判する権利を持たない。自分だったら絶対買わない商品や物件を売りつける営業マンとかなら、やってることは詐欺同然、インチキなんだもの。ピュアでも正義でもない。とかく貧乏人はビジネスライクな金持ちを批判する傾向にあるが、それは羨望だったり嫉妬だったりする。ビジネスライクな割り切りは、むしろ庶民という名の貧乏人のほうがずっと強く意識していること。質素な暮らしは、意識的に実践するなら美談にもなるが、「ビールは高いから家では発泡酒飲んでます」ってノリでは貧乏臭いだけで全然美しくない。いっそのことホッピーに切り替えるか禁酒しろなのである。
勝負はたとえ真剣勝負でないとしても、挑んでこそ勝敗が決する。「絶対に負けない方法はただ一つ。勝負しないこと」という理屈はあるが、敗者になったっていいじゃないか。傍観者でいるより経験は積める。今後に可能性を残す敗退ならばむしろステップアップにもなる。理屈も勝負論も不要。せめて負け惜しみが言えるくらいの方向に物事を持って行けるぐらい頑張るべきである。枯れるのはそれから先で充分だ。
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